新しい人生
ぼんやりと大勢の人影が見える。
(ここが死後の世界て言うやつなのかな?)
「あなた大変、クリステラが泣かない」
(クリステラって誰の事?誰か私を抱きかかえてる!)
「サラペラド様落ち着いてください。泣いてはいませんがちゃんと呼吸はしているようです」
「それは本当なんでしょうね」
誰かが誰かを掴みかかっているように見える。
争いをあまり好まない愛華は掴みかかっている人を止めようと手を伸ばす。
(あれ届かない、……ちょっと待ってこれ赤子の手じゃない!どういう事?どういう事?)
誰かが愛華を止めようとした手に指を入れてくる。条件反射で無意識に握り返してしまう。
「誰も見ていないな (小声)クリステラパパでちゅよ」
(パパ?私の体、赤子になってる?……もしかして私転生しちゃったの!!)
愛華の貴族としての新しい人生が始まる。
六か月の月日が経過する。私桜田愛華ことクリステラは貴族の家に生まれたらしい。
一つ転生して知りえた事実だが赤ん坊は目が悪い。いつも視界に霧がかかっているような感覚だ。
けれどこの六か月見えないからと言って今の状況が分からないわけではない。
私をお世話しているのは生んだ母ではなくメイド二人だ。一人のメイドはアスラと呼ばれている、もう一人のメイドはスライスと呼ばれている。
今の私には顔で見分けることができないので抱っこされた時の感触をもとに見分けている。
どういうことかと言うとアスラは胸がデカいのだ抱っこされるたびに脂肪の塊が全体に迫ってきて窮屈になる。
スライスは前世の私と同じスタイリッシュな素晴らしい体系をしていて抱っこされても不快感が何もない。
スライスはメイドの中でかなり立場が上なのか私の育児をしながら他のメイドたちに指示を出している。
これは寝て食ってまた寝るだけしかできない赤子人生の二つの楽しみの一つである。
私の育児をメイドに任せきりで授乳以外会うことはない母をひどいと思う人もいるかもしれない。
だが母はクリステラに愛情がないわけではない。
そもそも私の家系はこの国で十本の指に入るほど偉い貴族なのだ、貴族にはややこしいしきたりがあるらしく母は私の世話をしたくてもできない状況にある。
裏付けるように母は授乳が終わっても何かと難癖をつけ私と一秒でもそばに居ようとしてくる。
母がいつも私と離される時に発する「またね」を聞く度可哀そうに思えてくる。
この家の主である父はと言うと……私を溺愛している。
一応一目を気にしているのか部下やメイドがいる前では私にあまり関心のない父を演じているが二人っきりになると赤ちゃん言葉で話だしほっぺを髭にじょりじょりしたり、高い高いをしたり愛だけはすごく伝わってくる。
一度だけ父をパパと呼んでどのように反応するか見るために言葉を発しようとしたが「あーあー」と決してパパと呼ばれているのかわからないようなものだったが父は幻聴でも聞こえたのか、飛び跳ねるぐらい喜び私を抱っこしながらダンス的なものをしたり反応がかなり面白い。
私はこれをパパ活と名付け赤子人生の楽しみの一つである。
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