↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平穏な日常にサイレンが鳴っていると君は言う  作者: 悪魔の海賊出版


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/9

第三話

第三話



 やってきた次の日曜日、マキとアキは朝昼兼用(あさひるけんよう)の食事をした後、コーヒーをいれた。

 ふたりはほとんどテレビを見ないのだが、この日は何か新しい遊園地の情報でもないかとテレビをつけた。

 コーヒーを飲みながら、休日のテレビを見ていると、奇妙(きみょう)な話題についての紹介(しょうかい)が始まった。

 それは、どこかでサイレンの音が鳴っている。という噂(うわさ)についての話だった。


 ………最近、どこかでサイレンが鳴っている。という噂(うわさ)が街に流れています。

 この噂(うわさ)の真相(しんそう)について調査しました。

 番組スタッフが、街周辺のみならず、全国的にサイレンを所持している自治体、工場、化学プラント、石油プラント、発電所、あらゆる関係各所に確認しましたが、サイレンを鳴らしいているという事実はありませんでした。

 しかし、街にはサイレンが聞こえる。という人が現れはじめています。

 この現象は何か? 当番組は追跡調査を行います。まず、サイレンが聞こえるという方に連絡し、実際にインタビューを行いました。

 それでは、サイレンが聞こえるという方のお話をどうぞ。


 画面が切り替わり、モザイクで顔を隠された人が現れ、加工された音声で話はじめる。


「最初にサイレンに気がついたのは真夜中でした。

 遠い遠いどこかで、サイレンが鳴っているのが聞こえました。

 真夜中のことでしたし、寝ぼけてもいたのだろうと気にしていなかったのですけど……

 だんだん……その音が大きくなってきて……」

「それは、昼間でも聞こえるのですか?」

「はい。聞こえます。

 以前は聞こえなかったのですが、今は……

 ずっと聞こえるわけではないですが、静かな時には、遠くでサイレンが鳴っているのが聞こえるようになりました」

「それは、どこから鳴っているかとか、何かけんとうはつきますか?」

「どこか、というのはわかりませんが……。西……、西の方角から聞こえるような気がします」

「西、ですか、他に何かわかることは?」

「わかりません、ただ、すこしづつですが、サイレンの音が大きくなっています」

「例えば今ですが、そのサイレンは聞こえますか?」

「…………はい。かすかにですが……聞こえます」

 アナウンサーは目を閉じ、耳に神経を集中するようなそぶりをみせる。

「私はいま耳をすませてみたのですが、私にはサイレンの音は聞こえません」

 インタビューはそこで終わった。


 マキはテレビに食い入るように見入っていたが、強い視線を感じて目をテレビからはなした。

 アキが、じっとマキを見つめていた。

「サイレンが聞こえる。って夜に言ってたよね? これ、それじゃない?」

 アキの視線は、じっとマキに向けられている。そして、その視線は何か無言の力がこめられているような気がマキはした。

「う、うん…」

 マキは何か重圧(じゅうあつ)のようなものを感じて、そう答えることしかできなかった。

「なんだろうね?」

 アキはそう言うと、視線をマキから外さずコーヒーを飲んだ。

「なんだろうね?」

 マキは同じ言葉を返して、コーヒーに手をのばす。

「聞こえないけどね」

 アキはそう言って、ようやくマキから視線を外した。

 テレビではもうサイレンの話題は終了して、新しい遊園地の話題へと移っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。