絶対に嫌だ
私は五歳の誕生日を迎えた。
五回目の誕生日パーティーが行われた。
一、二、三、四歳のころは美味しそうな食べ物には一切手が付けられずお偉いさん達に紹介されるだけの何も楽しみがない退屈で疲れるだけの最悪なものだった。
だが五歳から挨拶は皆の前で一括に行われるようになってからは前のパーティーとは別物と思えるほど面白い行事になっていた。
最初はおめかしから始まる。招待された人が来るまでに終わらせなければいけないため使用人の人は物凄く忙しそうにしているが私はただ座って待っているだけなのですごく楽である。
いつもよりきれいなドレスを身にまとい、より長く丁寧に手入れされた黄金に輝く眩しい髪、その髪を際立たせている頭の半分ぐらいの大きさの小ささで多くの宝石が飾られている帽子を身につける。
「お可愛いですよクリステラ様」
「ありがとう」
アスラはお世辞で言っているのではなく本当に言っていことだと鏡(魔法道具)を見てすぐわかった。
上の中ぐらいの美貌の持ち主でもドレスに着られていると思わせるほどの豪華な装飾を私は完全に着こなしていたからだ。
私は自分の姿を見て自信満々にパーティーが行われている場所に向かっていた。
私が入場する手前にお父様が待ち構えていた。白い服グレー色のズボンをはき今日ばかりは眼帯を外しいつも隠れている左目を出している。
そこにいたお父様はいつも私を溺愛していた面白い人という印象がすぐさま消え去り、堂々としていて強くそして多くのものを背負っている偉人のようにかっこよく見えた。
「クリステラ緊張はしてないかい?安心してパじゃなくて私が全部やるからついてくるだけでいいんだよ」
やっぱりお父様はお父様だな。
「さあクリステラ私の手を握っていなさい。それじゃあ行くよ」
クリステラとクリステラの父は大勢の人がいる会場に入場した。最初から注目が集まっておりクリステラが横下を見るだけで十人以上と目が合い少し緊張しだす。
クリステラが緊張していることを見抜いたクリステラの父は少し遅めに歩いてクリステラの手を強く握り少し落ち着かせる。
お父様、大丈夫だ私、私は可愛いそれに隣には絶対守ってくれるお父様がついてる落ち着いて堂々と貴族らしく。
私が日本人だったからかあまり注目されない人生を送って来たからか人前が苦手なままだった。最初は生まれ変わった自分を見ていて変わっていると思っていたがそう簡単に性根は変わらないということだ。
けど隣にいてくれるお父様のおかげで少しだけ緩和することが出来た。
緩和したとは言え恥ずかしいものは恥ずかしい。最初は「おお、美しい」「ビュティフル」と聞いて嬉しい気持ちもあったが階段を降り会場の中央に近づくにつれ嬉しさはなくなっていった。
クリステラが会場の中央に着きやじがすっかり消え辺りに誰もいなくなったかのように静かになる。
クリステラは恥ずかしさのあまり顔を上げることが出来ず手を強く握ったまま下を見続けていた。
「皆さま我がクリステラ・バルングハイルンの誕生会に来ていただき誠に感謝しております」
「神は私に大きな試練を与えました。長男は三歳の時に病にかかり、次男は厄災に見舞われ、長女は呪いにかかってしまいました。私はこの試練を突破できずもうだめかと思いましたが私の元に希望が訪れました。それがクリステラなのです」
お父様はその後も演説を続け私に注目が行かないように大きく動きを交えながら行い終わるころには大きな拍手が起こっていた。
演説を終えたお父様は私を連れいったん会場を後にした。
「クリステラ大丈夫だったかい?大勢の前で怖かったよね」
「ありがとうお父様……パパ」
私はお父様に抱き着いた。これはお礼ともう一つ同情があっただろう、私は演説はあまり聞こえていなかったがある事実は聞き取れた。私には兄が二人、姉が一人いたのだということを。
お父様が私を溺愛するのも納得だ。
「クリステラ何か嫌なことがあったらすぐに言うんだよパパはクリステラのためなら国だって滅ぼすせるからね」
「うん」
お披露目が終わった後私に本当の自由時間が訪れた。
自由時間と言っても当然メイドはついてくる、幸いと言うべきかついてきたメイドがアスラなのでのびのびできそうだ。
そもそもスライスは私の教育係、アスラはお世話係のはずだったのだがアスラがポンコツドジメイドだったこともありスライスがアスラのお世話までやっていたのだ。(私がいっぱい脱走したせいでもある)
私は五年間も我慢してきた料理を前に我慢することが出来なかった。
香辛料が醸し出すいい匂い、見た目だけで美味しいとわかるソースがかかった肉、いつも出てくる味付けが塩だけの料理とは何もかもが違う。
ここにある料理全部食べたい。だが私はまだ五歳児、胃袋は小さいから食べれたとしてもほんの少しだ。
私はとりあえずすべての料理を見ることから始めた。食事は見た目より味だと私は思うが選ぶ基準として食べ比べができない今私は見た目で判断するほかない。
あらかたの料理を見て私は長時間悩んだ末に選んだものはフレンチで出てきそうなソースがかかった肉一切れ、香辛料がかけられたサーモンのような魚三切れ、チーズがまぶされているサラダを食べることにした。
「いただきます」
まずは魚を口に運ぶ。
(おいしー)
これを皮切りに手が止まらなくなった、お嬢様だということは忘れてむさぼりつくもしそばにいたのがスライスだったら血の気が引いていただろう。
(お腹いっぱい)
私が休憩している時お父様と太った子ずれの偉そうな人達がやって来た。
「クリステラ楽しんでいるかい?」
「はいお父様すっごく楽しいです」
「それはよかった」
クリステラの頭をなでる。
「やはり近くで見るとより一層美しいですなレバルーヅ殿」
「はい自慢の娘ですから」
「でどうですうちの息子と婚約なされては」
婚約!!えあの太ってる人の子供と結婚させられるの!?お父様断ってください一生のお願い、お願い。
「まだ婚約は娘には早いと思うので」
ナイスお父様それでこそ私のお父様。
「まだ五歳ですからな、では年頃になったらぜひローンバール家を選んでくださいな」
その後も十人以上が婚約話を持ち掛けてきてお父様が角がたたないように全員断っていた。
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