ポートの街と駆け出し冒険者1
六章始まります
よろしくお願いします
晴天の元、涼やかな風を頬に感じながら馬車は街道を進んで行く。馬車が古い形だからだろうか他の馬車と比べてのんびりと進んでいる。
馬車内では夫婦と商人が世他愛ない話をしており、駆け込んできた少年は帽子を顔に被せ早くも寝に入っている。俺はというと子供達とおままごとをしていた。ちなみに俺は旦那さんらしい。
太陽が真上に差し掛かった頃、ゆっくりと馬車が止まる。お昼休憩のようだ。
お昼といっても各自が持ち込んだ保存食を食べるだけなので、たいした時間はかからないのだが。
御者さんの一人が自分の食事を手早く済ませ馬の世話をしている間、もう一人の御者から今後の予定について説明しにやって来た。
「皆さんお疲れ様です。今後の予定ですが次の村で水の補給をするのでもし保存食が少ない人はそこで買った方が言いかもしれません。補給が済み次第出発で、二つ目の村の先に有る野営所が今日の目的地となりますので宜しくお願いします」
お手頃価格の乗り合い馬車だったが御者さんの態度も凄く丁寧だし当たりの商会を選んだのかもしれない。
お昼を食べてる間、年も近そうということで商人の青年が話かけてきたので二人で食べることにする。青年の名前は名前はテッドと言って歳は二四らしい。こっちの年齢を伝えると少し驚いてたから俺は老けて見えるのかも知れない。解せぬ。
「いや~それにしてもその若さで七級は立派だよなあゴート君は」
「テッドさんこそ、その歳で独立してるんですよね?そっちの方が凄いと思うんですが…」
「まあ、独立してるって言っても行商みたいなものだからなー。早く自分の店が欲しいものだよ」
「やっぱり店を持つって大変なんですかね?そっち方面は全くの素人なんでかなり大変そうって位しかわかりませんけど」
「正直店を出すだけならある程度の人なら出来ると思うけど、そこから軌道にのせるとなると中々ね…。だから今もこうして下準備のためにせっせと行商に勤しんでるのさ」
やはり商人の世界でも冒険者とは方向性の異なる生存競争が有るのだろうか。
でも折角縁があったのだから成功して欲しいものだが。
「あ、テッドさん。少し聞きたいことが有るんですけど良いですか?」
「ん?僕に答えられることなら構わないよ」
「ポートの街までの村についてなんですけど宿って足りてないんですか?リンの街で乗る馬車決めるときに野営する便が結構あった気がするんですけど」
「ああ、それね。ほぼ毎日ポートから海鮮物を運ぶ便が出ててその影響もあるのさ。そしてポート迄の街道が比較的安全な事もあって野営で済むことも多いから、絶対宿に泊まりたいって層も少なくてね。新しく宿を作るまでには至ってないのさ。それに途中にある村はポートに売る小麦も作らないとだから大きな宿場町にはならないんじゃないかなあ」
なるほど、少し難しい話だったが何となく理解した。道中の村は良くも悪くもポートと一蓮托生なのだ。
現状ポートとリンの行き来がかなり多いため、自ずと周辺も比較的安全になっているのだろう。
「そろそろ出発しまーす!」
馬の休憩も終わったのか御者が出発の準備を始めたので、二人して慌てて残りの干し肉を口に投げ入れ馬車に向かった。
因みに午後の遊びは冒険者ごっこだった。




