涼太郎と花子さん
「バカにしてんのかテメェら!!!」
「ほら、花子、怒ってるよ、緊張感がないから」
「緊張感てなによ!涼太郎も全然ないじゃん!クールにしちゃってさ!開口の時あたしと初めて会った時はあんなに可愛いか…」
「花子…その話は今関係ないよ」
「昔の話ホントに嫌いだよねえ、涼太郎〜!」
花子が久瀬の顔を覗き込む。
「また怒鳴られるよ花子、ほら前見て。彼は目線の切り方が上手い。花子の視線の外からの移動もやっぱりこのクラスの戦い方を知ってる人には通じないね」
「いい加減にしろよコラ…!そんなに退屈かよ…!」
宍戸の怒りは最高潮に達していた。
「てめえらは刻んでやるよ…!切斬舞威…大斬!!!」
宍戸の腕は先ほどまでの手首ではなく、肘の部分から高速回転していた。
「自分自身まで切っちまう可能性もあるから普段はやらねえけどな…お前らは絶対に殺す…!斬塔!!」
先ほどとは比べ物にならないほどの大きな斬撃が久瀬と花子を襲う。
「なにあれ!デカ!」
花子が驚いて声を出す。久瀬と花子は左右に分かれてかわす。
「危な…」
「まずはテメェだ…!」
宍戸の左の殴打が花子の顔面にヒットする。
「あぁ!!!」
宍戸はさらに追撃をかける。高速回転している右腕を花子に向けて飛びかかった。
「終わりだァ!!」
「閉扉綴」
花子の後ろに扉が現れ、その中に花子は吸い込まれる。宍戸の攻撃は空を切る。
「クソが!邪魔くせえ!!」
久瀬のすぐ横に扉が現れ、その中から花子が出てくる。
「油断しすぎだよ花子。大丈夫?まだやれる?」
「やれるわよ…あいつあたしの可愛い顔になんてこと…!口避けのババアみたいな顔になったらどうしてくれんのよ!!」
「やめてよ花子、気まずくなるの僕なんだから」
「いいでしょ別に。呼ばなきゃいいじゃん、あたしいるんだし!」
「そういうことじゃないから。そろそろ終わらせるよ、中で何が起きてるか分からない」
「はあい…」
「閉扉綴」
「閉扉綴」
宍戸の周りに複数の扉が現れる。
「鬱陶しい…!」
花子はすぐ側の扉の中へ、久瀬は真っ直ぐ宍戸へ向かう。
「斬塔!」
久瀬はその大きな斬撃をかわす。その時、宍戸は二回、肩を叩かれる。
「!?」
振り向いた先には扉から出てきた花子が手を振っていた。
「てめ…!」
振り向いて右腕を振るうが、すぐに中へ戻り空を切る。
「三散苦吐…!」
「?!」
後ろを振り向こうとしたその時、久瀬の打撃が宍戸の背中にクリーンヒットする。
「ガァッ!!」
宍戸が前へ倒れる。そこへ久瀬が追撃する。辛うじてかわす宍戸に一度、二度と久瀬の蹴りがかすめる。
「こいつのどこにこんな…!」
「えーいっ!」
扉から現れた花子の右の拳が宍戸の脇腹を抉った。
「ぐぅ…!?」
宍戸は踏みとどまって耐えるが、花子が追撃する。一度、花子の打撃を受け止め、反撃に出る。
「斬塔…」
後ろから久瀬の打撃が二度入る。
「ガハッ…!」
宍戸はその場で膝をついた。
「なんなんだ…軽りい打撃と…クソ重てえ打撃…どうなってやがる…!こいつらこんな力あったのか…!」
宍戸は口から少量の血を流しながら、重い身体を起こした。
「なにしやがった…テメェら…!」
「三散苦吐。連撃の三撃目の威力を三乗する、二撃目までの攻撃をかわされるとリセットされるので、使いづらいんです。」
「そうかよ…何言ってるか分からねえが…キレちまったよ…俺はなあ!!!」
宍戸の回転していた肘が止まる。そして肩が回り出した。高速回転する腕が宍戸の足をかすめ、斬れる。
「ずいぶん捨て身の攻撃ですね、やめた方がいいですよ」
「うるせえ…テメェらぶっ殺せりゃいい話だ…!」
「なるほど、無免許なのもわかった気がします」
「るせえ!!刻む!!!」
宍戸の腕は自身の身体を傷つけながら、回転数を上げる。久瀬と花子は構える。
「巨斬輪…!!斬雨…」
「あんなデカいので斬撃ぶちまける気!?涼太郎正気じゃないよあいつ!」
「そうみたいだね…」
久瀬の額を冷や汗が伝う。その時。
「うぉおおお!!本気ラリアットォ!!!!」
「!?」
宍戸の後ろから飛び込んできた郷原のラリアットが直撃する。宍戸は地面に強打された。
「郷原さん!?」
宍戸の回転していた腕が止まった。宍戸は白目を向き気絶していた。
「久瀬くん!大丈夫か!」
「やべっ」
花子はすぐに扉の中へ戻って行った。
「ええ…中は?」
「ああ、今前澤さんが戦ってるはずだ。もう一人は前澤さんの氷で動けなくなっている。久瀬くんが必要だと思ったから戻ってきた!」
「そうでしたか…それにしても凄いですね、一撃で」
「キミが弱らせていたからだろう。そんなことより加勢してくれ!こいつを拘束して早く中へ!キミの力が必要だ!」




