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WONDERZ  作者: シマオヒロ
37期編
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16/52

鬼ごっこ②

「この調子であと2つもあたしが取ってやるよ…!」

小田桐は不敵な笑みで武尊を見ている。

「やべえな…こりゃ…」

武尊の背中に冷や汗が伝うのが分かる。

「お前をさっさと取って、郷原殺しにいく!」

「殺すのはダメなんじゃねえの…?」

比喩(ひゆ)だよ石頭!カミトリ!」

追撃をかける小田桐に武尊は背を向け、全力疾走する。

「おい!やらねえのか息吹!」

小田桐も全力で追いかけてくる。

「くっそ…動かせるもの…なんか…なんかねえか」

武尊は周りを見回すが、あたりは生い茂る草木しかない。

「ダメだ…ねえ!」

「息吹ィ!終わりにしようぜ!ハリカミ!!!」

無数の髪の針が武尊を襲う。

「くっそ…!!」

「んんっ!!!」

影から現れたものに髪の針は当たって落ちた。

「…!!お前…!」

「ターゲット側からお出ましか…!」

「武尊!大丈夫か!」

「郷原…!」

「武尊!もう1つ取られてしまってるんだな!」

「あいつにな…!」

「郷原ァ!息吹が終わったらお前のとこ行こうと思ってたんだよ、手間が省けたぜ」

「危なそうだな…!よし、武尊、共闘といこう!」

「共闘?」

「ああ!このゲームは一見鬼から逃げきることが目的だが、鬼を減らすことで形勢を変えられる変則的なものだ!ここで小田桐を落とせば、逃げ切れる確率がぐっと高まる!」

「お前意外とそんなこと考えられたんだな」

「柿沼が言っていた!」

「ああ、受け売りでしたか」

「ごちゃごちゃなに話してんだ?!ハリカミ!」

浮筋浮筋(ムキムキ)…!」

髪の針は郷原の腕にあたりはらりと落ちる。

「その技は効かん!」

「あっそ!!」

小田桐は距離をつめに駆け出す。

「武尊!キミは何ができる?!」

「手も足も出ねえ…舞台が悪すぎる」

「そうか、キミは確か石系だったな!」

「ああ、岩場とか石さえあれば」

「あっちにあったぞ!俺が小田桐の攻撃をガードする!そこに向かおう!」

郷原は元来た道を指さす。

「わかった!てかお前1人でなんとかならねえの!?」

「松岡先生のトレーニングを見てたろ!スピード競技で小田桐と松岡先生には1度も勝っていない!」

「そっか、なるほど!」

小田桐の攻撃を郷原が凌ぎながら、郷原が示す方へ走っていく。

「2人してダンゴで逃げてばっかりか?!男のクセに情けねえ!」

するとひらけた場所が見えてきた。

「あそこか?!」

森を出たところには広い砂地が広がっていた。

「おい郷原!岩場は?!」

「すまん!道を間違えたみたいだ!!」

「何してんだお前!うおっ!!」

小田桐の攻撃を間一髪でかわした。

「なんだ、こんなに見通しのいい所まで連れてきて、隠れる場所も無くなったじゃないか」

「まずいな…」

郷原が武尊と小田桐の前に立つ。武尊が言う。

「でも…ここなら多少やれる」

「本当か!」

「ああ、砂なら前に触った。決め技みたいなのはねえけど」

「よし、じゃあ俺が最後は決めよう!」

「喋ってる暇はねえ、一気にやるぞ郷原!」

「任せろ!」

生命判断(ライフエントランス)、砂風!」

「くっ…またこれか…っ!」

小田桐は髪の毛で顔を覆い、砂から守る。

「郷原!俺はこれぐらいしか出来ねえぞ!」

「わかった!任せろ!」

郷原は来た道に戻っていく。

「お、おい?!どこ行くんだよ!」

「ハリカミ!」

砂埃の中から針が飛んでくる。

「…っ!」

武尊はなんとか避ける。

「声か…!」

「当たり!お前が声出しゃどこいるかは分かる!」

「風船の場所分からねえだろ!!」

「どっかしらには当たんだろ」

「不良が…!」

「鬱陶しい!」

小田桐の髪の毛が砂を打ち落とした。

「あの筋肉バカは逃げたか、お前を見捨てて」

「見捨ててねえよ!砂風!」

「芸がねえな!息吹ィ!」

先程よりも大きな砂の渦が小田桐を覆った。

「お前をこのまま閉じ込めておけば、逃げられる時間稼ぎぐらいにはなるだろ!」

「声出したな!そこだ!ハリカミ!!」

「っ!ぐぁあ!!」

「当たったな!?あたしの勝ちだ!」

小田桐は髪の毛を振るって砂の渦を落とした。

「?!」

その瞬間、武尊は声の逆側から小田桐の両足を掴む。

「お前、当たってなかったのか?!」

「チーム戦でブラフ役は勉強したんでね…郷原!!」

「なに?!」

小田桐は目線を森へ移した。郷原が大木を持って駆けてくる。

「おいおい…待て待てバカ!」

浮筋浮筋(ムキムキ)ィ…!スイングっ!!!」

バキィ!!!

「ぐぅぅっ!!!」

郷原は大木で小田桐の横腹を殴打した。武尊はあまりの力に腕を離す。小田桐は吹き飛んだ。

「小田桐!大丈夫か!」

郷原は小田桐に駆け寄る。小田桐は咄嗟に髪を硬化して身を守っていた。

「大丈夫じゃねえよ…骨だなこれ…!」

「すまんな!少し休んでてくれ!」

「加減しろよ筋肉バカが…」

「武尊!ありがとう!おかげで勝てたぞ!」

「生きてんのか?小田桐は」

「ああ、あの程度でやられるやつじゃない!」

「頑丈だなお前ら」

鬼側、小田桐ナツ、戦闘不能により脱落。

残り72分。


挿絵(By みてみん)

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