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4.ギルド登録

旅立ちの町の真ん中には、高い見張り台を備えた立派な建物がある。

正面の大きな扉の上部に「ギルドマーク」の看板が下がっている。

扉には「旅立ちの町ギルド」と書かれている。

爺ちゃんと僕はその大きな扉を開けて入っていく。

その中は広い空間があって、壁にクエスト票が貼ってあり、

その前には多くの冒険家らしき人達が集まっている。

そのおじさん達は人間以外の人達もたくさん入っている。

爺ちゃんが入っていくと、みんなが振り返った。

『あの魔法ジジイか』『偉そうなジジイだ』などヒソヒソ声が聞こえる。

爺ちゃんがその方向を見ると彼らは、慌ててクエスト票の方を向いた。

みんなは僕を見て『誰だ、あの小僧』『ジジイと知り合いか?』

とかコソコソと話し合っている。

爺ちゃんは、全く気にする素振りも無く、

受付らしきホテルのフロントによく似た場所へ向かっている。


「アツシ、ここがこの町のギルドの受付じゃ。おいで」

受付には、アツシが生まれて今まで見たことがないほど

スタイル抜群の流れる様な長い金髪のお姉さんが立っている。

僕はその青色の瞳のお姉さんのあまりの綺麗さにドキドキした。

爺ちゃんが横からニヤニヤしながら僕を見ているのが気になるけど、

お姉さんが僕の好みの女性だったのだから仕方なかった。


「レイちゃん、久しぶりじゃのう。

 今度、この子、まぁわしの孫じゃが、冒険者登録をしたいんじゃ」

「まぁ、ノリオ様のお孫さん?そういえば目元が似ていますね。

 いらっしゃいませ。ここは『旅立ちの町ギルド』でございます。

 ノリオ様のような強くすてきな冒険者になって下さいね」

「・・・は・・・い。がんばり・・・ます」

「アツシ、上がっとるのか?

 レイちゃんはこのギルド一番の受付嬢じゃからしかたないのう」

「まぁ、ノリオ様、お口が上手いですね。

 このギルドの受付は私一人しかいませんのよ。

 ふふふ、いつもお褒めのお言葉をありがとうございます」

「いや本当のことじゃからなぁ。まぁアツシをよろしく頼むぞい」

「はいわかりました。先ずは登録からでございますね」

「うん。こんにちは。初めてなのでよろしくお願いします」


後から『初めてだとよ。良いご身分じゃねえか』とか聞こえてくる。

爺ちゃんが『うるさい奴等じゃのぅ』というと急に静かになった。

何気なく振り向いたら何人かが、口を『アワワワ』と言わせている。

『おめえ、どうした?なに?声が出ない?だから言っただろ?

 ジジイの悪口言ったら大変なことになるって・・・』

『すぐに謝れよ。それで許して貰えるから』

何人かの男達が、急いで爺ちゃんの前に座ると土下座して謝った。

爺ちゃんは「わかった。今度から気を付けるのじゃぞ」

土下座していたおじさん達は

「おっ、やっと声が出た、今後は気を付けます。ありがとうございます」

と喜んでいる。


受付のレイさんがその光景を呆れながら見ている。

「アツシ様、冒険者として登録する前にこの玉に手を置いてください。

 これであなた様の職業とそのランクがわかります」

『そういえば、ゲームでこんなシーンがあったなぁ』と思いながら、

僕は、その大きな透明のガラスの様な玉に手を置いた。

その時、そのガラス玉が、明るく金色に輝いた。

「えっ?金色?・・・アツシさま、失礼ですが、

 今から奥でギルドマスターに会っていただきたいので

 しばらくお待ちくださいね」

レイお姉さんが、焦った態度で急いで奥へ早足で入って行った。

しばらく待つと、レイお姉さんが戻って来て、

「アツシ様、ノリオ様、失礼いたしました。

 ギルドマスターがお待ちですから奥へどうぞ。ご案内します」


奥の部屋には、ツルツル禿げ頭で髭だらけの

筋肉隆々で顔や身体中に古い傷跡が一杯の親父がいた。

「おぅ、ノリリン、久しぶりだな。どこにいたんだ? 

 あぁ、その隣の坊主があんたの孫なのか?

