抑止力。
あの日、第二王子による婚約破棄がなされていたのならば。
悪役令嬢アリシアは、覚えのない罪により古い塔に幽閉され、短い一生を終えるはずであった。
侯爵令嬢マーガレットは、親友の冤罪を晴らそうと奔走し、その最中に何者かの手によって命を落とすはずであった。
その事に激怒した隣国の王子達の進言により、国交は断絶。
やがて、二国間で戦争が始まった。
娘を陥れた第二王子を憎んだアリシアの父親は隣国と通じ、その罪により処刑された。
光魔法を使えるヒロインのユミィは、「聖女」として祀り上げられ、最前線に身を置く事を強要された。
ユミィを慕う騎士団長の息子であるリカルドは、彼女と共に戦場へ向かい、そこで命を落とした。
子爵令息アレクの住む子爵領は、主戦場の一つとなり、領民や農作物などに多大なる被害を被った。
親友と父親の末路を知ったアリシアは、絶望した。
恨みと、悲しみと、憎しみと、ありとあらゆる負の感情に心を失い、この世の深淵へと身を置いた。
アリシアを贄として、決して目覚めてはならないナニかがこの世に姿を現した。
アリシアの怨みにより、真っ先に王家が滅んだ。
そして、あの婚約破棄の場にいた全ての者が報いを受けた。
ソレはやがて、国を、大陸を、世界を滅ぼした。
これらは、全て仮定の話である。
完
これにて完結となります。
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