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それいけ! ビビりマン!!  作者: チャーハン大好き
第一章 異世界死霊城

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第四話 ゴーストマックス:怒りのビビり・ファイター

 幽霊達に襲われ続けたストレスで過去一ぶち切れたリュースケ。あまりの怒りっぷりに一周回って冷静になり、ある事に違和感を覚え始めた。


 改めて足や腕の噛み痕を観察するリュースケ。

 血が滲んでいて痛みもまだある、かなり深めに噛みつかれていた。

 そしてふとリュースケは思った。


 噛み痕を付けられた時、なぜ急に幽霊達は消えてしまったのだろうか?

 恐怖で動けなくなった自分をその場で殺さなかったのはなぜだ?

 礼拝堂を出た後から一度も幽霊と遭遇していないのはなぜだ?


 リュースケは考えた。幽霊達がいなくなった状況を、その時何があったのかを。

 そしてある仮説が頭に浮かびつぶやく。

「もしかして、俺って幽霊に触れば消せる?」

 急にいなくなったのはどちらも自分に噛みついて直接触れた時だったことに気付く。もしやこれが異世界モノ特有のチート能力なのではと考え始めたリュースケ。

 度重なったストレスが、怒りが、チート能力への期待感が、普段の彼では考えられない行動を取らせる。

 大きく息を吸い言い放った。


「ざあこ、ざあこ。幽霊とかクソチョロじゃん。よっわ~い、よわすぎて笑えてくるんですけど~~(笑)」


 模型部の小生意気な後輩女子に言われて思わず拳骨してしまった台詞を言い放つ。

 

 その直後。


 怒りの形相を浮かべた大量の霊達が隙間という隙間から湧き出てきた。すさまじい速さでリュースケに襲い掛かる。

 本当に消せるのかを実験するつもりでいたが、余りの恐怖にそれを忘れてしまう。

「うわあああああっ! 来るなっ!」

 思わず振り払ってしまった手が霊に当たった瞬間に霊が霧散した。その光景を見て他の霊もリュースケも固まる。

 仮説が正しかった事が証明され、リュースケは怒りが、ストレスが、大爆発した。


「全員! 消してやんよぉぉぉぉぉぉっ!」


 霊達に向かって駆け出し、逃げ惑う霊達をシバき回るリュースケ。霊達も噛みつき攻撃や引っ掻き攻撃をしてくるが、アドレナリンがドバドバのリュースケはダメージに気付かず、ひたすら霊達に襲い掛かる。

 この時、霊達は初めて自分達がリュースケを含む生者達にしてきた事に気付いた。ひたすらに自分達を害そうとする理不尽に恐怖した。

「シャァッ! ォルァァァァァッ!」

 目が血走り、憤怒の形相を浮かべ迫るリュースケ。次々と霊達を消していく。命乞いまでし始める霊も現れ始めたがリュースケは容赦なく腹パンして消滅させた。霊達は数を減らしながらも抵抗して武器庫は大乱闘となった。

 大きな音を起てながらの激しい戦いとなり始めたその時だった。


「ご無事でしてっ?!」

 ラビ一行が部屋の音を聞きつけ突入してきた。

 思わずそちらに目が向くリュースケ。その隙を逃すまいと一体の霊が近くにあった兜をリュースケ目掛け投げ飛ばす。

「いっっっ! たぁっ……」

 頭にクリーンヒットし、蓄積したダメージと頭部への直撃で気絶してしまう。

 慌ててラビはリュースケに駆け寄り受け止め、叫んだ。

「しっかりなさって?! 皆様! 残りの霊を頼みますわ!」

「「「「「了解!」」」」」

 すぐにリュースケに治癒魔法をかけ始めるラビ、しかし……

「あら?! 魔法が効きませんわ!? とにかく手当をしなくては!」

 治癒魔法を諦め、一般的な応急処置をし始めるラビ。二人を守るようにメンバー達は霊達との戦闘を始めた。


 ライガーが叫んだ。

「リョウコ、ユミルはラビ様達を! 残りは霊に当たるぞ!」

 直ぐさま各自が動き出した。

 リョウコは魔法杖を、ユミンは大剣を構えラビ達を守るように立つ。

 グレイはダガーを手にして部屋の中を素早く駆け回り霊達を切り裂く。ライガーも後に続き、グレイの討ち漏らしをショートソードで確実に仕留めていく。ボブはハンマーを構え、ライガーの背後を守り続ける。チャールズはあたふたしながらどうにか霊に対処していた。


