第三十六話 六人の戦い
敬由は杭を破壊する。
六つの杭が同時に砕け、忘却門の霧が薄くなる。
「これでお前たちの計画も終わりだ」
敬由はレオルを見据える。
しかしレオルは残った門の核を自分へ取り込み、顔のない白い仮面を装着した。
空間が折れ曲がり、六人が地下門へ集められる。
「これは?!」
「一体どうなってやがる!」
「何でここに」
エリシア、ボルガ、リネットは驚く。
「空間魔法か」
伊織は冷静に分析する。
「神器とは、強者の記録を選別して残すものだ」
レオルの身体に、過去の戦士たちの動きが重なる。
「弱者の記憶など世界を濁らせるだけ。魔王陛下の時代に不要な過去は消える」
「百面鬼は、そんなこと言ってない」
敬由が面をつける。
「ならば、止めてみせろ」
戦闘が始まった。
レオルは空間を飛び越え、六人の死角から攻撃する。フィアが出口を読み、エリシアが軌道を伝え、リネットとボルガが攻撃を受ける。
伊織が雷風をまとい、レオルへ迫った。
だがレオルは敬由へ狙いを変えた。
空間刃が伸びる。
「敬由ー!」
伊織が間へ入り、肩から胸を深く切り裂かれた。
「伊織さん!」
白蓮が床へ落ちる。
敬由の中で、何かが弾けた。
伊織の《迅雷》を思い浮かべる。風で加速し、雷で神経を強化する二属性複合術。
「やめろ....敬由....」
伊織が血を吐きながら言う。
「お前の身体じゃ耐えられない」
「でも、今使わなきゃ」
敬由は百面鬼を通して雷と風を魔力で代用した。
《模倣・迅雷》。
視界が紫に染まる。
一歩でレオルの前へ到達し、短剣を振るう。
速い。だが伊織より僅かに遅く、軌道も甘い。
80%。
レオルは攻撃を見切り、敬由の脚へ空間刃を放った。
「しまっ―」
刹那、筋肉が裂け骨が軋む。
敬由は床へ転がった。




