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冒険者ゴートの一生  作者: ケバブ
四章
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ポートの街と駆け出し冒険者5

翌朝、前日早く寝たからか何時もより早くに目が覚める。


まだ集合には早いが目覚めてしまったのだから仕方がないし鍛練でもするかな。

僅かに残っていた保存食を朝食代わりに食べ、集合時間までひたすら鍛練に励むのであった。




「ゴート、おはよう!」


もうすぐ約束の時間というタイミングでカンナがやった来た。地元だからか流石にフードは被ってないし、服装も冒険者的なものではなく庶民的なものだ。


「おはようカンナ。今日はよろしく頼むよ」


「おうよ!うちに任せときなっ!」


今日も元気一杯のカンナである。


ぐう


俺の腹から空腹のサイン。


「まずは朝飯の調達からだな」


カンナが楽しそうにクスクスと笑いながら提案してくる。

俺も全く異論はない。寧ろこっちからお願いしようかと思っていたところだ。

ただ腹に先を越されるとは思わなかったが。


「それじゃあ案内頼むよ」


そう言ってカンナと共に歩きだした。



おすすめの屋台に着くまでカンナにポート街について興味深いことを色々教えてもらった。

先ずはこの街の住人の人柄。ポートの街の住人は良くも悪くも豪快でさばさばとしているらしく、日常会話や仕事でのやり取りが他も街こら来た人にすると喧嘩でもしているかのように見られがちなんだとか。

確かに街を歩いてても柄が悪いとまではいかないものの、迫力のある人が多い気がするし、声そのものも大きいかもしれない。


次に生業。見ての通りこの街最大の特徴と言えば海に面している事。それ故自然と漁業が発達していき、この街の主産業となっているらしい。またこの街の漁で主に用いられているのはさっぱ船(船底の平な船)なのだが、ここら辺の海は遠浅気味でさっぱ船で漁が出来る範囲が広いことも大きかったようだ。因みにコストやリスク面から外洋での漁や、海運は殆ど無い様子。


そして何より漁業組合。この組織の存在がこのまち最大の特徴とも言えるようでこの組織を中心として街が回っているようだ。


漁業組合について詳しく聞こうと思ったが漁業組合についてカンナが知っているのはこのぐらいのようだった。それにしてもこの年齢にしては随分と自分の街について客観視出来ている。ただ知っていることを話すのではなく、他の街との比較を要れながら話すのはそう出来るものではない。


「こういう言い方は失礼かもしれないけど、カンナが想像以上に物知りで驚いたよ。俺がそんくらいだった時そんな説明絶対出来ないし」


「あー、それは…」


なんとも言えない微妙な表情のカンナに慌てて言葉をかける。


「理由がどうしても知りたいとかじゃ無いんだ、ただ純粋に感心してさ。だから色々と話さなくても大丈夫だからさ」


少し二人の間に沈黙が流れた後、カンナが小さなため息をつきながら語り出す。


「実はうち孤児院出身なんだけどさ。そこの院長が凄く物知りで皆に勉強を教えてくれるんだけど、それが結構楽しくてね。うちらも喜んで勉強するんだけど、そのせいか普通の家より勉強する機会が多い位でね。結果孤児院出身なのに変に賢い子供になるって訳」


「成る程ねえ。勉強を頑張ったり、鍛練を頑張ったりしたから今のカンナが有るんだな。凄いじゃないか」


「…え?」


「ん?」


「孤児院出身なのに勉強頑張ったりして生意気って思わなかったの?」


「孤児院と勉強は関係無いんじゃ?」


「…そもそもうちが孤児でも驚かないんだな」


「まあ、俺も孤児だったし、もっと言えば農奴だったからなあ」


「…っ」


「だからそこまで驚きはしなかったかな、うん。それに今はお互い冒険者、そこが大事だと思うし」


「そう…か…。うん、そうだ!」


ぎゅっと握られる俺の右手、さっきまでの何処か陰りのある表情とは違う満面の笑み。


「さっ、早く行こうぜゴート!」


「お、おう」


カンナに引っ張られ走り出す俺。

なぜだろうか目の前のカンナが、繋いでる手が昨日よりも小さく感じた。


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