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WONDERZ  作者: シマオヒロ
襲撃編
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37/52

いざ敵陣

「光本!」

武尊たちは医療班の光本を呼び出していた。

「ずいぶん集まってますね」

光本は武尊を含めた5名のチームを見て言う。

「まあな、俺たちで行くことになった」

「そうですか、向こうの人数が分からないのでなんとも言えませんが…多すぎても良くないですからね」

「戦わずに助けられりゃそれに超したことはねえ」

前澤が言う。

「あなたは…?初めて見ますが」

「前澤だ、細かいことはいい、少なくとも敵じゃねえ」

「そうですか、分かりました。では早速いいですか?」


蜉蝣蜥蜴リジェネレーション


光本は目を閉じる。

「場所は分かりました。そんなに遠くない。近くまでご案内します、みなさん覚悟はできてますか?」


「ああ、頼む…!」


一方、AdamTerrace、拠点『家』

「神田さん、連れてきましたよ」

高円寺に連れられて権藤は地下から地上1階の大きな部屋に来ていた。両腕を後ろ手に縛られた状態で、部屋の中央の椅子に座らされた。


果核三番──大久保(おおくぼ)メモリ

「これが権藤?おじいちゃんじゃん!」


果核五番──豊田里美(とよださとみ)

「お年寄りには優しくしなきゃダメよ。」


果核二番──藤丸聖(ふじまるこうき)

「彼は重要な記録を持ってる。頼むよ、メモリ」


果核四番──高円寺俊(こうえんじすぐる)

「神田さん、とっととやっちゃいましょう」


果核一番──日野恭平(ひのきょうへい)

「これで世界が変わるんだね、神田くん」


「ああ、彼の持っている記憶、これが僕たちの未来を作る大事なピースだ。実質これがスタートライン、慎重にいこう。」

AdamTerrace創始者、神田光希(かんだみつき)


敵拠点にはAdamTerraceの幹部が全員集まっていた。権藤から記憶、記録を引き出すために。


「さっきから記録記録、と。何の事だ?」

権藤が口を開いた。それに対して藤丸が言う。

「権藤所長。とぼけたって無駄ですよ、あなたの記録を抽出する準備が出来てないわけないでしょう。全ての準備が整ったからこそ、今回あなたをここまで連れてきたんですから」

「準備か…お前たちはどこまで知っている?」

「ミト・ゴードン、その名と異能社会の起源が繋がっていると」

「勉強熱心だな…お前たちがまっすぐにプロを目指していれば優秀なプロワンダーとしてこの国の誉れとなったであろうに」

神田が口を開く。

「権藤所長、そのあなたのいうこの国がこれまで隠してきた過去と我々に()き続けてきた嘘。これを白日のもとに晒し、我々は与えられざるものたちの目を覚まさせる。」

「それがお前たちの言う『革命』というわけか。その隠された過去とやらを暴いてどうなるかはわかっているのか?まだまだ浅はかな思想にしか見えんが」

「どうなるかなんて自分たちで決めればいい。その過去がわかった時にどうするかを決めるのは、知ったあとにそれぞれが決めることです。人々の生き方を管理しようとする、その自惚れた考えを変えると言っているんです。」

「管理せねば立ち行かない仕組みもあるだろう」

「それは管理する側の一方的な視点です。物事には多角的な視点も必要だ。あなた方管理側は、管理される側の話に耳を傾けない。」

「管理されたくないということか、まるで子供だな。お前たちの思う理想はなんだ」


「──自由ですよ」


「自由…管理の上で成り立つ平和や自由もあるということが分からんのか?旗手を失った軍はやがて道を見失い、やがて壊滅する。国も同じだ。瓦解していくシステム、横行する自由という名の暴力、暴走する民意、容易く想像できる未来だ」

「机上の空論ですね。159年前、能力管理体制が成立してから今日に至るまで、管理され続けてきた民意を解放してどうなるかなんて、誰にも分からない。」


「始めちゃおうよー光希っちー!」

大久保メモリが座っている足をバタバタさせて言う。

「そうだね、これ以上の議論は不毛だ。始めよう。」


AdamTerrace拠点『家』、付近。


「このあたりですね…」

光本は言う。

「これ以上はわからねえのか?」

前澤の問いに光本は首を振る。

「時間が経ってるのでこれ以上は。今でも少しづつ感覚が消えかけてる。これ以上の補足は難しいです。ただ、少なくともこのブロックの中にはあります。」

「仕方ねえ、探すしかねえか…」

「でも、どうやって?人数が少ないとは言え、僕たちは顔が割れてる。見つかれば襲撃される可能性がある。あまりゾロゾロと歩く訳には」

久瀬の問いに前澤は下を向く。

「藤丸さんさえ見つかれば…」

「藤丸…!」

光本のセリフに前澤が答える。

「藤丸ってのともう1人いたんだろ?手が回るワンダー」

「宍戸ですね」

「こっちが分かる顔はその2人か、せめてどっちかでも見つかればな」

「……!じゃあ、僕がやってみます」

森田が本を持ち前に出た。

現示物語(ストーリーテラー)、ケンケンお願い!」

本の中からどろりと墨の塊が飛び出した。

「僕は2人とも顔が分かる。そして僕が見たものは共有できます。」

「そうか!ケンケンは飛べるから索敵にはうってつけだな!」

郷原が手を叩く。

「緊張感がねえなお前は」

前澤の呆れをよそに、キジは飛び出した。

「んじゃ、とりあえず俺らは一旦待機だな。光本、お前は帰っていいぞ。今から24時間以内に俺らの誰からも連絡がなかったら、管理局に連絡入れろ」

前澤はタバコに火をつけながら言った。

「分かりました、健闘を祈ります。息吹さん!」

声をかけられて武尊は光本を見る。

「絶対に無事に助けて戻ってください。」

「分かってる、ありがとな」


しばらくしてケンケンが戻ってくる。

「正義!宍戸って男、見つけたわよ」

「ホントに?!ありがとうケンケン、案内して!」


AdamTerrace拠点『家』、前。

「お?なんだ正義の味方の登場か?」

宍戸は目の前に現れた武尊たちを見て言う。武尊は答えた。


「安い挑発してんじゃねえ…真樹、返してもらうぞ…!」

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