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「……じゃあ」とセダスタは切り出した。「今度はこっちが尋ねる番だ。なぜ総督を?」


その問いに、ザイオーロの顔から、からかうような笑みがすっと消えた。彼は、まるで遠い昔を思い出すかのように、一

度目を伏せる。


「……なんでだと思う?」

「少なくとも、ただのテロには見えなかった。あれは、個人的な恨み……いや、もっと深い、裏切りに対する『清算』のよ

うに見えた」


セダスタの洞察に、ザイオーロは初めて、驚いたように目を見開いた。そして、次の瞬間には、自嘲するような笑みを深

くした。


「……驚いたな。お前、見かけによらず、物事の本質を見抜く目を持ってるらしい。……そうだ、その通りだよ。あの男、

ビエノ・アフ・オグダリエは、元々はこの地下の住人……俺たち『カオッカアンフ』の仲間だった」

「……!」

「奴は、俺たちの先代のボスを裏切って殺し、その手土産を持って地上へ逃げた。そうしてまんまと下院議員に収まり、

ついには総督の座にまで上り詰めたクソ野郎さ」


ザイオーロは、吐き捨てるように言った。その声には、抑えきれない怒りと、そして深い悲しみが混じり合っていた。


「そんな奴が、総督になって明日から早速何すると思う?……貧困層の徹底的な締め上げと、この地下街の完全な封鎖だ。俺た

ちを、光の当たらない場所で、静かに根絶やしにするつもりだったのさ」


彼はそこで言葉を切ると、セダスタの目を射抜くように見つめた。


「だから、教えてやったんだ。俺らがまだ元気イッパイだってこと、そんで、地下で見捨てられた者たちの怒りが、

今まさに、奴の喉元にまで届いたってことをな。……最高の晴れ舞台で、最高の絶望をプレゼントしてやったのさ」


*


ザイオーロの話が終わると、部屋にはしばし、重い沈黙が落ちた。セダスタは、目の前の男が背負う過去と、その行動の裏

にある激情を静かに受け止めていた。やがて彼は、自分たちの置かれた現実へと意識を戻し、口を開いた。


「……あんたの事情は分かった。だが、俺たちの問題はまた別だ。この星に長居はできない。あんたらの仲間だと思われて、

今頃俺たちの顔も手配書に出回ってるだろうからな」


セダスタは、ソファで眠る少女に一度目をやると、ザイオーロに向き直った。

「そこで頼みがある。この星を出る、大型の船に俺たちを乗せてくれねえか。……密航ってことになるがな」


その、あまりに無謀な提案に、ザイオーロは呆れたように、しかしどこか楽しげに、鼻で笑った。

「ハッ、寝言は寝て言えよ。お前、自分が何言ってるかわかってんのか?俺が総督のタマを獲ったんだぜ。今頃、港は完

全に封鎖、ネズミ1匹通さねえ厳戒態勢だ。そんな中、どうやって船に乗るってんだ?」


彼は、セダスタの肩を軽く叩くと、諭すように続ける。

「それに、だ」

ザイオーロは顎でソファを示した。

「そこの嬢ちゃんはどうする?意識もねえ寝たきりの人間を、どうやって検問でごまかすつもりだ?

荷物みてえに担いでいくのか?馬鹿言え、それに第一こりゃあ、ドゥアピーズの『要人』だろ」


それは、あまりにもっともな指摘だった。セダスタはぐっと言葉に詰まる。ザイオーロは、そんな彼の様子を見て、大げ

さに肩をすくめてみせた。


「諦めな。あんたたちも、俺たちも、しばらくはこの地下でおとなしくしてるしかねえんだよ。ごたごたが収まるまではな」

彼はニヤリと笑うと、意外な言葉を口にした。

「……まあ、悪いようにはしねえさ。敵の敵は、当分の間、客としてもてなすのが俺のやり方でな。部屋を貸してやる。落

ち着くまでここにいろ」



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本家:ページ中にキャラのコンセプトアートなどあり

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