第三十話 再会
東門前の広場で、衛兵たちが二人を囲んでいた。
そこには、白銀の刀を持つ黒髪の男。その後ろに、フードを剥がされ角を露わにした少女。
「伊織さん?」
敬由の足が止まった。
伊織が振り返る。
「敬由」
まさか、異世界で会うとは思ってもいなかった。
伊織を見た瞬間、敬由の目から涙が出た。
「伊織さあああん!」
駆け寄ろうとした敬由の前へ、リネットが盾を構え立ち塞がる。
「待って。隣にいるのは魔族」
フィアも短剣を構える。
伊織はフィアを庇うように一歩前へ出る。
「武器を下ろせ」
「その魔族から離れて!」
リネットが叫ぶ。
「断る」
敬由は涙を拭き、フィアと伊織を交互に見た。
「伊織さん、まさか魔族に洗脳されてるんですか?」
「再会して最初の言葉がそれか」
「あの人がタカユキ?」
フィアが尋ねる。
「ああ。想像してたより面倒だろ」
「ちょっと、俺のことどう説明してたんですか!?」
一瞬だけ互いの緊張が緩む。
だが衛兵隊長は剣を下ろさなかった。
伊織を見つめ冷たく言い放つ。
「魔族の身柄を引き渡せ」
伊織は白蓮手をかける。紫電が走る。
敬由は二人の間へ飛び込んだ。
「待ってください。伊織さんが庇ってるなら、何か理由があるに決まってます!」
リネットはその光景を見ながら敬由に聞く。
「洗脳されてるんじゃなかったの?」
「それは一旦保留で」
伊織が深く息を吐いた。
それから、フィアの持つ侵攻記録と、自由都市連盟の証明書が確認され、二人は監視つきで入城することを許可された。
二人は再会した。
しかし二組の距離は、広場に残る剣と盾の間合いより遠かった。




