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冒険者ゴートの一生  作者: ケバブ
三章
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セカの街の冒険者達2

「リーフさん!ゴートです。依頼を受けに来ました」


リーフさんを見つけたので、名前を呼びながらリーフさんに駆け寄る。

農園の中に入ると、雨が降る前の匂いと緑の匂い、土の匂いが感じられ懐かしい気持ちになる。故郷の村で雨が降る前はいつもこの匂いだったな。


「やあゴート君!君が依頼を受けてくれたのか。それなら一安心だ。収穫作業バッチリ頼むよ!」


「任せてください!」


春カブも春芋も村にいた頃たくさん収穫している作物だから、作業内容に問題はないだろう。


作業に入る前に従業員に自己紹介。リーフさんの他にお爺さんが一人、俺より年下であろう子供が三人で、女の子二人男の子一人。今まで何度かこの農園に来たことが有るけれど、基本的に夜番の依頼で来ていたので従業員と本格的に話すのは今日が初めてだったりする。


「九級冒険者のゴートですよろしくお願いします」


「ゴート君か。リーフから話は聞いているよ。良く夜番の依頼を受けてくれているのだろう。ありがとうな。儂はバルフェルド。皆にはバル爺と呼ばれているからそう呼んでくれ。一応こいつらの農業の先生の真似事なんかををしているしがない爺さ」


そう言ってバル爺は自嘲気味に笑っている。リーフさんと三人のうち少し大人っぽい少女は、一瞬寂しいような悲しいような何とも言えない表情を見せた気がするが、初対面の自分が踏み込むべきことではないだろうし今は流しておこう。


「ホナミ孤児院のヒナと言います。いつもリーフがお世話になっております。よろしくお願いします。そしてこの双子がヘイルとファラといいます」


「「よろしくお願いします」」


ヒナさんは凄くもしっかりしていて料理が上手、ヘイル君は顔付きの割に体格が良くて明るく、ファラちゃんは真面目だけどやや内気らしい。というのも自己紹介の合間にリーフさんが補足説明をしてくれたのだ。ヒナさんに怒られてたけど。


リーフさんの農園は、時折孤児院のより小さい子が手伝いに来る程度で基本的にこのメンバーで回しているらしい。


お昼にヒナさんお手製の芋とカブのスープを皆で食べつつ作業に励む。慣れた作業だけあって三十分ほど余裕を持って収穫を終え、少しの間草刈りを進めることができた。


「ゴート君お疲れ様。凄く手慣れていてビックリしたよ」


「少し前まで農園で働いていたようなものですから」


「その他にも一度に運ぶ量とか凄く多かったし、やっぱり冒険者は違うね!」


「ありがとうございます。それをいったらヘイル君も年の割には凄く力持ちですよね。見てて凄かったですよ」


すごい勢いで誉められ、少し照れ臭くなったので話題を変えるのもかねて違う話題を切り出したのだがリーフさんの表情が変わった。何か悩んでいるのかその表情は明るいものではない。


「…ゴート君。もしよかったら少し話を聞いてもらえるかい?」


「俺なんかで良ければいくらでも聞きますよ。あんまり良い答えとかは言えないかもしれませんが…」


「いいや、新人冒険者のゴート君だからこそ聞きたいんだ。実はヘイルが来年から冒険者になると決めたみたいでね。ヘイルがよく考えて決めたことだから僕も尊重して応援したいんだけど、やっぱり心配でね。参考までに現役冒険者の意見を少し聞きたくて」


成る程。それならさっきの表情も納得だ。自分が生業にしておいて言うのもなんだが冒険者という職業は安定から程遠い職業だし、親しい者からすれば心配するのも当然で、リーフさんみたいに優しい人なら尚更だよな。


「俺も何かアドバイス出来るほど冒険者について理解した訳じゃないですけど、ヘイル君の身体能力は高いと思いますよ。勿論それだけで冒険者をやっていける訳では無いですけど」


「そうか…。助言ありがとうね。因みにゴート君は指導や訓練の依頼は受けていいるのかな?もし良かったらヘイルに色々教えて貰いたいんだ」


「俺がですか!?俺も冒険者になったばかりで人に教えられる身では…武器の扱いとかもまだまだですし」


「ヘイルも武器の扱いは組合で学ぶみたいだからそこは大丈夫。ゴート君に教えて貰いたい事は駆け出しの心構えや、普段からやっておいたほうが良いこととかなんだ。ゴート君と知り合ってからそんなにたっている訳じゃないけれど怪我もしていないようだし。それに勝手ながらヘイルはゴート君と近い境遇にあると感じていてね。なおさらヘイルのためになるかと思ってさ」


リーフさんは可能な限りヘイル君の力になってあげたいのだろう。そして少しでもヘイル君に怪我をせずにいて貰いたい。そんな家族を大切に思うリーフさんの想いが伝わってきた。

自分が人に何かを教えるという事に自信はないけれど、少しでも力になれるならやってみるのも良いのかも知れない。


「リーフさん、俺で良ければその依頼受けますよ。どこまで力になれるかはわかりませんけど精一杯頑張ります」


「本当かいゴート君!ヘイルとも相談して改めて依頼を出すよ!」



依頼の完了証明を貰い農園を後にする。

まだ指導の依頼を受けたわけではないのだが、なにか肩にのし掛かるものを感じる。だけどそれは嫌な重さではなかった。


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