十三層、連携
十三層の敵は石兵の小部隊。
透と慧、二人だけでも安定して倒すことができる。
基本的な連携としては、小盾とメイスを持った透が、前で攻撃を捌く。
そして、戦鎚を持った慧が、斜め後ろから大きな一撃を与える。
そこに加わった、拳で戦える素早いグレア。
グレアのこのパーティでの役割は遊撃。
戦い方そのものは二人だった時と大きく変えない。
少し歩くと、いつもと同じ、六体組の石の兵士現れる。
前に大盾が二体、その後ろに槍持ちが二体、それらを挟むように剣を持った石の兵士が左右に二体。
厄介なのは縦の隙間から突き出される槍。
透は慣れた手つきで攻撃を捌いていく。
これまで何度も繰り返してきたものと同じ手順。
慧は力押しで右側の剣を持った石の兵士を叩く。
力任せにも見えるが、経験上、これが一番早くて安全だった。
そこまではいつも通りだった。
次の瞬間、右の槍兵の頭が横に跳ねる。
いつの間にかグレアが後ろに回っていた。
蹴り一つで槍兵が崩れ、隊列がずれる。
左側に立つ剣兵がグレアの存在を認識し、向き直る。
だが、左の槍石兵が邪魔になる。
一度崩れた隊列は、もう元には戻らない。
石兵単体はさほど強くない。
最後の石兵に戦鎚を落とした慧が、短く息を吐く。
<余裕だな>
本当にその通りだ。
戦闘時間は半分以下。
その上、魔法も一切使っていない。
<一人増えるだけでこんなに違うなんてね。急にグレアが反対側に出てきた時は驚いたよ>
<二人が前で視線を引いてくれてたからな。裏に回り込むのは簡単だったぞ>
透とグレアの会話に続けて、慧が言う。
<十四層、行ってみないか>
その言葉にグレアが反応を示す。
<あの鎧か、リベンジだな。燃えるぞ>
透は不安を顔に出す。
<あの剣、捌ききれるかな>
十四層のボス戦。最も負担が大きいのは透だ。
敵のヘイトをとって攻撃を捌かなければならない。
考え込む透に慧が声をかける。
<最悪、撤退もできる。無理はしない>
<…うん、行ってみよう>
ボスは階層から動かない。
理由はわからないが、それは都合の良い事実だった。
三度、石兵を崩して、三人は十四層の階段前に立った。




