第二話
第二話
それからまたあわただしい一週間が過ぎ、日曜日の夜がやってきた。
マキはアキに職場でのことを話さなかった。
忙しく過ぎていく一週間の中で、二人で唯一いられる時間を、二人は全力で楽しんでいた。
街に出て、気になっていた店をまわり、映画を見て、レストランで見た映画についてえんえんと話し、また夜を迎える。
真夜中のベッドの中で、マキは気づいた。
あの遠くで鳴っているサイレンの音が、大きくなっていることに。
窓の外、遥か彼方遠くで鳴っていたかすかなサイレンの音は、確実に大きくなっていた。
「ねえ、サイレンの音、聞こえない?」
マキはベッドに横になり天井をみつめたままアキに言った。しかし、アキからの返事はなく、アキの規則正しい寝息だけが、それに答えた。
また慌ただしい一週間がはじまり、マキとアキは仕事に追い立てられる日々に戻る。
マキは職場へと向かう途中、耳を澄ませてみたが、昼間の雑踏の中に、あのサイレンの音は聞こえなかった。
マキは仕事中、サキの様子に注目していた。
やはり、サキは先週より耳を気にしていた。
「サキちゃん、ちょっと先生とお話しよ」
マキはサキと話そうと思った。
あのサイレンの音について。
マキがあの音についてサキに
「音が大きくなってたりしない?」
と聞くと、サキはこくりとうなづいた。
「うん、どんどんどんどん大きくなってる」
サキの言葉に、マキは日中でも耳を澄ますようになっていた。
あの真夜中に聞こえるサイレンの音が、昼間も聞こえるのではないかと思って。
だが、街の雑踏にかき消されるのか、マキには昼間にあのサイレンの音が聞こえることはなかった。




