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箱庭の進化 〜世界にダンジョンが現れた日〜  作者: 観測者
4章

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成長、ゴブリンキング

一回目の七層、透と慧は転移罠を踏んだ日、ギリギリで勝利した。

二回目の七層、二人でも余裕を持って倒すことができた。


双方向転移陣を発見して以降、ゴブリンキングと戦うことは無くなった。


今日はいつもとは違う、グレアという新しい仲間に、身体強化という新しい力。

それと、階段前で絡まれたことに対する苛立ち。


透は全部を目の前のボスにぶつけるつもりだった。


グレアが言う。

<あの椅子に座ってる偉そうなの、私がもらってもいいか?>


透がすぐに返す。

<いいよ。俺大剣持ちもらっていい?>


慧は小さく息を吐く。

<仕方ない、俺が雑魚とメイジか>


三人は各々、自分の担当に向かって走り出す。


このレベルの敵にはもう、連携はいらない。


グレアは雑魚ゴブリンたちの隙間を縫って、ゴブリンキングの元に辿り着く。

細かく振られるカトラスを器用に避けたり弾いたりしながら、細かくダメージを与えている。


透はグレアから目を離せない。

身体強化の入口に立った今だから分かる。

グレアの身体強化は自分たちとはレベルが違う。

追いつくのにどれだけの時間がかかるのだろうか。


身体強化だけじゃない。

戦い方もだ。

透はダンジョンができるまで、武術なんかには全く興味がなかった。

初めて優れた武術、という物を目にした事による危機感。


透も大剣持ちゴブリンの攻撃を余裕を持って捌いている。

それでもグレアのような美しさはない。


戦いは数分で終わった。


最後のゴブリンを霧にした慧が言う。

<流石に余裕だな>

<うん、それにしても、グレアは強いね>


そんな透の言葉にグレアが反応する。

<二人も筋はいいぞ。ただ、基礎を学んだことがないのがよく分かる>


<そうだね、格闘技とか興味なかったからね>

<俺もだ。とりあえずドロップ拾って八層、行くぞ>


慧の言葉を皮切りに、部屋に散らばったドロップを三人で拾う。


全て拾い終わって八層への階段を降りながら、グレアが発する。

<それにしても不思議だ。倒した敵が煙になって消えてアイテムだけ残る、か>

<本当にね、最近は慣れすぎて当然みたいに思ってたけど…>


グレアは言葉を続けた。

<それだけじゃない、深く潜るほど敵が強くなり、アイテムも良いものになる>

慧が仮説を話す。

<人間を強くしたい何者かの意志を感じる。だろ>

<そうだ>


三人は話しながら下へ進んでいく。まだまだ時間はある。

今日の目的は十三層で連携の確認をすること。

可能そうであれば、明日は十四層に挑みたい。


道中、透はグレアに気になっていたことを聞く。

<そういえばグレア、レベルはいくつなの?>


一般的にレベルやスキルの情報を相手に聞くべきではない。

ステータスもスキルも個人情報であり、飯の種だ。

相手のステータスを盗み見るというスキルもあるらしいが、そういう人間は国に保護されるはずだ。


透と慧はたまにお互いのステータスを共有している。

二人とも魔法を覚えてからMPと魔力の増え幅が増えていた。

こういった法則性を探すのに、一人より二人の方が便利だった。


グレアの返答は透が予想していたものではなかった。

<レベル、とは、なんだ?>


<え?レベル、ないの?>

ダンジョンができて半年程、魔物を倒すとレベルが上がる、と言うのはこの世界では常識になっていた。


慧がグレアにステータスの説明をする。

<俺たちは魔物を倒すと強くなる。レベルが上がると力が強くなり、早く動けるようになる。俺たちのレベルは意識すると視界の端に浮いて、数字として出てくるんだ>


<ああ、それなら私たちの世界にもあるぞ。レベルや数字といった指標はないが、魔物をたおすと強くなるという点では同じだな>


慧は考えながら呟く。

<レベルはこの世界の人間特有の現象、か>


会話をしながら、透たちは十三層の階段を降りていく。


この世界は、ダンジョンとはなんなのか。

グレアの存在は、大きな問いに対する鍵になる。

そんな予感がする。

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