決断
光本の提案!
「医療班の光本と言います。宮國さんの居場所、僕なら分かります。」
「え……!?」
武尊は勢いよく光本の方へ向き直した。
「どういう意味…」
「詳しく話します。外に出ましょう。」
「真樹の場所が分かるって…?!」
「ええ。」
光本と武尊は建物の外で歩きながら会話している。
「どうやって…!」
「落ち着いてください。順を追って説明します、まず僕の能力から。蜉蝣蜥蜴。僕の四肢は切断しても時間が経てば修復する。」
「……。」
「当然痛みはありますし多少出血もします。ですが体力があれば切断した場所や程度にもよりますが、一定の時間で再生し元に戻ります。」
「それと真樹になんの関係が…?」
「僕は襲撃の際に宍戸というワンダーに指を切り落とされました」
「え!?」
「宍戸は僕がかわしたと思ってます。ですが実際はしっかり指を落とされました。もう回復してますが。あの宍戸というワンダー。ただの戦闘狂のようでした。僕の指がキレイに切断されたことに気付いていなかった。」
光本は右手を握っては解いて見せた。
「そうだったのか…」
「本題はここからです。僕の能力は先程説明した通り、四肢の再生です。ですがそれともうひとつ、僕の能力には特徴がある。それは切り離したパーツは完全に破壊されない限り、しばらくの間、見えない神経のようなもので繋がっている。」
「…?どういうことだ?」
「さっき切り落とされた僕の指はまだ神経が繋がっている。そして僕はその指を、宮國さんに忍ばせました。」
「…!それって…」
「指の位置が今ならまだ分かります」
「GPSってことか…!」
「そんなに感度のいいものじゃないですが、ある程度の場所は分かります。遠すぎたり、破壊されたら僕の力では追えなくなります。今のところは分かります。」
「僕ら医療班は、息吹さんたちのように、戦うことはできない。でも、あの時宮國さんが連れていかれるのをただ見ているしかなかった。僕らは守られた。そうやって命をかけてくれた仲間が連れていかれて、このままただ教習しているわけにはいかない。」
「じゃあすぐに先生にそのことを…!」
「先生たちはあくまで管理側だ。好き嫌いの話じゃなく、この話をすればきっと警察と管理局の介入がある。WLSや管理側に敵と繋がっている人間がいない保証もない。」
「そんなことって…」
「あくまで仮定の話です。報道でも分かる通り、久瀬さんのことや、所長と真樹さんの詳細は報道されてない。国としては事態が収拾できればそれを国民に伝えるだけで、詳細な被害に目は向けない。WLS所長を助けるということを優先事項にされた場合、考えたくないけど、宮國さんの命の優先度は確実に低くなる。」
「でもどうしたら…場所がわかったところで俺らだけじゃどうにも」
「あなたたちが初日からずっと一緒だったのは分かっています。きっと大事な人なんでしょう?この先どうするかは任せます。少しだけ協力はできる。ただ僕が前線で戦うことはできない。だから、息吹さんに話しました。どうしたいか決めてください。先生たちに話せというなら話します。」
光本と別れた武尊はベンチに座り、頭を抱えていた。
「どうしたらいいんだよ…!」
「武尊くん」
森田が武尊の隣に腰かける。
「森田…」
「宮國さんはきっと大丈夫だ。警察も管理局も動いてくれてる。きっと助かる。」
武尊はグッと拳を握り、先程の光本との会話を反芻する。少しの沈黙の後に森田に問いかける。
「もし…」
「ん?」
「もしさ、俺が真樹のいるところが分かって、俺が助けに行くって言ったらどうする?」
「止める」
「だよな」
「武尊くんは?」
「?」
「武尊くんは、止められたらどうする?」
「どうするって…」
「助けに行くの、やめる?」
「それは…」
「僕は勝手だから、勝手なことを言わせてもらう。武尊くんは友達だから、怪我して欲しくないし、危ないこともして欲しくない。だから止める。でも……。でも、僕が武尊くんの立場ならきっと助けに行くと思う。友達の為に。」
武尊は顔を伏せ、自身の膝を握る。
「助けに行きたい。元はと言えば俺が引きずりこんだんだ。あいつは別にライセンス取らなくていいってずっと言ってた。能力はちょっと便利なものって折り合いつけて。そういうあいつの普通を、俺が壊したんだ」
「武尊くんのせいじゃないよ。話も聞いちゃったし、武尊くんも宮國さんも大切な友達だから、僕も協力する。手伝えることある?」
「いや…それは…」
「なにも僕も一緒に散ってやろうなんて無責任なことを言ってるわけじゃない。アテがあるんだろ?じゃあ、まずはしっかり準備をするべきだ。」
「準備…?」
「久瀬くんを引き込む。僕らと一緒に戦ってもらおう。」




