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11.湖の町1(女神様達の噂)

翌朝、大森林の町ギルドへ顔を出して、すごい賞金を貰って出発する。

なんと出発前に門までパレードがあり、大いなる功績で

爺ちゃんと僕は『大森林の町名誉町人』として表彰された。

次の町は湖の町だった。

歩きで3日、馬車で1日、魔法で一瞬らしい。

色々と体裁も考えて小さな馬車を買う事にした。

指輪もあるし特に運ぶ物も無いが、

コタローやミャウも興味津々で外の世界を見たがっているし、

2人と何匹かで旅をしているらしい一行に見えるからだ。

爺ちゃんは、馬車の荷台にフカフカの藁を敷いてゴロゴロしている。

コタローはその横に寄り添っているし、

ミャウは爺ちゃんのお腹で丸くなって眠っている。

森林白銀狼族のシルバーが馬車を引くと言って聞かない。

仕方ないのでお願いすると、なんと彼は馬ほどに巨大化した。

爺ちゃんはシルバーが馬に見えるように変装魔法をかけてくれた。

彼とは話ができるため当然のことながら鞭は要らない。

馬車は揺れるため、爺ちゃんの浮遊魔法で

金魚鉢の中の水を、泳ぐ金魚のキンタローと一緒に空中に浮かせ、

その水玉の表面にミドリカメのミドリを浮かせている。

ヒョウモントカゲモドキのヒョウは僕のお腹でじっと周りを見ている。


魔鷹ホークや魔蝶アゲハを先行させて偵察させ、

もし前方に危ない魔物や野党がいたら、

コタローやミャウが心配なため事前に眠らせるつもりである。

魔イモ虫ツッチーは、

グリンさんの家の空間の一部を畑に変えて土を作らせている。

魔蜂ビーは、馬車周りの警戒と蜂蜜集めをお願いしている。


『少し先の藪の中で潜んでいた10名の野盗はその場で眠らせた』

とホークから連絡があった。

爺ちゃんに急行して貰い、手足を木の蔓で縛ってその場で拘束させた。

爺ちゃんが「ほい」と言って野盗と一緒に消えた。

すぐに爺ちゃんが現れて、さっき湖の町の衛兵へ渡したらしい。

町に着いた時に懸賞金を渡すとの約束を貰っている。


しばらくすると遠くに金色に光っている大地が見えて来る。

近づくとその正体が見えて来た。

見渡す限り金色に輝く小麦の畑だった。

鑑定眼の画面には

名前:ムコギー

種類:穀物☆

用途:食用☆そのままでも粉砕しても可能

産地:湖の町近郊 ※非常に有名な穀物である。


アツシは、ふと名前と種類の隣の空白部分に☆があることに気がついた。

下側へ移動させると小さく☆の説明があった。

『☆を押すと元の世界の物との代用可能性について説明される』

と記載されている。

アツシはすぐに☆を押して★へ変更すると表示内容が変更された。

名前:ムコギー

種類:穀物★(小麦の代用)

用途:食用★そのままでも粉砕しても可能

(小麦粉と同様な使用方法が可能)

