事件
何かが起きる…?!
「お前ら全員一旦今回の教習は中断だ!脱落した小田桐、三浦は教習中に俺が救護室に運んである!お前らも全員救護室に行くように!」
松岡の号令に、一同は理由も聞かされないまま救護室へ向かった。
「なんなんだろうな、一体…」
郷原がぽつりと言った。武尊が答える。
「分かんねえけど、なんかヤバそうだよな」
救護室には医療カテゴリーの面々が集まっていた。
「武尊!」
「おう、真樹」
「なんか…ボロボロだね」
「うるせえ」
「宮國さん!お久しぶり!」
「えっと…郷原さん、ですよね?」
「はい!」
「郷原さんもお怪我されてるみたいなのでこちらへ」
「お前なんか板に付いてきたな」
「私もちゃんと頑張ってるからね!!」
「優秀だぞ、宮國は」
後ろから花澤が声をかけてきた。
「お、熊さん」
「花澤だ」
花澤は武尊の腕を触る。
「痛っ…!」
「折れてはねえな。多分筋だろ。救命措治」
武尊は腕の痛みがスッと引くのが分かった。
「やっぱ凄いっすね、熊さん」
「これぐらいならな。さっき小田桐も治療したがあいつも頑丈だ。骨だって騒いでたけどな、幸い骨は大丈夫だった。」
「熊さん1人いれば大抵大丈夫っすね」
「まあな。俺の身体が持つ限りは治してやりたいが、助けてやれない傷もある」
「あったんすか?助けられなかったこと。」
「ガキが大人の過去を詮索するもんじゃねえ。てめえの心配だけしとけ。怪我なんか無いに越したことねえんだ、考えて動け。それがプロってもんだ」
「そっすか…ありがとうございました」
「武尊くん!」
森田が救護室に入ってきた。
「森田!お前すごいな風船二つも残ってんのかよ」
「なんとかね…松岡先生に見つかってヤバかったんだけど、サイレンが聞こえて」
「しかも無傷だし」
「まあ僕の場合みんなが頑張ってくれるからね…」
森田は本をギュッと胸で抱いた。
「あれ、そういや……真樹!」
「なに?」
「藤丸さんは?」
「え?まだ見てないけど」
「ふぅん…そっか」
一方、所長室。所長の権藤が話し出す。
「能力管理局からの通達があった。今、全国7箇所で同時にワンダーによる事件が起きている。」
「7箇所も…?同時にですか?」
アレンが答えた。
「ああ、そうだ。恐らく繋がっているだろうな。示し合わせたように一斉に起きたらしい。それもほとんどが関東部に集中している。各地の警察と管理局のプロワンダーが対処にあたっているが、数が数なだけに、うちからも数人援軍が欲しいとのことだった。」
「なるほど、それで中断を」
松岡が答える。
「これだけの事が起きたうえで、ここの戦力を大幅に外に割くのは憚られる。37期生の子たちを守るという意味でも、少数精鋭でことに当たりたい。」
「となると…?」
佐久間の問いに権藤は答える。
「教官からは柳、大林、夜月、それと35期生、前澤を向かわせようと思う。」
「教官はいいとして、前澤…あれは大丈夫なんですか」
「ああ…少々難はあるが、戦力としては申し分ないだろう。佐久間、松岡、アレン、川越、花澤の5名は引き続き生徒の保護及び教習をお願いしたい。」
「了解しました。」
「教習生たちには余計な心配はかけないように。それと、先程の管理局からの連絡では、まだ事件の目的が分からないとのことだった。6年前のような事にならなければいいが」
権藤は物憂げな表情で外を見た。
同刻、WLS付近、廃屋。
「神田さん、始まりましたね」
「ああ。各地で萌芽隊が動き出してる。」
「あとは本丸と、バニシング・ポイントの確保ですね」
「そうだね。それじゃあ行こうか。」
「AdamTerraceが、世界を変える1日だ。」
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