第十八話 追われる理由
白蓮を得た翌朝、フィアが消えた。
部屋には短い書き置きがあった。
『助けてくれてありがとう。ここからは一人で行く』
「字は綺麗だな。内容は馬鹿だが」
伊織は空間魔法の残滓を追った。微かに魔力を感じる。
伊織は迷わず追いかける。
一方、フィアは町外れの廃屋で黒印の男と会っていた。
「父の荷物はどこ?」
「カナリスの保管庫だ。だが鍵は魔王軍が持っている」
「約束が違う!」
「反逆者の娘と約束などするか」
影から男たちが現れる。
伊織は白蓮を抜いた。紫の紋様が刀身へ走る。
《雷纏・紫電》。
一閃。男たちの武器が遅れて砕けた。
武器を無くした男たちは伊織によって拘束された。
「一人で行くという書き置きは読めなかった?」
フィアが睨む。
「読んだ。だから追ってきた」
「意味分かんない」
呆れたようにフィアが呟く。
「お前が一人で勝手に決めるなら、俺にも勝手に追う権利がある」
男を衛兵へ引き渡した後、フィアは自分の過去を話した。
父セイン・レグナは魔王軍の将校だった。アルフィナ大陸の村を襲う命令を拒み、民間人を逃がしたため処刑された。
死の直前、侵攻計画と神器回収命令の記録をアルフィナ側へ送っている。
「お父さんが正しかったって証明したいわけじゃない」
フィアは唇を噛んだ。
「次に襲われる人を助けたい。でも私一人じゃ、誰も信じてくれない」
フィアは声を荒げる。
「一人じゃない」
「同情ならいらない」
「してない。目的ができただけだ」
「タカユキを捜すんじゃなかったの?」
「情報を届けてからでも捜せる」
フィアは俯いた。
「本当に面倒くさい人」
フィアの目に涙が浮かぶ。伊織は気付かないふりをし答える。
「よく言われる」




