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冒険者ゴートの一生  作者: ケバブ
四章
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リンの街と冒険者8

改めてウィズさんに話を聞くと、指導している冒険者達の手合わせの相手になって欲しいとの事。

何でもこの街の冒険者は獣相手に対峙するような依頼が少なく一般的な冒険者の動きを見せてやりたいらしい。


鍛練の様子だけで対獣の経験値をと見抜くとは流石六級冒険者。

俺で良いのかという疑問も残るがあまりにも階級が離れていても良くないらしい。


それなら七級の俺が相手するのも納得だ。

こっちも色々な武器との戦闘経験を積むことができるから丁度良い。ついでに自分にも指導して貰えないか交渉してみると快く承諾して貰った。


「それじゃあ宜しくお願いします!」


俺は逸る気持ちを抑えつつウィズさんと共に冒険者の一団に合流したのだった。



おそらく年下であろう冒険者五人と合流し、自己紹介もそこそこに早速手合わせが始まる。


少年五人からなる彼らは盾と片手剣を使う少年が唯一八級で残りの四人はまだ九級であり、メインで使う武器も決まっておらずとりあえずでリーチの長い槍を使っている様であった。


まずは俺と彼らの一対一の手合せだ。

冒険者の戦闘能力は階級と比例しない事も多々あるのだが今回は順当だったようで九級の四人は一切苦戦せずに一本。


少し拍子抜けしたが最後の八級の少年は中々手強かった。因みに名前はエドという。指導者のウィズさんが本来盾と片手剣を用いたスタイルらしく指導しやすいのも有るのかもしれない。フェイントや駆け引きを使いつつ盾を上手く使われて中々有効打を入れることが出来なかったが、基礎体力が違ったのか暫くすると動きのキレが鈍り一本とることが出来た。


初めて盾もちの相手と戦ったが想像以上に戦い難い相手だった。今後盾もちを想定した戦術も考えなければいけないかもしれないな。


一通り全員との手合わせが終わった時点でウィズさんから指導が入る。

俺は相手のフェイントや攻撃に対して過剰に反応していると言われた。図星である。


続いて俺対複数の変則的な手合せに移ったのだが、これが中々に面白い。

相手は連携の仕方やより高度な駆け引きが試せるし、こちらとしても意識を常に複数に割いていなければならずかなりキツい。

実際エドが敵にいる組み合わせだと殆ど勝てなかったが、最後の手合せで対人戦のセオリーを捨て対魔獣戦のような全力攻撃全力回避を試したら呆気なく勝ってしまった。


俺とエド達、両者に疑問符が浮かんだところでウィズさんから説明が入る。

言われてみれば単純な理由で俺の技量で受けに回り慣れない対人戦を展開するよりも、何時も通り身体能力を活かして激しく動きつつ攻めた方が、相手に同時に攻撃されることも減り有効だったというだけの事だ。


「冒険者としてどんな状況にも対応出来るようにならないとな」


とウィズさん。


俺もエッジさんと戦ってから変に対人戦に拘りすぎたのかも知れないな。引き続き対人戦の腕は磨いていくとしても自分の強みは見失わないようにしないと。


エド達も指導を受けているのだが…ウィズさんめ。

対魔狼があんな感じは少し言い過ぎじゃなかろうか。我が宿敵魔狼よりは上品だと自負しているのだが。

それが理由と言うわけでは無いのだが、ものは試しと最後にウィズさんと戦った。全然攻撃が通らない上に、気が付いたら盾で吹っ飛ばされてたけど。なんだよシールドバッシュって。


鍛練を終え皆で身体を解しつつ他愛ない話をしている時、昨日の依頼先の雰囲気についてそれとなく聞いてみると皆なんとも言えない顔で事情を教えてくれた。


少し前この街の近くで皮製品の素材や珍味として重宝される大蜥蜴の多量発生が起きたらしく、大蜥蜴特需で近隣の冒険者や商人がこぞってリンの街に来たのだが、一部の冒険者の対応や仕事振りがあまりよろしくなかったらしく、商人の中には他所の冒険者に少し距離を置く人がでようだ。勿論大多数の冒険者は真面目に働いているのだが悪い点というのはより目立つというのが世の常だ。


また元々リンの街の冒険者は護衛しごとが多い影響か真面目で丁寧な事が売りだったのだが、今回はそれが裏目に出たらしい。


今日聞いた話が全てではないだろうが、おおよその事情がわかり何となくスッキリした俺であった。




「今日は有意義な一日だったな」


誰に言う訳でもないのだがベッドの上で声に出す。


ウィズさんやエド達との手合わせのおかげか心地良い疲労感が襲ってくる。これは良く眠れそうだ。


特に何か考える訳でもなくベッドでごろごろしていると、漠然とだがこの街でやりたいことは一区切りついたかなと頭をよぎった。

そしてそれと同時に沸き上がる感情。


「海…見たいな…」


そういえばこのリンの街から南に進むとポートという港町が有るんだった。


「行くか、ポート!」


思い立ったが吉日。早速明日から出発準備だ。

先ず保存食を買って、それから移動手段を調べないと。護衛依頼で行くのも手だがさてさて。


気が付けば新天地への期待でご機嫌な自分。我ながら単純だ。でもいいのだ。



明日から出発準備だ。


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