鬼ごっこ⑤
「おい、郷原、どこまで行くんだよ」
「きっとこの先だ!大丈夫!」
武尊は郷原に連れられて依然岩場を探す。
「松岡先生には見逃されたけど他のやつ、特に久瀬とかに見つかったらヤバいな」
「まあその時はその時だな!ハッハッハ!!」
「声でけえって…」
ドォン…!!!
近くで大きな音が聞こえる。
「なんか近くにいそうだな…!」
「だな!どうする武尊?加勢するか?」
「加勢ったって俺はなにも…」
「うわぁぁあ!!!」
目の前に柿沼が飛んできた。
「柿沼!?」
「痛ててて、やっぱダメだったか…」
柿沼の風船は全て割れていた。
「大丈夫か!柿沼!」
郷原が柿沼に駆け寄る。
「さすがに強いな…完敗だ…」
柿沼の飛んできた方向を見ると久瀬が立っていた。
「やっぱりあいつか…!」
武尊はグッと拳を握りしめる。
「おい!武尊!あれ!」
その久瀬の立っている場所はまさに探していた岩場だった。
「逃げるか、戦うか、どうする!武尊!」
「松岡先生が見逃したのはきっと、もっと成長しろってことだよな、多分」
「ああ、そうだな!きっと!」
「じゃあ…やってみっか…!」
「よし!わかった!やってみよう!!」
「いこう、ジョージ、ケンケン、ポチ」
「やっとお出ましだね…!」
三浦は距離をとった。
「ワンちゃんも鳥ちゃんもお猿ちゃんも、出来れば傷つけたくないんだけど…どういう理屈?それ」
「顕現、がニュアンスとしては近いです。実体がこの世界と結びつく。魂はあっちの世界に残るので、余程破壊されない限りは、あっちの世界に戻ってしばらくすれば元通りです。僕もみんなに傷ついて欲しくはないけど、大丈夫ですよ。僕よりみんなはよっぽど強いので…!」
「じゃあ切っても死んじゃわないのね?安心した。」
「テメェ正義!俺らの心配たぁ偉くなったなあ?おぉ??」
森田に突っかかるジョージを見て、ケンケンが言う。
「あなたは本当に騒がしいですね、留守番してたらどうです?わたしとポチで十分ですから」
「ああ?!この前のこと忘れたのかよ!お前のせいで俺らまで巻き添え食ってんだぞ!そもそもなぁ…」
「君たち留守番で大丈夫だよ…僕だけでやるし」
「犬テメェ!お前ばっかり出番なんて許さねえぞ!」
「やめてよみんな…」
「ずいぶん『仲がいい』みたいだね」
言い争っているジョージとケンケンを見て三浦が言う。
「ええ、仲良しですよ。」
森田はニッコリと笑った。
「皮肉が通じない人!!打ち水!!」
三浦は水の弾丸で3匹を狙う。
「うおっと、危ねえ!鳥ィ!あとで覚えとけよ!」
「あなたは下がってて結構ですよ。」
「ジョージ!」
猿は森田の号令と同時に猛スピードで三浦に駆け出した。
「打ち水!」
猿は三浦の攻撃を避けながら近づいていく。
「当たらねえなあ!!」
「早いね…これならどう?!」
三浦は足元に大量の水を噴射した。
「おお?!」
水に足を取られ猿は転倒する。
「やはりわたしが出るしかないですね!」
それを見たキジも猛スピードで三浦に近づく。
バシャア!!
三浦は水の壁を作る。
「なっ?!」
水の壁にキジは突っ込んだ。キジが落ちる。
「くっ…羽が濡れて…!」
「これでもう飛べないでしょ!打ち水!」
「!!」
パァン!
森田の風船を三浦の水の弾丸が捉えた。頭の風船が割れる。
「くっ…!」
「あと2つ!」
三浦は森田へ駆け出す。
「切り水!」
「正義!」
森田と三浦の間に犬が割って入る。水の刀は犬を幻影を切り裂いた。
「ポチ!!!」
犬の幻影はドロリと墨になり、本の中へ戻って行った。森田は三浦と距離を取る。
「ごめんよ…ポチ、しばらく休んでて。」
「森田くん、もうダメなんじゃない?風船ちょうだい!」
「それは出来ないって言ったでしょ三浦さん…!ジョージ!ケンケン!喧嘩してる場合じゃない!僕に協力して!お願い!!」
水たまりに伏せていた猿が言う。
「くっそ…犬やられたか…」
「わたしたちでやるしかないみたいですね…」
「おい鳥、一旦手ェ貸せ…!」
「あなたが手を貸しなさい…!」
「まだやる気なの?お猿ちゃんと鳥ちゃん」
「鳥と共闘なんて癪だけどな…!負けるのは話が違ェんだよ…!鳥ィ!」
猿はキジを上空に投げた。キジは羽ばたきながら三浦に向かって少しずつ落ちてくる。
「な…!飛べたの?!」
「カッコつけて落ちてるだけですよ…!」
猿は身をブルブルと震わせてから木に登った。そして、木の枝から飛び上がる。上空でキジをキャッチした。猿は叫ぶ。
「必殺!!!」
「なにか知らないけど!打ち水!」
「んんっ!!」
キジは器用に羽ばたきで水の弾丸をかわす。
「バード…ストライク!!!!!」
猿の全力投擲したキジが三浦の腹に当たる。
「きゃぁあ!!!!」
三浦は吹き飛び、後ろの木に当たる。
「!!!三浦さん!大丈夫?!」
森田が駆け寄る。三浦は目をクルクルさせて気を失っていた。
「やりすぎだよジョージ」
「は?!俺じゃねえだろ、こいつだろ!」
キジを指さす。
「な?!あなたねえ!」
「もう分かった、ありがとう。戻ってて。ポチには謝っておいて。」
猿とキジはドロリと墨になり本へ帰って行った。
ギュッ
「よし、これでいいか」
森田は落ちていたツタで三浦の腕を後ろ手で縛り、木にもたれかけた。
「ごめんね三浦さん、少し待ってて。」
森田はまた森の中へ駆け出していく。
鬼側、三浦美月、行動不能により脱落。
残り33分。




