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31話

「フー、リフレッシュ!疲れもとれて、汗も流してサッパリして、後は英気を摂るだけよね。」


「というわけで、お腹を更に減らしましょうね。」


今までの穏やかな空気から一転して、狩人に変わるマリルとハク。


イメージトレーニングという脳内修行が実践に変わる様相だ。僕の中でざわざわと何かが蠢くような感じがした。でも、ハクが僕の背中をパンと軽く叩いてウインクしてくれたおかげで僕の中で修行の成果を出そうと頭も冷え自然と瞑想状態に入る様にゾーン状態となりいくつかのスキルが開放したような気がした。


その効果でこの入浴施設が高度な幻影だとまず気づく。そして、マリルやハク以外の近くに待機しているケモミミメイド達の心音も聞き分けられた。それだけではなく、この幽世の妖や鬼といった者達がどこにいてどのくらい強いのかも匂いや気配など複数の探知能力が複雑に絡み合い情報を正しいものへと僕に知らせる。更に開眼と言わんばかりの空間把握能力が強化され今呪文や超能力といった奇跡に近い力を発揮させれば敵を殲滅させることもできるだろう。そんな僕の膨大な力を悟られないように近くにいるマリルやハクにも感じさせないように気配というより存在自体を消滅させるように息を殺した。


一瞬だけハクが動揺したがハクもマリルも存在を消すように静かに臨戦態勢をとった。一抹の沈黙から僕の耳元にだけ風音だけが話かけた。


「アース様、先陣はこのワッチ!マリルが見本をお見せさせていただきます。」


どうやらやはりマリルには僕が判るらしい。僕はマリルの存在がどこにいるかさえわからないのに。くやしいが、優しく耳元に風の音色で話しかけてきたのでますます僕はやる気になった。


そしてマリルはあえて存在だけ消しながらも何をしようとするのか逐一教えながら行動に移してくれたのだ。


「ここは、はるか昔より死出の旅路に欠かせぬ地の賽の河原。あるのは石花海と言わんばかりの石のだらけの場所。こんな場所で童や赤子ばかりが祈りを捧げる唯一の場所。そんな稀有な鬱屈まみれな地で周りから見れば弱いものいじめをする悪鬼たちが闊歩する。そんなこの地の理を変える者が現れるとしたら強者なのかそれとも弱者なのか。そんな地で這いつくばりながらも祈りを捧げる者反乱革命が起きたとすればどのようなものなのか。幽世からも見捨てられたような妖の狩場のこの地で身を守る者達の力の一旦をお見せできれば幸いです。」


そう念仏のような風音だけが響く。そして目の前の小石が突然積み上がり数百もの石塔が無数にできた。その瞬間、石塔が数千丁のライフルに忽然と変わった近親者への安寧を願う場所。無垢な者たちがひたすら成就の為に祈りをささげた小石。そんな願いを込めた石でできた石塔を無常にも壊す輩がいた場所。無常の叫びを吸い続けた壊れた無数石塔たちは無慈悲で非情を受け止め続けた。


「たかが河原の小石と思うなかれ、童、非力な赤子も持てば武器となり投げることもできる小石。ここは悪鬼、妖なんでもござれの無慈悲な地。性悪な者達でさえ投げれる小石は無限の可能性がある小石。その痛みを知らずして暴れるなかれ!」


風音はマリルが唱えるは呪言のように河原の小石を石塔に変えては遠隔武器変化させ攻撃をする。


圧巻と言わんばかりの奇襲に近い飽和攻撃。突然、ハクが姿を現す。


「もう、終わっちゃったよ。やりすぎだよ。私のいいところを見せられなかった。何で好感度までもっていこうとするの!」


大袈裟なハクの逆切れ。まずは腹ごなしでやられた相手に同情しようよと思いながらも僕も姿をあらわそうとした瞬間ハクが叫ぶ。


「推して参る。」


疾風の如き素早きハクは既に認識を阻害しながらも大きな血しぶきだけが所々で舞い上がる。それに呼応したように幾万の妖やら獣達の軍勢が死骸を食い荒らしながらも見えない者達に襲い掛かる。更に、温度が一気に下がり、青白く輝く英霊のような武者達や黄金に輝く武器を持つ武装した天使のような乙女達が現れ遠くの何かに向かって挟みうちをするように囲い込んだ。


「隠れている兎を穴から出さないと終わらないわね。」


そんなマリルの声が聞こえた気がした途端、いつの間にか僕の背後に忍び寄った妖が爆砕したのだ。


僕は腰が抜けたような声を上げてしまった。


「僕にさえ気配が消せるのに、敵が気配を消せないと思うなんて・・・」


「昔はハクも同じような失敗をしたことがあるんですよ。だから、あえてバカなふりして大声で終わったと欺いたんですよ。ハクは今自分ができることを精一杯してるんですよ。それにアース様もあえて弱者の振りをしたと思えばいいんですよ。失敗も経験です。これを学びですからね。その感情を食欲に変えて血と肉にしてください。」


マリルの召喚能力と幻術といった力以外に本当に学ぶべき道徳や生き方に戦術は僕のこれからを変えていくのだろう。そして、ハクも僕と同じように学んでいる同志であり先輩だとつくづく感じたのである。

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