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8話 飛び入りする方とされる方、どちらがつらいかね? 

本日2話目なので、少々短め

「さてさて、どうなることやら……」


「もしかしたら私と奥野さんが面倒みることになるかもしれませんよ。前みたいに」


「えぇ? さすがに面倒、とは言っちゃ駄目か」


「意見を求められたら言っても良いと思いますよ?」


「求められたら、ね」


彼にとって最良の部下を自認している奥野せら個人としては、支部長と慕う篤史が飛び入りを認めたのであれば、黙って従うべきだと思っている。


もちろん「忌憚のない意見を聞かせてくれ」と言われたら、嬉々として「支部長がお荷物を背負い込む必要はないと思います! レベル三〇くらいの人を用意して浅い階層でレベリングさせましょう!」と答える心算だが、それはあくまで忌憚のない意見を求められた場合に限った話であって、基本的に篤史が決めたことに異論を唱える心算は一切ないのだ。


切岸若葉もまた、奥野ほど傾倒しているわけではないが、部下としての自覚はあるため篤史が認めたことに文句を付ける心算はない。


忌憚のない意見を求められた場合は「同盟相手のお嬢さんとして扱うべきではありますけど、最大戦力である支部長が面倒を見る必要はないと思います。同性である自分たちもいますので」と、自分や奥野が引き受けることを提案するだろう。


つまるところ、両者が霧谷あやに対して抱いているのは『支部長が決めたことに従うけど、支部長に負担をかけるのはちょっとなぁ』程度のモノであり、間違っても敵意や隔意を抱いているわけではない。


とはいえ、彼女たちはまだ一五歳になったばかりの少女。

飛び入り参加という予定外の事態に対して『無駄な時間と労力を使わせやがって』という思いがまったく無いというわけでもないわけで。


霧谷が(機嫌が悪そうだな)と感じたのは、そういう微妙な雰囲気を察してのことである。


ちなみにシータに関しては、両者ともに思う所はない。


なぜなら、彼女は最初から今回の探索に参加することが決まっていたし、なにより彼女を取り巻くあれやこれやを教えられているからだ。


国家が絡むほどの理由があるなら、お客様兼将来の探索仲間候補として特別扱いすることに、文句などあろうはずがない。


色々と特殊な事情を持つシータに関してはまぁいいとして。


そもそも今回の探索目的は、各々のレベリングと四〇階層の攻略である。


圧倒的なステータスを誇るとはいえ、これまで三四階層までしか潜ったことのない奥野や切岸にも余裕があるわけではない。


そんな理由もあって若干ピリピリしていたところに、突如として同盟相手のお嬢さんが飛び入り参加を表明してきたのだ。

年端も行かぬ少女らが、少しくらいイラつくのも仕方のないことなのではなかろうか。


事実、同伴する大人たちもどうするか頭を悩ませて……。


「……あれ? もしかしてあの人たちってさ、ダンジョンの話をしてなくない?」


「ん? あぁ。探索の段取りとかよりも、宝箱について話してる感じではあります、ね」


「でしょ? 私としては、今からそんな話をしてもしょうがないと思うんだけど……」


「一理ありますけど、それはアレですよ。私たちは元々宝箱のことを知っているからそう思うだけですから。今さっき知ったばかりなら、あぁなるのは当然ですって。中身によっては取り分で揉める可能性とかありますし」


「取り分? ……そんなの全部支部長のモノでいいじゃん。どれだけ話し合っても支部長がいないと取れないんだから意味ないでしょ」


「いや、それも事実ではありますけど……それが通るなら宝箱の中身は全部【商人】のモノになってしまいます。さすがにソレはマズいですって。こういうのは出来るだけ公平に分けないと後々問題になりますから」


「問題、ねぇ。まぁ傘下とかじゃなく同盟関係ならそうなるのか。はぁ……ダンジョンに入る前から面倒な」


「後から知った方が面倒ですよ。だから支部長さんも今このタイミングで公表したんでしょうし」


「あぁ、そういうのもあるのか。なるほど、さすがは支部長!」


「うん、まぁ、納得してくれたならそれでいいです」


“目の前に宝箱が現れてから話せば?”と嘯く奥野に対し、事前に協議した方が後々楽だと促す切岸。


どちらも間違った意見ではないが最終的に『さす支部』で納得するのは、忠犬の面目躍如と言ったところだろうか。


「……あ!」

「どうしまし……あぁ」


そこはかとなく機嫌がよくなり、ピりついた空気を霧散させた奥野がナニカに気付いて声を上げれば、いきなりなんだ? と思ってその視線を追った切岸もまた、奥野が声を上げた理由を知る。


二人の視線の先には「話は終わったからこっちにこい」と手招きをする松尾篤史の姿があった。



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