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それいけ! ビビりマン!!  作者: チャーハン大好き
第一章 異世界死霊城

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第五話 仄暗い城の奥から

 ラビの言葉にフリーズしてしまうリュースケ。おまけにショックでまた漏らしてしまう。


 やたらとリュースケのズボンがビシャビシャなのはこれが原因かと一同が納得しつつ、少し距離を取る。

 リュースケが泣きながら言った。

「な、なんで……なんでですかっ?!」

 それに続いてチャールズが吠えた。

「そ、そうだ! ここは一旦撤退するべきだ! こんな所になんていられるか!」

 チャールズにあきれた視線を向け、リュースケには申し訳無い表情を浮かべたラビが答える。

「気絶されている間に皆様と相談しましたの。リュースケさんやワタクシ達はこの城の霊達にかなりの攻撃を加えましたわ。ここから逃げようとすれば、霊達はその復讐に地の果てまで追ってきます。全員で生きてこの城から脱出できるか怪しいですわ……仮に脱出出来ても奴らはワタクシ達が逃げる先々で、無関係な人々にまで矛先を向けかねませんわ」

 ライガーが続いて言う。

「幽霊に対して積極的に攻撃をしなくていい、というより自分の身を守る事だけに集中してくれればいいんだ。どうかこのまま一緒に進軍してくれないだろうか?」

 納得がいかないのかチャールズは吠え続ける。

「民間人の保護を優先すべきだろう! こちらも消耗している! 一旦、村に戻って立て直してからでも良いだろうが?!」

 ユミルがキレる。

「あんた! 平民だとか言って村の人達のことをバカにし続けたじゃない! 自分の都合が悪くなるとすり寄るなんてどうかしてんじゃない?!」

 ぐぬぬとなるチャールズ。

 ギスギスした雰囲気になり始めるラビ一行。口論が続く。


 その間リュースケは考え続けていた。

 「(正直、目茶苦茶怖かった。さっさとこんな所から脱出したいに決まってる。でも自分が逃げ続けることで行く先々に迷惑をかけるのはな……それに追われ続けるのは嫌だし……)」

 そしてどうするか決断した。

 いまだにメンバー達は口論を続けている中、ラビは拳を振り上げた。

 そして拳を床に殴りつける。

 割れる床、思わず黙る一同、そして吠える。

「てめぇらアッ! いつまで揉めてんだァッ! てめぇらの都合じゃなくてリュースケの都合が最優先だろうがァッ! 頭に藁しか詰まって無ェのか?! おいッ?! リュースケ! どうすんだ?!」

 突然の豹変にビビりまた漏らしながらリュースケは叫んだ。

「お、俺も一緒に進軍します! こんなビビりでお漏らし野郎ですけどッ! よろしくお願いします!」

「よぉーっし! 良く言った! てめぇら! 分かったか! 行くってよ! こいつが根性見せたんだ、アタシらも見せなきゃいけねぇぞ!」

 ラビのその叫びと共にチャールズを除くメンバーが進軍の準備を始めた。

 チャールズは小声でメンバーを罵りつつ、ついでにリュースケを睨みながら遅れて準備を始めた。


 ラビに恐る恐る話し掛けるリュースケ。

「ラビさん? 話し方がすごいですね……」

「あら?! いけませんわ! ついうっかり昔の癖で……なんだか昂ぶると子供の頃の口調に戻ってしまいますの、お恥ずかしいですわ~」

 どうやってその似非お嬢様口調に矯正したのだろうかと疑問に思いながらついでに聞いた。

「ラビさん? 申し訳無いんですが……ズボンを乾かす方法とかあります? ずっとスースーして寒いし気持ち悪いしで……」

「あら! そうですわね、”クリーン”、”ドライ”。はい、これで消毒と乾燥が終わりましたわ」

 気付いたようにラビは言った。

「あら?! リュースケさん本人には魔法が発動しませんでしたが服には発動しますのねえ。不思議ですわ」

 早く準備が終わったのか、様子を見ていたリョウコは言った。

「もしかしてリュースケは異世界人だから魔法が発動しないのかも……服は人じゃなくて物だから?」

「あぁ~俺のいた世界って魔法は実在していませんからねぇ」

「えぇ! それって不便じゃありません事?」

「確かに……どうやって君たちは生活してるの?」

「技術力ってヤツですかね? 魔法やスキルが無い代わりに、電気だとかそんなのを活用した道具を使って生活してます」

 リュースケの言葉に鼻息を荒くしながらボブが近寄る。

「面白い! 今度詳しく聞かせてくれ!」



 全員の準備が終わり、ラビが言う。

「皆様! これより進軍しますわ! リュースケさんは身を守る事を第一にして行動してくださいまし! 最初にいたという謁見の間までの道案内を頼みますわ! そこで見たという王らしき霊が恐らくこの城の霊達の元締めのはずですわ! 行きますわよ!」

 武器庫の扉に近づくとラビが振り返って言った。

「ワタクシ達が来たときは何もされませんでしたが油断は出来ませんわ! 気を引き締めていきますわよ!」

 全員が頷き、それを確認したラビは扉を蹴破った。

「オラァッ!」

 大きな音と衝撃に思わずびくつくリュースケ、扉はすごい勢いですっ飛んだ。

 リュースケはラビに言った。

「蹴破る必要あります?! チビりそうになったんですけど!」

 首をかしげながらラビは答えた。

「あら? ごめんあそばせ。ですがワタクシ達もあなたも散々霊達に苦労させられたんですから……奴らが驚いて嫌がりそうなことをしてやろうと思いましたの。それに奴らは姿を消して此方を常に監視していますわ。武器庫での会話も筒抜けでしょうから待ち構えているはずです、だったら不意打ちをぶちかましてやろうと思いまして……」

