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育ての親
とある水族館にて。奇妙な関係性でバズった生き物たちがいた。
ウミドリの雛が、シャチを親だと思って水槽内で追いかけているのだ。また、シャチはじゃれ合うように雛を甘噛し、飼育員から与えられる自分の餌を、時々雛に与えるのだ。
飼育員はインタビューにて答える。
「正確なことは分かりませんが、多分刷り込み効果だと思います。元々ウミドリの巣がシャチの水槽内にあったんですよ。多分、そこで産まれた子供なのかと。それで、最初に見たシャチを親だと認識しているのだと思います。」
「でも・・・本当の親は?」
「生後間もない雛を置いてどこかに行くことはないので、おそらく二匹ともシャチに食べられてしまったのだと思います。」
「可哀想ですけど、それが自然の摂理ですよね。でも、だからこそ摂理に反するこの微笑ましい光景が人々を魅了して・・・。」
「それは・・・どうですかね?
あのシャチ。気味が悪いくらいに頭がよくて。実は、数ヶ月前まで、あの子の親ともずっと一緒に暮らしていたんですよ。変わってしまったのは、餌が変わった時。物価高を影響を受けて配合飼料を餌にする割合が増えたのですよね。そしたら、いつの間にか親鳥がいなくなっていて・・・。」
飼育員は引きつった顔で笑った。
「本当に・・・大切に育てているんですよ。」




