25話
「ブラボー!ブラボー!ナイス~フィクション!」
拍手しながら大声で叫ぶハク!
ナイス?フィクションって?おいもしかして創作?
僕の肩を叩きながら感動してるのか笑っているのかさえわからないハク?でもどうやら涙をながしながら笑ってやがる。これはこれでこの後の展開が読めてしまう。とりあえず、僕ははハクからマリルの動きに注視した。
「ハク、これはある種の修行よ。今回はハクは真実を知っているから引っかからなかっただけでアース様はこの演目の内容を信じているでしょ。少しばらすのが早いのよ。」
「でもお母様ったら、穢された聖女って・・クスクス・・・お婆様にしれたら不味くない?」
ゴキ!バゴ!バキ!
「ホホホ。アース様は今回のオペラどうでした。ワチは少しは能力がありまして御使様のお役に立てればと少しの演出をさせてもらいました。」
釘打ちこん棒を肩にのせ斜に構えながらマリルに言われればうんうんうんと震えながらうなずくしかない。言われなくても聖女に話すつもりもない。そんな様子をわかったのかマリルはすでに赤子となった僕を大きな胸に圧殺しながら抱きかかえた。
「ワチの能力はちょっと特殊って・・・ヤバい、凛々しい姿から赤子に戻ったさかい、素がでてきたわ。御使様も青年の姿になってくんさい。ワチも話かたを戻すよって」
僕は椅子に戻された。そして青年の姿に変化する。マリルも戦闘メイド服姿と話かたを変えた。そして周りの風景も一変するように少し平原が広がる草原に変わっていった。
「アース様。どうです幻術は。私もここで生き延びる為にいろいろと学びました。これでも妖術に関しては極めております。だからこそ御使様にお役になればと思い過剰な演出をいたしました。露天風呂なんかを用意すれば他の人は私のことを銭湯冥途だなんて笑ってくれるんですよ。ホホホ。」
ハクは血反吐を吐きながら僕に訴えた。
「お母様は銭湯冥途ではなく殲導冥土の間違いでしょ。アース様も気を・・・バタン。」
「あらあらまた余計なことを。ハクは後で追加の指導をしないといけないわね。そうとアース様にはまだまだスペシャルコースを受けてもらいます。」
マリルは今後の手ほどきを簡単に説明してもらった。なかなかハードな内容だけどこれが破格のチュートリアルな訓練だと感じさせてくれる。
まずは戦闘メイドらしからぬ特殊訓練の開始とばかりにまた風景を変えるマリル。そこは学校の体育館と武道場を合わせたような場所だった。黒子のようなわらしべの角の生えた単眼の妖が備品倉庫からわらわら現れてマットやら黒板やら大きな姿身以上の大きさの鏡を並べた。
いつの間にかジャージ姿が凛々しい姿の獣耳がかわいらしい体育教師姿に変わっていった。
「ダンには理論的にも対人戦を教わったと思うけど、私はもう少しマニアックに詳しく教えて行こうと思います。」
そんなことを言いながら、黒板と数体の童妖を使い人体構造における反射運動やら認知動作における体の崩し方を徹底的に理論的に教え始めた。
それはそれはマニアックでいちいち動作中の体の重心の位置がどこにあるかどう動き、どうしたら崩せるか、逆に崩された場合どうしたら最小限に抑えるかなどを徹底的に指導された。例えば、剣などの武器を使う場合や近くの物を代用する場合の効果的な連携動作について、できるだけ優位な体制をとり続けるためになど発展させて考えさせる。まさに体術を究める修行だった。
意外と楽しく時間が過ぎてゆく。何せいちいち口答えするハクに対して鞭が絡むようにして体を崩し縛り上げられるのだ。見ているだけでコントのように起き上がれないハクは蟻地獄にはまった蟻のようでもあった。
「アース様いかだでしたか。力が劣っていても対する物の構造が判ればなんとかなるものでしょう。さあ、次は如何に相手にそのスキを見つけるかなどの戦術を教えたいのですが、まずは兵法を説くことから始めしょう。」
そういうと昔からの兵法と近代における兵法の差を教えてくれた。単純にいいかえれば戦わずして勝つ方法と大虐殺して無にする方法を比べさせたのだ。もちろんマリルのおすすめは昔からの兵法で戦わずして勝つ方法によって今後に生かす方法だ。そのための他者への話かたや生き方を説き対人関係を常に良好にしながら敵が現れた時の対処方法や利害関係者における理想的なふるまいを説いてくれた。その上で戦術と言える計略を絡めながら最小限な活動で有利に勝つ方法を教えてくれるのだ。
だからこそ欺瞞や偽善でもなんでも利用してでも信用されるような生き方が勝利を呼び込むと説いた。
でも少し悲し気に話すマリルみてハクはため息ながら呟いた。
「信用を勝ちとれば国も英雄も勇者も殺すことができるのか。」
「騙したり嘘を流布されて罠にかかったりしても跳ね返す強い力、知識があれば騙し返すこともできるのよ。」
するとマリルは分身をするかのように複数の分隊を作り出した。
「数の暴力なら数の暴力で対抗してもいいし、情報戦を絡めて殲滅する方法もあるのよ。さあ、騙し騙され貶め貶められるだけではなく、滑稽な腐った者達を嵌める策をいくつも考えられるようになりましょうね。」
邪悪を体現したような不敵な顔で薄ら笑いしながら難問を解くように僕の両耳を包むように手で触るマリルが少し恐ろしく感じた。




