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WONDERZ  作者: シマオヒロ
襲撃編
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先輩⑤

「これからお前がやってる無意識風(マニュアル)、それを全自動(オートマ)にする」

「オートマ…そんなことが...?」

「できるかできねえかはお前次第だ。お前、能力使えるようになってから自分の中で、さっきの石の腕で満足して考えることやめてたろ」

「それは...」

「お前の『最善』は石を武器にすることじゃねえ。お前の能力の強みはその能力の対象の広さだな。お前の強みは本来、場所を選ばないことにあるはずだ。場所がどこでもこちらの戦力を増やせる。」

「それ、大林先生も言ってたっすね、戦力の現地調達。ここ入ってきて2日目とかに言われたんで、なんのことか分からなかったんですけど」

「さすが大林さんだな、やっぱそこ見抜いてたか」

「戦力の現地調達...でも具体的にどうしたら」

「少なくとも石、岩は使える。あとは、火だな。そのライターはやるから、火ィ使えるようになれ」

「火...ですか」

「んでメガネ、お前は顕現の『濃度』調整ができるどうかだ」

「濃度...?」

「顕現対象の出力調整、と言い換えてもいい。今お前は出力ベタ踏みの100%の完全顕現に近いだろ」

「はい...でもそれって」

「猿どもは破壊されたらどうなる?」

「戻ります、この中に」

森田は本を示した。

「顕現の時と同じ、墨みてえになってか?」

「はい、そうです」

「50%まで出力落とす調整でやってみろ」

「半分...」

「ベタ踏み出来てんだからそこの調整はやろうと思えばできるはずだ、悠長にお前らの面倒見てるわけにもいかねえ、2時間で仕上げろ」


一方、AdamTerrace拠点『家』

神田や藤丸が出払った部屋の中で、柱に拘束された権藤と鉄格子の部屋で両手を壁に固定された真樹が残されていた。権藤が真樹に声をかける。

「宮國くんだったかな、すまない。巻き込んでしまって」

「いえ…あの人たちは一体」

「少なくとも私の記憶にはないな、なぜ君は?」

「わかりません。なんか、私の能力がどうのって言ってました」

「君の能力というと…?」

生分組換ネイチャーメイド、変換できる能力なんですけど…そんなにすごい能力じゃなくて…私もなんでなのか…」

「変換…その鉄格子は変えられないかい?」

「あ、そっか…そっちから見えてないと思うんですけど、今私両手縛られて壁に固定されちゃってて…というか縛られてなかったとしても変えられるかどうか…やったことないので」

「そうか…」

「所長さんはどうして…?」

「私が…記録を持っているからだ」

「記録…?」

「君に話すことはできないが、奴らはその記録が目的だ。私だけで済めば良かったんだが、本当にすまない。」

「きっと助けに来てくれますよね…」

「だと思うが、この場所が分かるかどうか」

「場所…どうにか伝える方法があれば…」

「今頃警察と管理局が動いてる。彼らは優秀だ。信じよう。そして恐らく奴らは我々に迂闊に手出しはしてこないだろう。私の持っている記録と、君の能力。利用価値としての拉致であれば、よほど危害は加えてこないだろう」

「だといいんですけど…みんな心配してますよね…」

「そうだな…」

鉄の階段を降りてくる音がした。

「……!」

「おう、元気そうなツラしてんじゃねえか」

「君は…?」

権藤は初めて見るその男に問う。オールバックの赤い髪、赤い特攻服に白いサラシ、顔にタトゥーの入ったその男は言う。

果核四番かかくよんばん高円寺俊こうえんじすぐるだ。お前らを連れていく、立て」


WLSでは武尊と森田は前澤の急拵きゅうごしらえに食らいついていた。

「メガネ、いい感じだ!あとは、その状態から濃度だけ上げろ!!」

「こんな使い方があったなんて…やっぱりすごいな…能力への理解が全然違う…!」

「息吹!てめえは下手くそすぎんだろ!!火使うのも岩使うのも一緒だ!イメージしろ!」

「んなこと言われても…イメージって…」

「お前が思うデカい火ってなんだ」

「花火っすかね…」

「てめえは敵陣で爆発してえのか?自爆なんぞクソほど役に立たねえよ」

「でも他にデカい火とか言われても…」

武尊はライターの火を見つめる。

「段階を踏め、イメージを固定しろ。ライター、コンロ、焚き火、こういうレベルでいい。頭の中で火力を上げろ」

「火力を…上げる…!」

「火力ってのはデカさじゃねえ。デカいのが出来るようになったらあとは調整だ。メガネもそうだが、ベタ踏みができたらあとは緩めていきゃいい。必要に応じて密度で火力を上げるイメージだ」

「くっそ…!なんで俺はこんなこともできねえんだ…真樹を助けるんだろ…こんなんじゃ助けられねえ…火力を上げろ…!イメージしろ…!扱え……!自分の能力だろ…!!」

その時武尊の中の自らに対する怒りや、真樹を助けられない葛藤が、イメージと混ざり合う。前澤が驚いたように動く。

千手寒音アイススクリーム!!!」

前澤と森田の前に氷の粒を積んだ壁を作った。氷の壁は武尊の無意識に放った『火柱』を食い止めたが、数センチを残して溶けた。


「すんません先輩!」

「危ねえな下手くそが…!だが、キッカケは掴めたみてえだな。今のを磨く。あと30分で実践で使えるまでにするぞ」

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