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現代の工場勤務だった俺、董卓に転生したので酒池肉林を楽しむつもりが、気づけば天下を統一していました  作者: 水原伊織


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第18話 強くてニューゲーム(KPT分析をはじめよう)

「……様! 董卓様! お目覚めくだされ!」


(……ん?)


耳元で響く、やけに耳慣れた固い声。

香ばしい藁と馬の匂い。肌を刺す殺伐とした冷気。


重い目蓋を開けると、そこにあったのは現代の四畳半の天井ではなく、見慣れた軍用の幕舎の天幕だった。

そして、目の前に膝をついているのは――我が軍の優秀すぎる参謀、李儒りじゅだった。


「……李儒?」


「ハッ! 涼州の陣営にて、今後の部隊配置についてご指示を仰ぎたく!」


俺は跳ね起き、自分の手を凝視した。

ゴツゴツとした巨大な手。豪華な皮の鎧。腹にズシリと乗っかる圧倒的な脂肪と筋肉。


(……戻ってきちゃったぁぁぁぁぁっ!!??)


夢から覚めたと思ったら、また夢(?)に戻ってきた!!

しかも場所は、一番最初のスタート地点――まだ洛陽に上京する前の「涼州の現場」だ!


「董公? いかがなされましたか? 顔色がすぐれませんが……」


「あ、いや……なんでもない。ただのデジャヴだ……」


俺は必死に動悸を抑え、冷や汗を拭った。

落ち着け。


落ち着くんだ俺。


これはつまり、アレだ。ゲームで言うところの『強くてニューゲーム』ってやつだ!


(一周目は完全な手探り状態だったから、王允や呂布に足元をすくわれて暗殺された。だが……今の俺には【一周目の全記憶と失敗データ】がある!)


元サラリーマンの血が騒ぎ出す。

トラブルが発生したなら、原因を分析(KPT分析)してカイゼン(業務改善)すればいいだけの話だ。


(よし……まずは一周目の振り返りだ!)


俺は幕舎の机に向かい、竹簡と筆を引っ掴むと、恐ろしい勢いで文字を書き連ね始めた。


【董卓軍・第一次経営の反省点と改善案(KPT)】


Keep(良かった点)


現場のシフト管理と福利厚生(兵力増強に直結した)

呂布へのインセンティブ付与(赤兎馬でのスカウトは正解だった)


Problem(死因・問題点)


王允への業務丸投げ: 朝政を任せすぎて裏で工作(連環の計)をする余地を与えた。


呂布の「コンプラ・コンサル不足」: 単純で純粋すぎるため、ハニートラップに一発で引っかかった。


イメージ戦略の失敗: 勝手に皇帝をすげ替えたせいで、外部から「悪逆無道」とレッテルを貼られ連合軍を結成された。


Try(二周目の具体的アクションプラン)


王允は「名誉職(内部監査)」に押し込め、手足を縛る!


呂布には早期から「恋愛リテラシー研修」を叩き込み、ハニートラップ耐性をつけさせる!


皇帝(少帝)は廃さず、徹底した「広報PR活動」でホワイト企業アピールをする!


「よし……!」


完璧な改善案ロードマップを書き上げた俺は、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。


「董公……? 一体何をなさっておられるのですか……?」


不気味な笑みを浮かべる俺を見て、李儒がドン引きしている。


「李儒。今すぐ全軍の幹部を集めろ」


「は……? 幹部会でございますか?」


「そうだ。これより我が董卓軍は――『完全コンプライアンス遵守・ホワイト企業化計画』に移行する!」


一回目の死を経験した叩き上げサラリーマン(董卓)の、生き残りをかけた周回プレイが、今度こそ幕を開けたのだった!

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