AdamTerrace
警報の理由…!
「これはチャイムじゃない…警報だ──。」
感じたことの無い緊張感が走る。
「警報…?」
柿沼の問いに松岡が答える。
「まだ何が起きたかは分からん。だが少なくともチャイムでないことは間違いない。お前らは動くな。」
「なにか普通ではなさそうだな」
郷原が言う。
「大丈夫かな…」
不安そうに言った森田に武尊が答える。
「ここは大丈夫じゃねえか?松岡先生もいるし」
「だといいけど…」
その瞬間、教室の外でガシャン、という大きな音がする。松岡が言う。
「どうやら只事ではなさそうだな…お前らは一箇所に固まって動くな、俺が見てくる」
松岡は外に出ようと扉を開ける。
ガァン!!!
松岡が教室の中に弾き飛ばされた。教卓に当たり、教卓が倒れる。
「きゃあ!!!」
三浦が声を出したと同時に教室の外から1人の男が入ってくる。
「お?当たりか?」
「なんだアイツ…!」
「団子みてえにかたまりやがって…おいお前ェら!ミヤクニってのはどいつだ?!」
「真樹…!?」
武尊はその思ってもいなかった名前に反応する。
「お?お前知ってるのか?どいつだ?」
その男は砕けたドアを踏みながら武尊に近付いてくる。
「なんで真樹だ…?」
「知らねえよ、神田さんに連れてこいって言われてるだけだ」
「神田…?」
「いいから教えろ、ミヤクニってのはどいつだ!!」
男が発する圧力に同期たちはみな、動けずにいた。
──1人を除いて。
「呪蹴梦」
武尊の後方からとてつもない速度で接近する。久瀬が侵入者の顔面に強烈な蹴りを叩き込んだ。
「ぐぅ?!」
その侵入者は奥のホワイトボードに叩きつけられる。
「久瀬?!」
「明らかな敵意と殺意。考えるまでもなく、敵です。動くなと言われてますが、松岡先生は今動けない。怨霊調節」
何度も経験した空気がビリビリと振動する感覚。恐怖が教室中に充満する。侵入者が顔を上げる。
「なんだ?やれそうなのがいるじゃねえか」
「あなたよりは恐らく」
「生意気なガキだ…!」
侵入者は立ち上がる。
「切斬舞威!!」
侵入者の男の手首が高速で回転する。その回転する手は、机を簡単に割いた。
「AdamTerrace、萌芽隊、宍戸だ!お前、名は?」
「AdamTerrace…?名乗るほどの者ではないですよ、教習生です。」
「話の通じねえクソガキが…!」
宍戸が腰を落とす。
「いくよ花…」
ドンッ
久瀬の背中に鋭い痛みが走る。久瀬は背中を向き直す。
「なんで…あなたが……?!」
「ごめんね久瀬くん。この中で君だけは厄介なんだ。宍戸…萌芽隊か。情報の共有がまるで出来てないね」
久瀬が背中から血を流し倒れる。
「藤丸さん……?」
武尊の問いに見向きもせずに藤丸は宍戸に近付く。
「藤丸…あんたか、教習生に紛れてる『果核二番』ってのは。」
「ここにはバニシング・ポイントはいないよ。僕が案内しよう。」
「藤丸さん…!どういうことだよ…!」
「ごめんね、武尊。改めて自己紹介だ。AdamTerrace、果核二番、藤丸聖だ。」
「全然分かんねえよ…!何言ってんだあんた…!!」
「久瀬!」
郷原が久瀬に近付く。
「背中を刺されてる、急いで花澤先生に!」
「急所は外してる。死人を出すつもりはない。僕らの目的は宮國さんと権藤所長だけだから。同期のよしみだ、これ以上君たちを傷つけたくはない。大人しくしていてくれ。」
「だからなんで真樹だ?!真樹になにするつもりだよ!」
「彼女の力が未来のために必要だからだよ」
「説明が足りねえだろ…!」
「ハナから分かってもらえるとは思ってないさ」
壊れた扉の奥から3人の別の侵入者が入ってくる。
「これは君たちと違って『戦える』戦闘員だ。よく考えてくれ。無駄に死にたくはないだろう?」
藤丸はくるりと向き直り、教室を出ていく。
「藤丸!!!!!」
「武尊くん!」
飛び出そうとする武尊を森田が必死に抑える。
「先生たちもいるはずだ、僕らが無闇に動かない方がいい!宮國さんはきっと大丈夫だ!」
「…くっそ…!なんなんだよ…!」
37期生たちは、去っていく同期の背中をただ見ていることしかできなかった。
読んでいただきましてありがとうございました!
第2章完結まで読んで頂いた方ありがとうございました!
次回より第3章。
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