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WONDERZ  作者: シマオヒロ
WLS入校編
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13/52

接触

「武尊ー!」

帰り道、後ろから聞き慣れた声がした。

「おう、真樹」

「どうだった?そっちは」

「疲れた」

「なにそれ」

「真樹は?」

「大変だよぉ…覚えることいっぱいでさぁ…」

「俺も明日から筆記講習だってさ」

「お、一番苦手なやつきた」

「うるせえ」


翌日、初日の能力測定と同じ大きな部屋に集められた。

相変わらず窓際で一人で座っている森田が目に付いた。武尊は不思議と引かれるように森田の方へ歩き出す。

「森田」

「あっ…息吹くん」

「犬たちは?ポチだっけ」

「ああ、この中だよ」

森田はリュックから古い本を取り出した。

「昨日も言ったけど、別に深い意味があって隠してたわけじゃないんだ。ただ目立ちたくなくて、ちょっとだけ内緒にしてた。」

「まあ、ビックリはしたけど、もう終わったことだからいいよ。この中にみんないるんだ?」

「そう!まあみんなって言うのはちょっとだけ違うんだけど、僕の能力は物語から友達を呼び出すって能力で」

そこからは森田がずっと喋っていた。友達は本の中で暮らしてて、必要に応じて呼んだら来てくれること。喧嘩していて仲直りができていない友達がいること、認めてもらいたい人がいることを楽しそうに喋っていた。

「ご、ごめん、つい夢中に」

「好きなんだな、友達のこと」

「そうだね、みんな大事な友達なんだ」

「じゃあ俺とも友達になろう」

「え?」

「なんか賑やかそうで楽しそうだったし、俺も仲間に入れてよ」

「……うん!」

そうしているうちに藤丸が声をかけてきた。

「おー、武尊!」

「藤丸さん、おはようっす」

「どう?眠れた?」

「眠れてないっすね…なんせ筆記講習って」

「苦手そうだもんね」

藤丸は悪気なく笑う。

「森田くん、昨日はまんまと君にはやられたよ」

「いえ…僕じゃなくてみんなが頑張ってくれて」

すると教壇に女性の教官が立った。

「みなさん!こんにちは!初めまして!本日の講習の担当する佐久間です!」

「お、あの人」

武尊の反応に藤丸が答えた。

「知ってるの?」

「初日にここの場所教えてくれた人っすね」

「すでに面識ありなんだ」

「まあ、面識ってほど大して喋ってないですけど」

「今日は筆記講習を行います!みなさんがプロワンダーとして社会に出た場合に、注意しなくてはならない点をしっかりお伝えしますので、よく聞くように!」

「森田くん」

武尊は森田に向き直る。

「キミはきっと、こういった分野は得意だよね?」

「それは偏見でしかないけど…まさか…その為に友達に…?」

森田は軽蔑の目で武尊を見た。

「違うんだ…そういうことではないんだけど…」

「そこォ!なにだべってんの!!」

佐久間の声が聞こえたと同時に武尊の首が佐久間の方へ向く。

「痛てぇ!」

森田も佐久間の方へ視線が向けられる。森田が佐久間を見ながら言う。

「先生の能力かな、視線が『外せない』…!」

「私の能力、該当演説(ピンスポット)!私に強制的に視線を集中する。私の講習中はよそ見は許しませんよ!」

「はい…すみません…」


「ではまず、この世界の全体像を説明します。WWAというのは聞いたことありますね?」

WWA、世界ワンダー協会。通称世界の安全装置。国家間の能力戦争や、一国の存亡に関わる事案にのみ介入する、国家の外の組織。武尊も名前は知っていた。

「ここに所属するプロワンダーというのは、一国に属しません。そして更に、この組織のトップ3、通称三天災というワンダーがいます。」

「仰々しい名前だなぁ」

武尊のつぶやきに森田が笑う。すると、小田桐が挙手した。

「結局一番強いのは誰なんすか?」

「一番というのは比較が難しいですが、現代最強と言われているのはデフ・ロイアというワンダーです。詳しいことはわかりません。わかっているのは神の力を使うということと、年齢を聞いてはいけないということ、戦いにおいて最強だということ。」

「なんで分からないんすか?」

「小田桐さん、前向きでいいですね!本人が情報を規制しているってことらしいです。」

「ふぅん…」

「そしてこの三天災の、2人目が…」


それからはWWAという組織の必要性、保たれる均衡の話や、戦争が起きた歴史の話、そうならないための心得などが語られた。

講習を終え、森田と共に教習所の出口へ向かう。

「はあ…しんどい…」

武尊は首を抑えながら言う。森田が答える。

「首が?」

「じゃなくて、覚えられなさすぎて。事前に勉強とかまったくしてこなくてさ、急にライセンス取りに来てるから」

「そうだったんだ、僕は多少予習はしてたから」

「来週の筆記試験ダメだったら補習っつってたよね」

「そうだね」

「それは非常にまずい。頭使いすぎると熱出る」

「ちょっとだけ復習しよっか」

「いいんですか…!森田先輩…!」

「同期だよ。藤丸さんも一緒なら良かったのにね」

「用事あるって言ってたしな、それよりどこでやりますか?森田先輩」

「同期だよ」


同刻、とある場所。

「藤丸、おかえり」

「光希、元気だったかい?」

「うん、問題ないよ。それより、どう?」

「久瀬の次代が同期にいるね、ただ光希が欲しがるような人材じゃないよ。予定通りで大丈夫だと思う。戦力は教官の柳と…、留年の前澤くらいかな。それと、もうひとつ、面白い人間を見つけた。」

「面白い?」

「うん、きっと光希も気に入ると思う。名前は宮國真樹。詳しくはまた話すけど、もう少しだけ見ておきたい。またこちらから連絡するよ。」

神田光希(かんだみつき)は言う。

「わかった。また適宜(てきぎ)連絡をくれ。」


挿絵(By みてみん)

第1章終了です!ここまで読んでいただいた方本当にありがとうございますm(_ _)m次回から第2章突入です!

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