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WONDERZ  作者: シマオヒロ
襲撃編
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32/52

先輩②

「俺が権藤さんを取り返す…!」

「え…?!」

武尊と森田は驚いて前澤を見る。

「取り返すって…?」

「なんだメガネ、キレそうなのは見た目だけか?バカ共の根城に乗り込んで取り返すって言ってんだよ」

「そんなこと…なにかアテでも…?」

森田は聞いた。

「アテ?ねえよ」

「え…?」

「して、お前ら、強いのか?」


「ああ…勢いだけの人か…」


「アテもなく僕らを?」

森田が前澤に聞く。

「そんなんあとから考えりゃいいだろ、大抵世の中どうにかなるようになってんだ」

「はあ…」

「んで?お前らは何ができる?──」


森田と武尊は前澤に連れられて、教習所内の訓練場に来ていた。森田が前澤に言う。

「前澤さんここのこと詳しいんですね」

「まあ、長いからな」

「35期ってことは修了生ってことですもんね」

「修了はしてねえ」

「は?」

「ライセンスはもらってねえんだ、俺は」

「どうして…?」

「まあそれはいい、ライセンスが無くてもやれることはある。特別時臨場許可ってのが俺には出てる。政府の偉いさんから許可が出た場合は、ライセンス未所持でも戦場に出ていいってわけだ」

「へえ、そんなのあるんですね」

「まあ本来そんなもんライセンス取れてりゃいい話だからな、俺以外には聞いたことねえ、いや、関西校に1人いるっつってたな、会ったことはねえ。」

「なんでそんなに権藤所長を?」

「あの人には返しきれねえ借りがあんだよ、これで取り返せりゃ少しは返せる。で?お前らはなにが出来る?見せてみろ」

前澤は大きな岩に腰掛け、タバコに火をつけた。

「禁煙っすよ」

「バレやしねえよ、灰皿も持ってる」

武尊の注意に前澤は反論した。

「いいから見せろ、お前らが使えそうならいい、使えなさそうならそれまでだ、俺だけで行く」

「アテないんじゃなかったんですか」

「ねえとは言ったが、色んなところに顔が効くからな俺は。調べることはできる」

「そうっすか」

「じゃあまず僕から」

森田は背中のバッグから本を取り出す。その本を抱えて目を閉じる。本の中から墨がどろりと吹き出した。

現示物語(ストーリーテラー)

森田の周りに犬、猿、キジが現れた。

「なるほど、顕現だな。出力もそれなりだ、現役教習生にしちゃまずまずってとこか」

「ああ?!まずまずだァ?!」

猿のジョージが前澤にくってかかる。

「やめなさいよジョージ、みっともない」

「そうだよ、短気は良くない」

キジと犬が制した。

「なんだ、喋んのかそいつら」

「はい、意思の疎通が本質なので」

「そんだけ意思のある状態でお前の言うことは聞くのか?ちゃんと」

「言うこと聞くというよりも、僕らは平等なので…」

「そうか、十分だ、じゃあ次、お前」

「お前って…」

武尊が前に出る。

生命判断ライフエントランス…!!」

武尊の周りの石や岩が呼応する。ゴロゴロと音を立て、武尊の周りに集まる。

「ほう…?」

前澤は感心したような顔で顎を触った。

「ヒューマロック、シヴァ!」

武尊の肩から腕のように岩の腕が伸びる。

「っし、できた!」

武尊は安堵の表情を見せる。

「ん?で?」

前澤はポカンとした顔で武尊を見る。

「で?とは…?」

「それで終わりじゃねえだろ?」

「いや、これが今のところ最善というか」

「それが今の全力か?」

「そうっすけど…」

「そうか…残念だな」

前澤は立ち上がる。

「メガネ、お前だけ来い。お前はいらん」

前澤は手の甲を払うような素振りをする。

「は?」

「今のお前を連れてったとこで無駄に死体が増えるだけだ、だったら連れてかん方がよっぽどいい」

「ちょっと…前澤さん?!」

森田は前澤を見た。

「これからしようとしてることは、今お前らがやってる教習とはまるで別モノだ。俺は何度も戦いに出てる、だからこそ分かることもある。諦めろ、お前では明らかに力不足だ」

前澤はくるりと後ろを向いて帰ろうとする。その瞬間、武尊の方から石が飛んできた。石は前澤の吸っていたタバコにあたり落ちた。

「なんだ?フラれて癇癪(かんしゃく)起こしたか、思春期かお前は」

「そんなんじゃねえよ…!」

武尊は下を向いて怒りに震えていた。

「あんたが所長助けたいって言うから、俺も自分で真樹を助けたいって、そう思って覚悟決めてんだよ…!どういうわけか知らねえけど…どこが不合格なのか教えてくれよ…!」

「そんなもん教える義理はねえな」

前澤は再度歩き出す。

「俺は権藤所長の居場所を知ってる」

前澤はピクリと反応して止まった。

「ハッタリで気引こうとしてんなら間違いだぞ…教習生」

前澤はニヤリと笑い、タバコを踏み消した。

「聞きたきゃ聞き出してくださいよ…先輩……!」

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