産地:湖の町近郊 ※非常に有名な穀物である。


今まで買った野菜は、町で売っているおばさんに

「どんな料理をするのか?」「味はどうなのか?」など聞きながら、

元の世界の野菜の代用として買って使用した。

この機能にもっと気付いていればもっと簡単にわかったのだった。

さすが女神様のよく考えた思いやりのあるプレゼントだった。

『このお礼は料理でするぞ』と心で叫んだ。すると

『アッツン、あの時に思いついてあなたへつけたものだから

 十分に説明してなくてごめんね。でもわかって良かった。

 その使い方を覚えれば、あなたもこの世界が住みやすくなるわ』

と女神様から声が頭へ響いた。


やがて金色の波打つ畑が切れると

空の色と変わらない青い湖面が目の前に広がっている。

白い壁に囲まれた湖の町がポツンと見える。

門番の衛兵にギルド証を出して町へ入る。

町の港からは漁をしている多くの小舟が湖面に見える。

もうすぐ夕方で太陽が少しずつ湖面へ傾いている。

爺ちゃんが宿屋を探して、馬車を停めている。

アツシはシルバーが魔物であるためすぐに影へ入れて隠した。

宿屋に入るとヒト族のおばさんが

「いらっしゃいませ。湖の町の宿屋です。お二人ですね。

 お泊りは何泊されますか?お食事はどうされますか?」

「そうだのぅ。とりあえず2泊分を渡しておくぞい。

 食事はまたその時にお願いするよ」

「承知しました。ではご案内します。

 これからご案内する二階の部屋の窓からは、

 この町の誇り、美しい湖“ロマン湖”が見えるレイクビューのお部屋です。

 この町一番の景色が見えるお部屋です。ゆっくりとなさって下さいね。

 そうそう、当館は露天風呂で有名でございますが、

 実はとても好評と噂になっている大森林の町と同じ“ウサナ”なるものを

 私共も作りましたので良かったら入って下さい。

 澄んでいて冷たい水のロマン湖から水を引いていますから、

 身体の芯からすごく出来上がるって噂です。

 天国だと言う人もいますよ。ぜひどうぞ」

やがて宿屋のおばさんが案内して部屋から出て行く。

「ウサナ・・・嫌な予感がする・・・わしは今日、早く寝るぞい」

『ノリリン、甘いかも・・・女神様がもうこの話を聞いてるよ』

「うへっ・・・やっぱりそうかのう。これもこの世界の為・・・」

「やったーやっとお仕事が終わったわ。アッツン会いたかったわ」

「女神様、いらっしゃいませ。お久しぶりです。あれっ、フォーレ様・・・」

「はい、先ほどお姉様から噂になっているウサナなるものを初めてお聞きして

 是非ともご一緒させて頂ければと思い参りました。よろしくお願いします」

『ねっ?ノリリン。私の言った通りでしょ?』

「そうじゃのう、でもいつも女神様と一緒にいるわしらは幸せじゃ」

「そうだよ爺ちゃん。またみんなで楽しくお風呂に入ろうよ。

 美味しい物も昨日の夜に作ったしね」

「そういえば、色々と作っていたのう。

 最近、妖精使いでもないのに妖精たちと仲良くなっておるのう。

 魔物使いの筈なのに、妖精たちへわしより細かいお願いが出来て、

 妖精たちも我先にいそいそと手伝っているから不思議じゃ。

 そんなアツシが楽しみじゃ」

「そうなの?アッツン・・・妖精まで・・・すごいわ。

 その作っていた物が楽しみ。じゃあ最初は露天からね」

「今、宿屋のおばさんへ風呂の貸切の予約してくるから待ってちょ」

「女神様、今日の夜ご飯は食べましたか?」

「いいえ、そういえば昨日今日と忙しかったから大した食事も出来てないわ」

「じゃあ、今から軽い食事を作りますね」

「アッツン、助かるわ。何でもいいからお願いね。お腹空いてきちゃった」

「気に入ってくれればよろしいのですが、少しお待ちください。

 窓際のあのテーブルから景色でも見て飲み物でも飲んでいて下さい」

「宿屋に聞いたが、今日の宿泊者は我々だけだから、いつでも貸切オッケーじゃ」


僕は、元の世界のティーパックへ空間からお湯を入れて

少しのブランデーと昼間に魔蜂ビーが集めた天然蜂蜜を垂らし、

お皿へ細長いクッキーを二本付けた。

「まぁ上品なオサね。ここからの美しい景色と溶け合っているわ。

