第十一話 四人目
ルーベルへ戻ると、四人はギルド長の部屋へ呼ばれた。
村人の救出、遺跡の発見、黒印の集団に関する情報提供。功績は大きいが、命令違反も無視できない。
「京野敬由」
「はい」
「仮身分証を正式なものへ切り替える。冒険者登録も認めよう。ランクはEだ」
「本当ですか!」
「ただし百面鬼の扱いについては継続調査。無断で街の中で使うな。神器を理由に高位依頼を受けることも認めない」
「はい!」
「それから、今度勝手に単独行動をしたら資格停止だ」
「……はい」
部屋を出ると、敬由は木製の登録証を上へ掲げた。
「冒険者……俺が……」
「最下級だけどね」
リネットが笑う。
「最初はみんなEだろ!」
ボルガはそう言いながら、背負っていた大きな袋を敬由へ投げた。
「何です、これ」
「お前の装備だ。その服のままじゃ目立ちすぎる」
中には丈夫な革の上着、小盾、短剣、工具を収める腰袋が入っていた。どれも新品ではないが、丁寧に修理されている。
エリシアからは小さな手帳を渡された。
「これは?」
「百面鬼の使用記録を書いてください。文字は私が教えます」
敬由は苦い顔をしながらも受け取る。
「本当に記録しないといけないんですか」
「当たり前です。無理をされては困りますから」
リネットは新しい靴を差し出した。
「長靴ってやつ、穴が空いてたから」
敬由は三人を見回した。
「これって、その……」
「言わせないでよ。恥ずかしい」
リネットの尾が左右へ大きく振れている。
ボルガが咳払いした。
「俺たちは街道調査のための臨時パーティーだった。そして依頼は終わった」
エリシアが続ける。
「今後も行動をともにするには、改めて固定パーティーとして登録する必要があります」
「俺でいいんですか」
「駄目な部分は多いです」
「そこから入ります?」
「忘れっぽい。判断が軽い。神器を装着すると無茶をする。女性に対しての免疫がない」
「最後のは関係ないでしょ!」
「ですが、あなたにしか見えないものがあります」
エリシアは静かに言った。
「私たち三人だけでは、ベルク村の全員を救えなかった」
リネットが右手を差し出す。
「だから、これからよろしく。四人目」
敬由は胸が熱くなるのを感じていた。リネットをしっかり見据え手を伸ばす。
敬由はその手を取ろうとして、女性の手だと意識し、三度ほど空振りした。
「こういうときまで緊張する!?」
「すみません、手汗が!」
ボルガの笑い声がギルド中へ響いた。




