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冒険者ゴートの一生  作者: ケバブ
四章
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ポートの街と駆け出し冒険者2

「猪だ!こっちに来るぞ、気を付けろ!」


時は夕暮れ、二つ目の村を通過し、野営所までもう少しという所で護衛の冒険者が緊迫した声をあげる。


急に馬車が止まり、慣れない長旅にうつらうつらしていた家族連れが飛び起き、テッドさんと小柄な冒険者は身構えている。無論俺も臨戦態勢をとるが、今の俺はあくまで一乗客。護衛の冒険者の邪魔にならないように、槍を持ち外を伺いながら警戒するに止まる。


どうやら猪は一匹のようであの護衛なら問題なく対処出来るだろう。万が一駄目でもただの猪一匹程度なら俺一人で何ら問題ない。これが群れだったり、ごく稀に出没する異常に巨大な個体だったら損害無しは難しいかも知れないが。


とはいえ野生の猪は一般人からすれば十分な脅威である。その証拠に子供二人が両親にしがみつきながら不安そうな目でこちらを見ている。


「大丈夫大丈夫、守ってくれる冒険者のお兄さんたちは強いからさ」


少しでも安心してもらうため声をかけていると、猪を仕留めたのか外が静かになった後


「もう大丈夫です!猪は仕留めました!」


これは護衛の冒険者の声だろう。馬車内の緊張が消えていくのを感じる。とりあえず一安心のようだ。


仕留めた猪をどうするのか気になったの。で他の乗客に断りをいれてから冒険者の元へ。

何故かはわからないがテッドさんも用が有るらしく二人で向かうと、雄で成体の猪が横たわっていた。


冒険者と御者が思案顔で相談していたので、話しかけることはせずテッドさんに気になる事を聞いてみる。


「テッドさん、あの猪ってどうするんですかね?」


「大抵の場合仕留めた冒険者の物になるけど今回は大きさが大きさだからね。馬車のスペースも余り余裕が無いし」


「すると必要最低限取るもの取って、離れた所だ処理する感じですかね」


少し勿体無いが仕方がないのだろう。彼らの本分は護衛なのだし


「そうなるかな。でも今回は僕が居るから少しだけラッキーかもね」


テッドさんの言葉に首をかしげていると、徐に歩いていくテッドさん。


少しの間話をしたと思ったら徐々に笑顔になる護衛と御者。戻ってくるテッドさん。


訳がわからず変わらず首をかしげ唸る俺。


「僕は商人だからね。牙や肉の一部を買い取るって事にしただけだよ。折角だから皆で猪肉祭りでもしようかな」


何の気なしにテッドさんは話すが、魔獣化した猪である魔猪ならともかく普通の猪は現状余り旨味はない。近くに肉を卸せる訳でもないし牙もそこまで価値が無いからだ。


その疑問が表情に出ていたのかテッドさんが苦笑しつつ近寄り、小声で話し出す。


「その表情だと何となくわかってるみたいだけど、確かに利益は殆ど出ないだろうけど護衛の冒険者や他の乗客に名前を覚えてもらう良い機会だからね。僕は新規に商会を起こしたばかりだから、こういう地道な努力からさ」


そう言いながらわざとらしく肩をすくめ馬車内に戻っていくテッドさん。


発言だけ聞けば苦労話なのだろうがその苦労が楽しいのだろう、声色は明るかった。照れも少し有るのかもしれない。俺は敢えてなるほどと返事するだけにした。


猪の処理を終え再び馬車が進むと事一時間。日も沈んだ頃、本日の野営所に到着した。

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