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WONDERZ  作者: シマオヒロ
37期編
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19/53

鬼ごっこ⑤

「おい、郷原、どこまで行くんだよ」

「きっとこの先だ!大丈夫!」

武尊は郷原に連れられて依然岩場を探す。

「松岡先生には見逃されたけど他のやつ、特に久瀬とかに見つかったらヤバいな」

「まあその時はその時だな!ハッハッハ!!」

「声でけえって…」

ドォン…!!!

近くで大きな音が聞こえる。

「なんか近くにいそうだな…!」

「だな!どうする武尊?加勢するか?」

「加勢ったって俺はなにも…」

「うわぁぁあ!!!」

目の前に柿沼が飛んできた。

「柿沼!?」

「痛ててて、やっぱダメだったか…」

柿沼の風船は全て割れていた。

「大丈夫か!柿沼!」

郷原が柿沼に駆け寄る。

「さすがに強いな…完敗だ…」

柿沼の飛んできた方向を見ると久瀬が立っていた。

「やっぱりあいつか…!」

武尊はグッと拳を握りしめる。

「おい!武尊!あれ!」

その久瀬の立っている場所はまさに探していた岩場だった。

「逃げるか、戦うか、どうする!武尊!」

「松岡先生が見逃したのはきっと、もっと成長しろってことだよな、多分」

「ああ、そうだな!きっと!」

「じゃあ…やってみっか…!」

「よし!わかった!やってみよう!!」


「いこう、ジョージ、ケンケン、ポチ」

「やっとお出ましだね…!」

三浦は距離をとった。

「ワンちゃんも鳥ちゃんもお猿ちゃんも、出来れば傷つけたくないんだけど…どういう理屈?それ」

顕現(けんげん)、がニュアンスとしては近いです。実体がこの世界と結びつく。魂はあっちの世界に残るので、余程破壊されない限りは、あっちの世界に戻ってしばらくすれば元通りです。僕もみんなに傷ついて欲しくはないけど、大丈夫ですよ。僕よりみんなはよっぽど強いので…!」

「じゃあ切っても死んじゃわないのね?安心した。」

「テメェ正義!俺らの心配たぁ偉くなったなあ?おぉ??」

森田に突っかかるジョージを見て、ケンケンが言う。

「あなたは本当に騒がしいですね、留守番してたらどうです?わたしとポチで十分ですから」

「ああ?!この前のこと忘れたのかよ!お前のせいで俺らまで巻き添え食ってんだぞ!そもそもなぁ…」

「君たち留守番で大丈夫だよ…僕だけでやるし」

「犬テメェ!お前ばっかり出番なんて許さねえぞ!」

「やめてよみんな…」

「ずいぶん『仲がいい』みたいだね」

言い争っているジョージとケンケンを見て三浦が言う。

「ええ、仲良しですよ。」

森田はニッコリと笑った。

「皮肉が通じない人!!打ち水!!」

三浦は水の弾丸で3匹を狙う。

「うおっと、危ねえ!鳥ィ!あとで覚えとけよ!」

「あなたは下がってて結構ですよ。」

「ジョージ!」

猿は森田の号令と同時に猛スピードで三浦に駆け出した。

「打ち水!」

猿は三浦の攻撃を避けながら近づいていく。

「当たらねえなあ!!」

「早いね…これならどう?!」

三浦は足元に大量の水を噴射した。

「おお?!」

水に足を取られ猿は転倒する。

「やはりわたしが出るしかないですね!」

それを見たキジも猛スピードで三浦に近づく。

バシャア!!

三浦は水の壁を作る。

「なっ?!」

水の壁にキジは突っ込んだ。キジが落ちる。

「くっ…羽が濡れて…!」

「これでもう飛べないでしょ!打ち水!」

「!!」

パァン!

森田の風船を三浦の水の弾丸が捉えた。頭の風船が割れる。

「くっ…!」

「あと2つ!」

三浦は森田へ駆け出す。

「切り水!」

「正義!」

森田と三浦の間に犬が割って入る。水の刀は犬を幻影を切り裂いた。

「ポチ!!!」

犬の幻影はドロリと墨になり、本の中へ戻って行った。森田は三浦と距離を取る。

「ごめんよ…ポチ、しばらく休んでて。」

「森田くん、もうダメなんじゃない?風船ちょうだい!」

「それは出来ないって言ったでしょ三浦さん…!ジョージ!ケンケン!喧嘩してる場合じゃない!僕に協力して!お願い!!」

水たまりに伏せていた猿が言う。

「くっそ…犬やられたか…」

「わたしたちでやるしかないみたいですね…」

「おい鳥、一旦手ェ貸せ…!」

「あなたが手を貸しなさい…!」

「まだやる気なの?お猿ちゃんと鳥ちゃん」

「鳥と共闘なんて(しゃく)だけどな…!負けるのは話が違ェんだよ…!鳥ィ!」

猿はキジを上空に投げた。キジは羽ばたきながら三浦に向かって少しずつ落ちてくる。

「な…!飛べたの?!」

「カッコつけて落ちてるだけですよ…!」

猿は身をブルブルと震わせてから木に登った。そして、木の枝から飛び上がる。上空でキジをキャッチした。猿は叫ぶ。

「必殺!!!」

「なにか知らないけど!打ち水!」

「んんっ!!」

キジは器用に羽ばたきで水の弾丸をかわす。

「バード…ストライク!!!!!」

猿の全力投擲したキジが三浦の腹に当たる。

「きゃぁあ!!!!」

三浦は吹き飛び、後ろの木に当たる。

「!!!三浦さん!大丈夫?!」

森田が駆け寄る。三浦は目をクルクルさせて気を失っていた。

「やりすぎだよジョージ」

「は?!俺じゃねえだろ、こいつだろ!」

キジを指さす。

「な?!あなたねえ!」

「もう分かった、ありがとう。戻ってて。ポチには謝っておいて。」

猿とキジはドロリと墨になり本へ帰って行った。

ギュッ

「よし、これでいいか」

森田は落ちていたツタで三浦の腕を後ろ手で縛り、木にもたれかけた。

「ごめんね三浦さん、少し待ってて。」

森田はまた森の中へ駆け出していく。


鬼側、三浦美月、行動不能により脱落。

残り33分。


挿絵(By みてみん)

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