 意外と理にかなっていそうな理屈に渋々納得するリュースケ。


 部屋の中の様子を伺うラビ達。霊がいない事を確認したのか進み始めた。

 進みながらラビが聞いてきた。

「リュースケさん、どちらの扉ですの?『左手の方です』分かりましたわ。ワタクシ達は右手にある扉からこの部屋に入りましたの、ですからこれから進んで行く部屋の特徴についてはワタクシ達は分かりませんわ。教えていただけます?」

「パニックになっててあまり覚えては無いんですが……確か……次の部屋を含めて2つは此処と同じような何も物が無い部屋でした。今思うと霊達は俺のスキルに警戒していたのか、何もされなかったですね……」

「分かりましたわ!」

 扉の前に向かい、次の部屋の扉をまたしても蹴破るラビ。今度は部屋の上方向に吹っ飛ぶ扉。

 先程と同じように部屋の様子を伺い、進み始める。これを次の部屋でも同様に行い、一行は進み続けた。


「リュースケさん。次の部屋については?」

 赤い礼拝堂の扉の前に来た。

 あの時の恐怖を思い出し、震えが止まらず漏らすリュースケ。

 ”クリーン”と”ドライ”の魔法を掛けながら、ラビは優しくリュースケの手を両手で包んで言った。

「大丈夫ですわ。ワタクシ達がいますし、貴方もすごい力を持ってますわ。安心して下さいまし。深呼吸をしてください。はいっ吸って~、はいて~、また吸って~、はいて~、落ち着かれました?」

 人の温もりと深呼吸のお陰で少し落ち着けたリュースケは言い始めた。

「つ、次の部屋は礼拝堂?でした……部屋の全てが真っ赤なんです……床以外の全部の面に絵が飾っていて……扉が開かなくなって……そこから絵の女の人がすごい顔で飛び出してっ……襲い掛かってきたんです……」

「分かりましたわ。ありがとうございます。襲い掛かられて無事だったというとはリュースケさんのスキルが発動したんですの?」

「はい……噛みつかれた時に直接触れたから消えたんだと思います……」

「それでは皆様……行きますわよ!」


 今度は扉を手前に引きちぎった。 


 思わぬ光景に絵の霊達は唖然とした表情をする。

 そして正面の霊目掛けて扉をぶん投げるラビ。真正面にいた霊の絵にブチ当たり、その霊は悲鳴を上げながら消滅した。


 幽霊に物理攻撃が効く光景に戸惑いながら、リュースケは武器庫での休憩中に聞いた話を思い出した。

 ラビの説明によると”聖女”のスキルを持つ人物は、幽霊退治に特化した特殊な魔法が使えるようになると。今のは幽霊に対しての物理攻撃が可能となる”干渉魔法”を扉に付与したのだろうと判断した。

 この魔法は自分の持つ物だけで無く、仲間の武器にも付与ができるようで、ラビに付与して貰ったメンバー達がそれぞれの得物を手に部屋に突入していった。

 慌てて追いかけるリュースケ。

 

 中ではラビ達が絵の霊達との戦闘が始まっていた。

 この魔法はあくまで物理攻撃が可能となるだけなので、しっかりと止めは刺さないといけないらしい。

 初めて目にする本気の戦いに固まるリュースケ。

 天井の絵から霊が真横に落ちてきた。

 リュースケは思わず驚いて頭部を踏み潰してしまう。頭を潰されながら霧散する霊、その光景に動揺する他の霊達、その隙を逃さずラビ達は霊達に止めを刺す。


 警戒して当たりを見回す一同、この部屋での戦闘はもう無さそうだ。

 息を整えたラビが一同に言う。

「皆様、ご無事で? 取りあえずこの部屋は片付きましたわ。もし負傷したなら早めに言って下さいまし」

 負傷者は無しと確認したラビはリュースケに言った。

「リュースケさん! ナイスガッツですわ! 見事な踏みでしたわよ!」

「い、いや……ただびっくりして思わずで……」

「びっくりだろうがなんだろうが決めましたのよ! もつと胸を張りなさい! それでは次の部屋について教えて下さる?」

 リュースケの肩をバンバン叩きながらラビは聞いてきた。

 次の部屋はどんなだったかと思い出しながらリュースケは答えた。

「胸像が部屋の上側の全方位に飾られていました。いきなり風が吹き荒れたと思ったら胸像が落ちてきて……たくさんの霊達が足にしがみ付いて噛みついてきたんです……その時はショックで気を失ってだんですが……多分噛みついたヤツはすぐに消えたんだと思います。目を覚ましたら何も無かったみたいに元通りでした」

「分かりましたわ! 胸像ですのね!」


 確認を済ませた一同は進む。

 先程と同じくラビは扉を引きちぎり、後ろに投げ捨てた。


 その先では彫像が戦闘機のように飛び交っていた。

まぜそばもチャーハンの次に好きです。


最後までお読みいただきありがとうございました。

今後の執筆の励みになりますので是非とも”☆”や評価をよろしくお願いします。

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