 リュースケがある程度数を減らしていたからだろうか、比較的早くに霊達は武器庫からいなくなった。

 霊達が駆逐された事を確認してからラビの元に集合する一同。

 ライガーが言った。

「ラビ様。民間人の具合は?!」

「ええ。応急手当は終わりました。怪我だらけですが命に別状無し、じきに目を覚ましますわ」

「そうですか、良かった……」

「慌てて進んだんじゃ、流石に休ませて貰うぞい」

 ボブの提案に一同が賛成し、各自の怪我の手当や装備品、消耗品の点検をし始める。

 ラビが首をかしげて言った。

「なんで治癒魔法も回復ポーションも効果が無かったのかしら? リョウコさん、分かりまして?」

「う~ん、呪いにでも掛けられたのかな?『解呪魔法はかけましたわ』そうか……分からないな……というか幽霊を叩いて消してたよね?」

「そうですのよね、見たところ民間人ですし幽霊用の装備も道具も見当たりませんわ。この方は一体?」


 それから数分が経過し、けがの手当てと気絶による休息でリュースケの意識が戻りかけていた。

 それに気づき、慌ててリュースケの様子を見守るラビ。

 リュースケのまぶたが開いた。

「う、うん? はっ! 霊達は?! うえっ?! 顔?!」

 リュースケの眼前にラビの顔があった。近すぎである。ビビりなリュースケなら驚いて……


「「痛ってぇっ!」」


 急に起き上がるに決まっていた。

 ラビに勢いよくヘッドバットをかまし、痛みでお互いに地面をのたうち回る。

 その様子に思わずラビ以外の一行は爆笑しながら様子を見守っていた。

 リュースケは気付く。

「触れても消えない?! もしかして生きている人達ですか?! えっ? 角?」

 のたうち回っている間に取れたのか、ラビの頭巾が床に落ちていた。その下の姿に驚愕する。

 まだあどけなさが残りつつもどこかたくましさを感じる顔つき、少しくせっ毛な茶髪ショート、青い瞳、ここまでは普通だ。

 しかし、その額には鬼の角のようなものが短く一本生えていた。

 ダメージから回復したのかラビは起き上がりながら答えた。

「いえいえ、大丈夫ですわ。こんな小柄な体型でよく驚かれますけど、ワタクシ、こう見えてオーガですのよ?」

 頭巾を被り直し、リュースケに微笑む。

 リュースケとて健全な男子高校生である、かわいらしい女子に微笑まれてドギマギしてしまう。

 取り合えず自己紹介をとリュースケは言った。

「お、俺は、日比ひび 隆介りゅうすけと言います。助けてくれてありがとうございます」

 ラビはずいずいと近寄り聞いた。

「ヒビさん? リュースケさん? どちらかしら?『リュースケでいいです』ではリュースケさん、起き抜けの所申し訳ありませんが何があったか説明していただけます?」

 ラビの近さにドキドキしながら答えた。

「俺も訳が分からなくて……気がついたら謁見の間?のような所にいたんです。そこで王様とその部下達の霊みたいなのがわんさかといて……話しかけたらいきなりぶち切れだして追いかけてきたんです。そこから逃げ出して霊達に追いかけられながらここにたどり着いたんです」

「なるほど……ワタクシはラビと申しますわ! 新米ですが聖女ですの。周りにいますのはチームメンバーの皆様ですわ。ワタクシ達はこの城の幽霊退治に来ましたの」

 それに続いてラビは言った。

「元々はどこにいましたの?」

 リュースケは信じてもらえるか不安になりながら言った。

「その……信じられないかもしれませんが……どうも此処とは違う世界から来たのかなって……自分のいた世界とは色々と違いが多過ぎるんですよ……」

「違う世界ですの?……う~ん、皆様はどう思われます?」

 ラビは仲間達に聞いた。

「にわかには信じられんですが……リュースケ少年の来ている服の材質が気になりますな。どうも見たことの無い材質で作られてそうです。しかし、なぜこんなにズボンだけビシャビシャなんだ?」

 とライガーは言う。

「違う世界だとかはわからんがの? 民間人の坊主がわしらより先に城の中枢にいたことが気になるわい、確かここら一帯の立ち入りは制限されてるはずじゃろ?」

 ボブの質問にグレイが続く。

「うん、確かに制限されていたはずだよ。それに僕が偵察に来たときは誰かが来た様子は見受けられなかったかな?」

 ユミルが口を開いた。

「もしこの子が霊だったり憑依されてるなら、ラビが治癒魔法を掛けた時点で反応するはずよ。少なくとも霊達の仲間では無いとは思うわ」

「ならよし!」

 満面の笑みでそう言うラビ、続けてリュースケに尋ねた。

「霊達をシバいておられましたけどアレは何ですの?」

 リュースケは困惑しながら答えた。

「俺も分からなくて……皆さんが来てくれる少し前にこの力に気付いたんですよ。分かってることは幽霊に直接触れれば消滅させられることですね」

 ラビは頭をひねりながら言った。

「もしかして”スキル”が発動したのかしら?」

「スキルがあるんですか?!」

 突然の異世界の定番ワードに食らいつくリュースケ。

 困惑しながらラビは続けた。

「貴方の世界ではどうか分かりませんけど、此方では誰しもがスキルを一つ持っていますわ。此方の世界に来た事で貴方もスキルを得たのかもしれませんわね。しかし幽霊を消せる能力ですか……」

 リョウコがのそのそと歩きながら言った。

「スキルも色々とある……同じものがあればこの世に一つしかないものまで様々……ラビや他の聖女様達の持つ”聖女”のスキルが幽霊退治に使えるようになったのも、”聖女”のスキル持ちの人達が増え始めてるのも最近だしそういう事もあるんじゃない?」

「そうかもしれませんわね!」


 久々に生きた存在と会話が出来て思わず涙目になるリュースケ。そしてラビ達に言った。

「ほんっとうに! 助かりました! こんな状況ですし、一旦撤退するんですよね?」

 急にラビは申し訳なさそうな顔をしながら言った。

「リュースケさん。申し訳ありませんが出来れば一緒に進軍していただけませんこと?」


「えっ?」


 リュースケ、ショックでまたも漏らす。

ちゃーはん、おいちい。


最後までお読みいただきありがとうございました。

今後の執筆の励みになりますので是非とも”☆”や評価をよろしくお願いします。

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