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32話

「クラッシュアンドビルド!理をぶっ壊し新たなる道を!悟りを超える悟りを開く。悟りの向こう側を!」


「これは何の宗教ですか?お婆様?」


「失礼でしょ!ハク。食べながら質問するんじゃありません。」


いつの間にかBBQに参加している聖女リナエル。そしてジオとダンも和気あいあいと互いに食べながら筋肉を自慢をしていた。


もっぱら聖女リナエルは優雅にお茶をたしなみながら、慕う100以上の妖達から崇められながらニコニコしている。こんな状態でBBQってかなりヤバい物が食材と一緒に混入しているのかと疑ってしまう。


なおますます串に刺さった肉を喰いちぎりながら片手に飲み物を持ちながらクラッシュアンドビルドという叫びに近い狂信的な祈るような呪文が僕の食欲を減退させる。しかし、構わずハクはマリルから叱られながらも口いっぱいに頬張りながらも夢中に食べている。


「あらあら、御使様もいっぱい食べて下さい。修行も一段落したことですから後は一時の英気を養ってくださいませ。」


「そうですよ。御使様の修行でダンもジオ様の仕事が滞った分を取り返さなければならないのですから。もちろんワッチもお手伝いしまうよって。もちろん御使様もハクも修行の成果をお示しくださいませ。」


どうやら、ジオとダンは重要な仕事があるのに僕とハクの修行につきあってくれたようだ。となりで食べながらもぼそぼそボロボロ話すハクが言うにはこの賽の河原の治安を維持するためには必要なことらしい。


現世から死後の世界に来る死者たちの躾ともいえる理不尽?暴力?作業と妖が住む幽世の秩序を担う悪鬼や魑魅魍魎からのカウンター。要するに賽の河原の理を変えた聖女の意思を維持するためのつまらないお仕事だ。


暴力で解決できるなら巨悪な兵力で。無慈悲な仕打ちなら不合理な鉄槌を!悪習や本能がまさるなら消滅しましょうこの世界から!を合言葉に賽の河原の治安を根本から変えてしまう理を見出した聖女リナエル。


たった数日数週間、ジオとダンのお仕事が滞っただけで決起集会のようになったBBQ会場。ジオもダンも聖女リナエルから回復治療をされたようで気力が満ち満ちている。だが聖女リナエルからはそういった覇気も何も感じられなかった。そんな僕が畏怖気味な態度と訝し気にで眺めていることを感じたのかリナエルが僕のそばに近づきしゃがみこんで僕の足の甲にキスをした。


突然の行為に僕は驚いたが、マリルもリナエル同様に近づきしゃがみこんで反対の足の甲にキスをした。そっとリナエルはマリルの両肩を抱くようにして互いに立ち上がった。僕はリナエルに手を伸ばしながら導くように近くの椅子に座らせた。


僕は何でキスしたかを尋ねようとする前にリナエルは語りだした。


「御使様はこの世界の真実を知ってどう思われますか?」


そんな語り口から始まったリナエルは少し悲し気であった。


「我々はこの世界で生を受け産まれました。そして、死んでようやく真実の一旦を垣間見ました。それはこの世界が仮想空間であることを・・・御使様は知っておられるのでしょう。」


「知ってるよ。仮想空間と言えば仮想空間。色即是空、空即是色だよ。」


僕は素直にリナエルに告げた。そんな僕にリナエル更に思いを告げだした。


「この世界には悪意が蔓延しています。そんな世界から生まれた者は全て悪ですか?そんなことはないはずです。だから私自身はこの世界から抗うために理を曲げてまで確かめてるのです。ここ賽の河原には様々な魂をもったモノが現れます。それに違う世界からのモノも無秩序に遭遇いたします。だから私は燮理の聖女となること決めたんです。この地に悪鬼が現れれば聡し天国に送り、聖者が現れれば荒れ果てた下界に送る。嘘をつく妖が現れればその知恵を借りてこの地の協力を申し出る。陰陽の区別をなくし和合加勢の精神でこの地の理を壊し、新たなる秩序を作り出しました。」


ジオもリナエルの様子を見に来たようで話に混じってくる。


「私のような地獄に落ちるような愚かな勇者はリナエルによって救われたのです。ダンも同じで救われたんです。一人なら壊して進め。導ける者がいるなら導け。手を伸ばして救われる者がいたら手を取り、肩を押したら一歩から始められる。そんな矜持を持つことができたんです。」


ジオの手を握る様に立ち上がるリナエルは目をつむりながら僕に祈りを捧げる。


おもわず僕はこの仮想世界の先入観的な話を二人に聞いてみた。


「僕はこの仮想空間についての世界観はある多様性に満ちていることだけは理解しています。ここで生まれた者には理解させれないかもしれないが、この世界の創造主達はそれぞれ千差万別の創造をしています。例えばもし仮に創造主が一柱であったとしたらこの世界のストリーが偏ってしまうでしょう。もしその創造主が満足できない世界が出来上がったら壊して新しい世界をつくろうとするだけです。しかし、もし創造主たちが数千数万以上いる世界ならありとあらゆる創造によってさまざまなストリーを構築するでしょう。僕が知ってる創造主たちは、新たな創造主たちが住む世界がこうなったらいいなとか、創造主が描く夢のような世界の中でどのような物語になっていくだろうというようなストリーを創造して作り上げてると思うんです。」


僕は宇宙旅行実験を兼ねた人体実験的なコールドスリープによるニューロンネットワークで構成させたバイオ素粒子コンピューターによる複雑な夢のような仮想世界を創造しながらこの世界を楽しむ尽くす世界はまるで体験ゲームを超えた未体験ゲームであることを知っている。旅がしたい被験者は旅をする。クラフト体験を通じて熟練度を陰ることも可能であり、自分自身で英雄譚をつくることさえできる。エロい事、残虐的な事、普段できないような暴力的で屈辱的な体験さえできてしまう。そんな世界で生まれた者は創造主のストリーに巻きこまれたといっても過言ではない。でも、生を受けて創造主の理の中で生きて行くには役割を演じなければならない。でも、そのことわり事態を曲げることのできる力があれば、壊すことができる力があればストリーを改変できてします。もし、短気な創造主なら数万人、いや人類を世界を滅ぼしたりするでしょう。そうしないのは他にその世界に目を光らす創造主がいるからです。だからこそ、この世への役割以上の力があれば新たなストリーを産み続け魅了することにより新たな発見と進化を見出し創造の価値を跳ね上げ続けるのである。


「この仮想世界にとって新たなるステージに引き上げる為の理をここから始める為に、御使様へのお願いを聞いていただければ幸いです。」


そう願う聖女リナエルを眩い光が段々と僕とリナエルを包んでいったのだ。

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