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箱庭の進化 〜世界にダンジョンが現れた日〜  作者: 観測者
4章

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魔力の使い方

澪は部屋に戻らずにソファに腰かけた。


母はグレアの分の寝具を出しに行き、父は何も言わずに本を開く。

家の中がグレアを受け入れる方向に動き始めた。


透はグレアを連れて部屋に戻る。

部屋の中では慧が地面に腰かけてスマホをいじっていた。

<帰ってきたか、どうだった?>


透は答える。

<うちに泊まることになったよ>


慧は短く反応した後に、話し出した。

<そうか>

<それで、聞きたいことがある>

<魔力の使い方についてだ。お前があの鎧と戦っているとき。明らかに切られていたのに切り傷は一つもなかった。あれは、なんだ?>


グレアは腰をおろして答える。

<あれは身体強化と魔力防御。私のいた世界で騎士の訓練を受けると一番最初に教わるのがこの二つだ>

<魔法を使うものは皆この二つの基礎を習得している。その点で見ても二人は変だ。なぜ身体強化もできないのに魔法が使えるんだ>


透は身体強化に食いつく。

<基礎ってことは、グレアの世界の人はみんな出来るってこと?>


<出来る、子供のうちに覚えてしまう者もいる。この二つはそれぐらい基礎的な魔力の扱いだ>


その言葉に、慧が反応する。

<子供以下、か>

<攻撃魔法よりも、先なんだな?>


グレアが答える。

<当然だ。自分の身も守れないのに、外に出してどうするんだ>


三人は自身の持つ情報を擦り合わせていく。


元々この世界には魔力も魔法も存在しなかったこと。

半年ほど前にダンジョンが現れて、魔力というものの存在を知ったこと。

魔法はダンジョンで稀にドロップするオーブを使うことで習得することができること。


ここにグレアは引っかかったようだ。

<魔法を、物で習得、か。この世界の魔力は私がいた世界と一緒のように感じる。それでも、この世界の魔法は私の知っている魔法と異なるのか?>


これに慧が答えた。

<わからん。お前の世界の魔法も知らない。そもそも魔法自体でわかっていることの方が少ない>


透と慧はグレアにわかっていることを話す。



グレアのいた世界では、魔力の扱いを覚えて最初に習得するのが身体強化と魔力防御であり、その質は個人によって様々であるが、ほとんどの大人は使うことができる。


攻撃になるレベルの魔法を使うことができる人間は半分程度、それぞれの適正に合わせて使用する魔法が異なる。その中でも回復魔法は使える人間が少なく、希少な適正である。


適正の多くは火、水、風、土に分けられているが、これらの境目ははっきりしたものではなく、魔力の扱いと想像力次第ではほとんどのことを可能とするらしい。


グレアは基礎的な魔力と魔法について話をした。

その流れで、透と慧は身体強化と魔力防御の練習方法を教わる。


<魔力を体に循環させる、体の隅々まで、綺麗に。全ての魔力を使おうと思うな、自分が操作できる分だけ、最初は少ない魔力で綺麗に一周できるようになるまで訓練だ>


グレアの話を聞いて二人は黙り込んで魔力の操作に集中する。

魔力を体の中でうまく通そうとしても均一にはならない。

魔力の流れが滞るところと早く流れすぎるところ、体の中の魔力を全て認識することにすら集中力を取られてしまう。


透は一瞬だけ、指先に魔力が通って感覚が変わる体験をした。


それを黙ってみていたグレアが言った。

<筋は悪くない。初めてやってこれなら上々、使い物になるまではしばらくかかりそうだ>


そうこうしているうちに外は完全に夜になっていた。


透とグレアは慧を見送りリビングに入る。


透は自分の手を見た。

指先の奥の微かな感覚。


何かがわかった訳じゃない。


異なる世界の異なる戦い方。

ダンジョンで拾ってきたツノの生えた少女は透たちに新しい指針をくれた。

自分の中で、課題が一つ増えた気がした。それになぜだか安心した。


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