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第二十九話 城塞都市アルノス

敬由たちは正午にアルノスへ到着した。


 高い二重城壁と、多数の見張り塔。街路は軍隊が移動しやすいよう広く、地下には古い水路が張り巡らされている。


 資材を工兵隊へ引き渡すと、現場監督が崩れた坑道の図面を見せた。


「地下水が増えて工事が止まっている。ドワーフの意見を聞きたい」


 ボルガは現場へ案内される。その後を敬由が追って入る。


 ボルガは敬由を一瞥するが何も言わない。


 壁面には新しい補強材があるが、床の一部だけ妙に乾いている。


「水はここを避けて流れてるみたいです」


 敬由が石床を叩く。


 乾いた音がする。


「下に空洞があります」


「首を突っ込まないって言ったよね?」


 リネットの声が背後から飛ぶ。


「ちゃんと相談します! 成長してるでしょ?」


「まあ、人助けにはなってるからな」


 ボルガが床石を調べる。そこには黒印の集団が使っていたものと同じ印が、泥の下へ刻まれているのを見つける。


「これは....」


 四人はギルド支部へ報告した。


「奴らがアルノスで何かを企んでる」


 ボルガは断言する。


「でも」


 敬由が話すのを遮り、冒険者が駆け込む。


「大変だ、東門付近で魔族が見つかった! 白い刀を持った人族と一緒だ!」


 リネットの表情が凍った。


「魔族……」


 リネットの故郷は数年前、魔族部隊に襲われている。


 敬由はその言葉を聞くと、皆と東門へ走った。

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