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冒険者ゴートの一生  作者: ケバブ
四章
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リンの街と冒険者7

翌日相変わらずボリューミーな朝食を済ませると早々に冒険者組合の訓練場へと向かう。今日は一日中鍛練に費やす予定だ。


鍛練場に着くと冒険者であろう一団と、エッジさんのように少年に剣を教えている老人の2組がいた。


冒険者の一団は訓練なのか打ち合いをしている。その殆どが駆け出しのようだが一人だけ指導に回っている男がおり、中々な実力者のようだ。

少年と老人のペアは本当の初心者のようで素振りの指導を行っていた。少年がまだ幼めなこともあって、何処か微笑ましい。


そうやって周りを観察しながら身体を解していき俺も鍛練を始める。まずは基本の軽く走り込みや筋トレ、素振りをこなす。


冒険者の一団からなんとなく視線を感じたが、先程此方も観察していたから気にしない。


そして基本の鍛練が一段落したら、エッジさんとの一戦を思い出しながら、仮想エッジさんとの手合わせだ。勿論完璧にイメージ出来るわけでは無いのだが闇雲にやるよりは断然いい。


ただひたすらに己の中のエッジさんと戦っていたら気がついたらお昼時。何時もならゆっくりと美味しい店でもと街へ繰り出すが、今は興が乗っている。近所の店で手早く昼食を済ませ直ぐに訓練場に戻った。


少し冷えた身体を温めるためにもう一度柔軟や走り込みをしてから再び仮想敵との打ち合い。

今度は人ではなく因縁の魔狼を想定してのものだったが、なるほど改めてやってみると午前中とは全く違う動きになることが解る。


中でも駆け引きの数と動作の大きさは人と獣で顕著に差が出てくる点だろう。


例えば人相手だと細かい駆け引きが常に行われ、すると自然に動作も最低限のものになってくる。そもそも人相手に全力の振り下ろしや突きは攻撃力としては過剰なのだから自ずと細かい動きになっていくのだろう。


それに比べて獣相手だと細かい駆け引きなど殆ど通用しない。そもそもの身体能力が格段に違うため下手に手出しして武器に噛みつかれたり、捕まれたりしたらその時点で自由が無くなる。したがって獣に相対した時は基本的に早く鋭く必殺の気概を持って戦わなければならない。

勿論事前に動きを把握して罠や地形を駆使して有利な状況に持ち込めるのであればそれに越した事は無いのだが。


以前戦った魔狼が目の前に居ると思って槍を振る、突く。訓練場なので専用の場所に行かないと流石に槍を投げる事は出来ないが投擲も想定して狩るまでの道筋を組み立てる。


ふと背後から誰かが歩いて来る様な気配を感じ、動きを止め振り替える。


「うおっ!俺の気配を感じるとは中々だな…」


すると午前中駆け出し冒険者の一団を指導していた実力者であろう男が片手を上げながら少し驚いていた。


意図が解らず怪訝な顔になってしまったのだろう、男が慌てて事情を話し始めた。


「訓練中申し訳ない、俺はこの街の六級冒険者でウィズというんだが少し提案があってな」


実力者だとは思ったが、六級なら納得だ。


「今組合の後輩冒険者の奴らを鍛えているんだがもし時間があるなら手合わせして貰えないか?」


ウィズさんの提案とはエッジさん同様手合わせをして欲しいというものだった。

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