28話
「ロン!リーチ一発ツモ!ウラドラは何が出るかな!」
「またハク上がりかよ。参った参った。オーラスだから終わりにしようか。それにもうそろそろ将棋の対局が終わりそうだからこの辺で・・・」
「ハイハイ。もうそろそろ小芝居は終わりにしましょうか。」
エッ・・・バレてるかも・・・散々やったポーカーフェイスのままでハクにテレパシーを送る。
「お母様も負けたままだからって、私たちが何かやってるとでもいうの?そんなことよりお酒が切れてるじゃないですか。さぁさぁ。どうぞどうぞグイっと!」
「やだ~もったいない。勢いよく注ぐから零れたじゃない。ヨッと。もったいない。ウグっと。プハー。次は負けないから。」
勢いよく注がれたブランデーを飲み干すマリル。かなりグデングデンに酔ってる。でも僕たちも同じように酔ってるふりをしながら享楽に浸ってるように演技している。当然マリルもそうだ。何せ、この空間で僕たちに与えている課題そのものをあらわしているのだから。
時を少しだけ・・・いや数日前に戻そう。この対戦ゲームが始まった時まで。
白熱した頭脳対戦をしながら休憩のカジノゲームを楽しむといった余興のような仮想空間をつくったマリルの目的が気になりながらも、僕は何故ハクとの4つのゲーム対戦をしていた。
休憩のカジノにあるゲームが楽しいのかハクはリバーシに限ってできるだけ早打ちでゲームを終わらそうとしてくる。
僕は戦略としてリバーシに限ってはハクに負けようと試みていた。
なぜならば、まず頭脳対戦ゲームは知的な駆け引きや戦略性が高く評価されているゲームであるが、リバーシだけは極端に対戦時間が短かいからだ。一番時間がかかるのは将棋であり、上手く利用すれば自分の分身が最大3人カジノルームに行くことができる。だからこそ、デーラーとして分身をしているマリルから少しでも情報を得るために戦略を練って余興のような仮想空間をつくった目的を得たかったからだ。
それに対戦しているからと言って、ハクにも一緒にこの仮想空間での教訓を一緒に得たいと思ったからだ。
リバーシは必ずハクに勝たせるために、分身体での分散している情報処理能力比率を調整しながらハクとの対戦をした。
最初の頃は、リバーシ0,囲碁2、チェス3,将棋5の配分で行い、徐々にリバーシ0,囲碁2.5、チェス3.5,将棋4の配分で行い後半はリバーシ0,囲碁3、チェス3,将棋4で対戦ゲーム行うことにより約7割勝率を得ていた。
カジノルームでは短い時間でもカジノをしたいハクは1戦勝つと一枚もらえる金貨を増やそうとカジノルームに入ると直ぐにバカラやルーレットに興じてしまう。でも僕はハクと一緒にカジノルームに入っても賭け事はせずに、じっとマリルの分身であるディーラーやカジノにある様々なゲームを観察した。それに、一番気になっていた酔っぱらっているマリルの分身の動向にも中止した。
そして僕はある事実に気づき実行してみることにしたのだ。今までカジノで使わなかった金貨をついにあるシナリオを実行するために。
僕は分身がそれぞれ持っている金貨を集めカードゲームのブラックジャックに時間の限り金貨をつっこんだ。マー・・・ようするにイカサマをするために・・・これは潜在能力を使うだけの手法。カウンティングだ。昔からある手法でプレイヤーがカジノに対する優位性を獲得するための戦略だ。
カジノにとってはあまり歓迎されない方法だがカウンティングは、プレイされたカードを記憶し、次に来るカードの傾向を予測することで、賭けのタイミングやゲームの戦略を変更して、賞金を手にすることができる強力な戦術なのだ。ただし、この技術はルールを理解し、迅速な計算能力と高度な記憶力を必要だからこそ能力向上にも持って来いである。それに、全てのカードを追跡し、素早く正確に計算する必要もあり、もっとも重要なのは、このカウントを使ってベットを調整することなので慎重に行動しなければならない。
そして僕は増やした金貨を散財すべくハクにも配った。当然マリルからも指摘が来ないようにディーラーのマリル達にチップや飲み物でも散財するようにしたのだ。
こうなると後は策略を巡らせるだけだ、対戦ゲームでばっちり能力向上を目指すため、あえて勝率を5分まで引き下げるように、勝てるゲームを負けるように打つことまで思考しながら調整しながら対局をする。それも将棋以外は早打ちで時間をかけずに打つという戦略で。
そして将棋は逆に長考しながら必ず勝つように努めた。ハクとの裏で打ち合わせのないときは長くても1時間30分ぐらいだったのが、9~10時間をかけてプロの対局のように打ったのである。
その結果8時間ぐらいの割合でハクと僕の分身合わせて6人はカジノルームに入り浸せることが実現したのだ。そうなるとやりたい放題だ。今までカジノをしてこなかった2人の僕の分身とハクの2人の分身の4人で麻雀をやりだす。目的は僕がカジノから得た金貨をハクに還元することだ。なぜならばゲーム対戦室では敵同士であった僕たちはカジノルームにいるときは味方になりうる可能性をもったからだ。そうカジノルームではマリルが仮想の敵にすれば更に得るものが多いと思ったからだ。
つまり呉越同舟である。今日の敵は明日の友作戦というべき知略をめぐらせカジノとマリルから得ようとしたのだ。