 疲れがすっと消えていく・・・はぁ・・・アッツンありがとう」

「お姉さま、このオサ、ティーという飲み物は素敵ですね。

 今この素敵なティーを飲みながら

 このような美しい景色を見ていましたら涙が出て来ました」

「お姉様の作ったこの世界、私の森も含めて本当に美しいですね」

「ありがとう。お前達が頑張ってくれているおかげだわ。ありがとう」

「あのー姉様、お忘れでは無いとは思いますが、

 この美しいロマン湖になぜか一番下の妹のレイクがいますけど・・・。

 今さっきからじっとこちらを見ていますわよ」

「ええ、そろそろ声を掛けないと後でうるさいから仕方ないわね」

「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン。レイクだよ」

「レイクったら・・・まだ呼んでないのに。

 なにその変な顔した魔法使いのような掛け声は・・・

 女神たるものお淑やかにしないといけないわよ」

女神様とフォーレ様の間に青い髪色の少女が立っている。

僕は急いで同じティーセットを作って、レイク様の前へ置いた。

「ありがとう。あなたが噂のアツシ君ね。私はレイク。よろしくね」

「レイクは、この世界の湖を回っている筈なのになぜここに?」

「ふふふ、女神の連絡網を舐めてはいけないわ。

 実は姉様だけが美味しい思いをしていると噂になっているのよ。

 ましてやフォーレ姉様まで美味しい思いをしているって聞いて

 予定を早めてこの湖へ急いで視察に来たのよ」

「ふ、ふーん、何も別にみんなに内緒にしていた訳ではないわ。

 ただアッツンがたくさん作るの大変だから言わなかっただけだわ」

「一人くらい増えても大したことじゃないわよね?アツシ君」

「レイク様大丈夫です。何とか材料もありますから・・・」

「もう、アッツンたら・・・優しいわ。あなたが良いなら仕方ないかな」

「アツシ君、私の分もお願いね」

「承知しました。少々お待ちくださいね。昨夜作っておきましたから」

今夜の晩御飯は以下だった。

1.「魔猪イノブーのハムのミックスサンド」

  薄くした蒸しファンの両面へ辛子マヨネーズを塗り

  魔猪イノブーのハムとウリキとレスターとマトトのスライスをはさんだもの。

2.「魔猪イノブーのロースカツサンド」

  薄くした蒸しファンへ辛子バターを薄く塗り、

  たっぷりとソーズをかけた魔猪イノブータのロースカツと

  刻んだカベツをはさんだもの。

3.「コケッコーの厚焼き玉子サンド」

  厚く焼いたコケッコーの卵の出汁巻き卵を蒸しファンへはさんだもの

それらを一口サイズに切って別々の皿へ並べた。

最後に「チーチのカッティングチーズサラダ」

  カットレスター、マトト、ウリキのドレッシング和え

  胡椒をふった新鮮チーチのカッティングチーズのせ


これらを並べた時、

「なんとオシャレな晩御飯じゃろうか・・・

 このサンドイッチ、最初はビールかのぅ。

 白ワインも赤ワインも捨てがたい」

「私は、森の葡萄で作ったホワリーを持ってきました。

 白ワインというのは、見た感じだとこれと同じですね」

「私は、レドリーにしたけどこれも合いそうね。

 赤ワインというのはレドリーみたいね」

「私は、ジュースがいいのに・・・」

「レイク様、フレッシュアプリジュースもありますよ」

「えっ、アプリジュース?・・・飲んだ事ないわ。それがいい」

「まぁレイクはお子様だからそれにしなさいな」

「もう、いつも子ども扱いして・・・私もいつかはもっと・・・

 まぁ私たち女神族は成長遅いからしかたないわね」

「レイクは、そのままが可愛いの。あなたは私たちのアイドルよ」

「フォーレ姉様、アイドルなんて・・・ヤッターうれしいー」

など騒ぎながら夜は更けていく。

またまた新しい女神様が登場して楽しい食事会は続きます。

何とか異世界での食材で元の世界の料理を作ろうとしているアツシだった。

きっと皆さんも同じ物が何もない世界で自分の世界の料理することは楽しいと思うはずです。

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