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実習

ついに実習スタート!圧倒的な才能に武尊は…?!

「今日から別々だね」

「そうだな」

「頑張ろうね」

「お前も無理すんなよ」

WLSに向かう道中、武尊と真樹は自分たちが別々になるということを再度認識しながら向かっていた。


37期 戦闘候補生→

37期 医療候補生←


到着すると看板が立てられていた。

「じゃあこれからどっちが先に取るか競走ね!」

真樹が武尊に言う。

「ええ…いいよ面倒くさい」

「いいから!頑張ろ!」

「分かった分かった」

武尊は面倒くさそうに、しかし嬉しそうに笑った。

「よっしゃ、行くか」

「うん!」

2人は別の矢印の方へ向かった。


「お、武尊くん!」

示された部屋に入ると藤丸が席から手を振っている。部屋を囲うように置かれた他の席には戦闘カテゴリーとして発表されたメンバーがまばらに座っている。

「おはようっす」

武尊は藤丸の隣に座った。

「何させられるんだろうね、これ。」

また違う部屋。昨日とはうって変わってかなり大きい。

中央にはゴツゴツした岩が乱雑に配置してある。


「みなさま、おはようございます。本日も私が担当いたします。」

大林。昨日の面談を担当した教官だ。

「本日皆様にしていただくことは、模擬戦闘です。」

「模擬戦闘…?」

「これからこの戦闘カテゴリーに所属する8名を2名4チームに分けて、自分の能力を最大限発揮しつつ、同じチームの方の能力と組み合わせどう立ち回るのかを考えながら望んでください。勝敗はこちらで決定します。」

大林の手元にはWLSのロゴの入ったストラップがぶら下がっている。

「皆様にはこちらを腰につけて頂きます。相手チームのストラップを2つとも奪取した段階で、奪取した方のチームの勝利とします。そして、あくまで模擬戦闘になりますので、相手方に致命的な損傷を負わせるなどして戦闘不能にした場合は即時敗退とします。まあ、そうなる前に止めますが。」

「私の能力は交渉成立(ネゴシエーション)。私と対象の間にルールを強制する。対象は私の視界に入っている半径15m以内の人間全てが対象です。早速ですが、私が良しと言うまで皆さんには動かないで頂きます。」

特にこれといった違和感はなかったが、本能的に動いてはいけないという直感が働き、全員が動かない選択をした。しかし、1人が立ち上がる。

「どういうこと…」

郷原が立ち上がったと同時に倒れ込んだ。

「なんだこれ…全身に力が入らねえ…!」

「だから言ったでしょう、動くな、と。これが私の能力です。」

そう言うと大林は郷原に近づいた。

「恩赦」

「お!動いた!」

「大事が起きる前にこのようにして止めますが、多少の怪我をすることはあるでしょう。そういう時のためにこの教習所には医療特化のプロワンダーも常駐しておりますので、ご安心ください。ではみなさん、立ち上がっていただいて結構です。」

フッと何かが解かれた気がした。恐る恐る全員が確認するように立ち上がった。

「喧嘩ではなくあくまで訓練だということをお忘れなく。今の私のように、無傷で戦闘不能にすることが可能であればそれに超したことはありませんが、今のところそういった能力を持つ方はいませんので、頭を使ってください。チーム分けはまずこちらで。」

配られた紙にはチーム分けが書いてあった。

久瀬涼太郎・森田正義

郷原諭・小田桐ナツ

息吹武尊・藤丸聖

三浦美月・柿沼翔太

「お、同じチームだね、頑張ろう。」

「っすね、頑張りましょう。」

「ではこれから10分の作戦会議とします。ペアでどう戦うかを話し合ってください。」


「さて、どうしようか」

藤丸が武尊に問う。

「そういや、藤丸さんの能力ってなんなんすか?」

「僕は当選確率(ラッキーマン)。簡単に言うと当たりハズレの当たりの方が高確率でわかるって感じかな。」

「めちゃくちゃ戦闘向きじゃないっすね」

「そう言わないでよ…」

「じゃあギャンブルとかめちゃ強いんすね」

「まあ、興味がなくてね、そういうものに」

「へえ」

「とにかく、僕たちの戦い方を考えないと。僕らの相手は郷原くん・小田桐さんペア。郷原くんは完全なパワータイプだから、純粋な戦闘なら頭1個抜けてると思うけど、相手に致命傷を与えてはいけないという制約が効いてる。むやみに突っ込んできたりはしないと思う。どちらかというとこの場合、問題は小田桐さんだね。」

「すんません、把握してなくて」

「小田桐さんは髪の毛を鉄の強度まで硬質化する能力だ。捕縛に優れてる能力だから、髪の毛の状態で絡まされて硬質化されたら終わりだと思った方がいいかもね。」

「あの筋肉バカが捕まえにくるって場合もあるんじゃないすか?」

「有り得るね、一応それも警戒しよう。武尊はなにができる?」

「多分あそこで戦わされるなら動かせるものほぼないと思うんで…」

武尊は中央の岩場を指さした。

「そうか、まあでもやれるだけやろう。今出るべきか、隠れるべきか?の二択なら当たりハズレの応用だから、僕が戦況は読めると思う。とりあえず武尊は今動かせるものを出来るだけ集めて色んなところにブラフを仕掛けよう。あとは相手の出方を見つつ相手の隙を突く、これでいいかな?」

「了解っす。」

「ではみなさん、お集まりください。今回はこちらが模擬試験のフィールドとなります。これと同じものが隣接した部屋にもありますので、こちらでは郷原・小田桐さんペア対息吹・藤丸さんペア、隣で久瀬・森田さんペアと三浦・柿沼さんペアに入っていただきます。」


「ではみなさん、出来る限りお怪我のないように。用意、はじめ!」

「じゃあまず俺は動かせられそうなものかき集めてきます!」

武尊が走り出した。

「分かった、危なそうならすぐに戻っておいで。」

「了解っす!」

「うぉおおお!!」

「おい!ちょっと待てバカ!!!」

小田桐の静止も聞かず、郷原が突っ込んでくるのが見える。

「藤丸さん!あいつ突っ込んできましたけど!?」

「彼の行動は予想がつかないね、僕が注意引いておく、僕の居場所はこれで。」

ストラップには通信機能もついている。ストラップが受信体となり、イヤホンに声が聞こえる仕組み。

「了解っす、頑張ってください!」

ビーーーーーー

部屋中にサイレンが鳴り響く。

「模擬戦終了、久瀬・森田ペア勝利」

同時にアナウンスが流れた。

「!?」

武尊、郷原、小田桐は驚きを隠せない。

「ウソでしょ」

藤丸が引きつったように笑った。

「隣は終了しましたが、気を取られず続行してください。」

林の声でアナウンスが流れ、4人は我に返る。

「くっそ、いくらなんでも遠すぎだろ…!」

圧倒的な強さに、驚くと同時に武尊の中ではふつふつとした感情が湧いてきていた。

「おもしれえ、やってやろうじゃん」

読んで頂きありがとうございました。

次回、小田桐・郷原ペアとのバトルスタート!

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