 今レイが驚いて報告に来たが、S級なんだってなぁ」

 ここしばらく、あんた以外にはS級は出てなかったから驚いたぜ。

 しかし、血筋なのかなぁ・・・であんたと同じ魔法使いか?」

「ゼロよ、残念ながら違うよ。魔物使いだったよ」

「魔物使い?・・・へぇそれはこの界隈にはいない職業だな。

 フーン、面白い・・・さすがあんたの孫だなぁ。

 きっとあんたの魔法のようにすごいんだろうな。

 楽しみにしてるぜ。坊主、爺さんのように強くなるんだぜ。

 レイ、すぐに坊主・・・名前何だったっけ?」

「アツシです」

「アツシの坊主に魔物使いの説明をしてやれ。任せたぜ」

「はい、魔物使いは私にとっては初めての職業ですので至急調べます。

 アツシ様、ノリオ様、しばらく別室で飲み物でも飲んでお待ちください」

 レイ嬢は、僕達二人を応接室のような豪華な部屋へ案内して、

「ノリオ様、アツシ様、お飲み物は何がよろしいですか?」

「わしは、コーフーかのぅ。たっぷりのチーチとトーサを入れてね。

 アツシ、お前はジュースがいいんじゃないか?」

「ジュースは、オランゲとアプリがございますがどちらがよろしいですか?」

「爺ちゃん・・・」

「オレンジとリンゴじゃよ。この世界もよく似ているものがあるんじゃ」

「じゃぁ、アプリジュースでお願いします」

レイ嬢は、アツシのアプリジュースへ手のひらをかざしている。

そして僕達の前に湯気の立つコーフとアプリジュースが置かれた。

アプリジュースを飲むと氷も入っていないのにとても冷たかった。


しばらくすると、分厚いファイルを持ってレイ嬢が部屋へ戻って来た。

「ノリオ様、アツシさま、お待たせしました」

「いえいえ、全然です」

「そうじゃ、レイ嬢を何度も見られてノリリン、幸せじゃ」

「まぁ、ありがとうございます」

と二人のテーブルの前にレイ嬢が腰かけるとファイルを開いた。

ファイルの上には、見た事も無い文字が並んでいるが読めた。


『これが爺ちゃんのチート魔法なんだ。ほんと爺ちゃんってすごいなぁと感心する』


「アツシさま、これが魔物使いの項目でございます。

 残念ながらS級の記載はございません。参考としてお読みください。

 今後、色々とわかれば・・・、もしよろしければですが、

 覚えていたら・・・で結構ですから、私へ教えてください。

 その情報は秘密厳守で絶対には他には漏らしません。

 その貴重な情報は永久にギルドの宝とさせて頂きたいのです。

 このギルを今後もアツシ様のふるさとと思って下さいね。

 あなた様の疑問や色々なことへご協力をさせて頂きます」

「アツシ、良かったな。初めて綺麗なお姉さんができたのぅ」

「そうですか。私を姉と思っていただいて結構ですよ。アツシ様。

 私は一人っ子なので弟が出来たみたいで嬉しいです」

「う、うん、ありがとうございます。よろしくお願いします」

「色々と準備いたしますので、このファイルを読んでおいて下さいね」

とレイさんは席から立ち上がり、部屋から出て行った。


ファイルには以下情報が記載されている。

魔物使い(A級までのもの)※A級以上の能力等は不明。

能力 魔物を使役できる。

レベルが高くなるにつれてより強い魔物が使役できる。

仲間にする方法 対象の魔物がLP1の時、仲間にすることが可能な時に限り、

魔物の上に魔法陣が浮かぶ。※LP=ライフポイント

 その魔法陣へ手をかざし吸い込まれると仲間となる。

 仲間になった魔物の能力等が分かる。

仲間になってする事:名前をつける。

          褒めて可愛がり育てる。

仲間の格納場所:影の中。いつでも呼び出し可能。


しばらくして席を外していたレイ嬢が、笑顔で部屋へ入って来る。

彼女の腕には、上等なお盆に金属プレートが乗せられている。

「アツシさま、お待たせしました。これがギルド証でございます。

 これはノリオ様のギルド証も同じなのですが、

 アツシ様もA級と表示させて頂いています。

 A級冒険者は結構いますから、と言ってもまぁ少ないですが、

 S級と知られると身の危険の可能性がございますことと

 S級情報の秘密厳守のためでございます。ご了承下さい」

爺ちゃんが門の衛兵へ見せていた金属プレートが目の前にあった。

「これからノリオ様とアツシ様は色々な町へ行かれることと思います。

 その町へ入る時やギルドでの依頼を受ける時は、

 必ずこのギルド証を見せて下さいね。

 そうすればそのギルドでの依頼を受けることが出来ます。

 また依頼終了時の賞金もこのギルド証へ入金しますから、

 ギルド内にある両替屋で必要なお金を出金して、

 宿屋や武器屋などでの支払いにご使用ください。

 アツシさま、この旅立ちのギルドは、

 いつでも帰りをお待ち申し上げております。

 身体には十分に気を付けて冒険なさってくださいね」

二人は、レイ嬢に見送られて旅立ちの町ギルドを出た。


今日も天気が良くて、ポカポカして優しい風が吹いてくる。

その風に混じって、かば焼きのような匂いが混じっている。

「アツシよ、楽しみじゃのう。では冒険開始じゃ」

「ねぇ、爺ちゃん、いい匂いがしてるし、少し腹減ったよ」

「そういえばわしも宿屋の朝食食べただけだったな。買い食いでもするか。

 この匂いは、シークンという羊みたいな魔物の串焼きじゃな」

爺ちゃんは熊みたいな顔をした親父のいる屋台へ行って

「おやじ、その串を4本ほどくれ。それと蒸しファンも4枚」

「はいよ。ありがとうごぜーやす」

「アツシ、これは、まぁわしらの世界ではカバブみたなものだな。

 一本はそのまま食べて、もう一本はサンドイッチにすればいい」

この串焼きは、野性味溢れる肉で、醤油っぽい匂いがして、

やや肉質は堅いが噛めば噛むほど美味しさが湧き出て来た。

爺ちゃんが、指輪から「ペットボトルのお茶(日本製)」出して飲んでいる。

僕は、アメリカ製の茶色の炭酸飲料を空間から出して貰って飲んだ。

爺ちゃんは、朝にグリンちゃんの家から何か出してるなと思っていたが、

こういう飲み物とは思わなかった。

『このままなら他にも入れてるなぁ。いいのか持って来て・・・』

と思った時、グリンちゃんから返事があった。

『大丈夫よ。ここで出たゴミはあの世界へ戻った時にゴミ場へ捨ててるから』

爺ちゃんが僕に

「冒険の前にステータス画面を見たらいいぞ」と話すので見たら以下だった。


名前:アツシ

職業:魔物使いクラス:S級レベル:1

体力:5 筋力:5 素早さ:5 魔力:1000 

仲間数:0 スキル数:0 スキル名:0

いよいよ魔物使いとして登録されての出発です。

今後の戦いが楽しみです。

大魔法使いの爺ちゃんとのお気楽冒険を楽しんでください。

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