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それいけ! ビビりマン!!  作者: チャーハン大好き
第三章 〇〇が私にそうさせた事件

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三十話 オギャり・ナイツ・アット・リョウコ

「僕の故郷は多くの優秀な戦士を輩出してきた所でしてね……」

 グレイは一同に自身の過去を話し始めた。



 グレイの故郷は優秀な前衛職を多数輩出してきた所で正面切って戦うことが好まれる風潮があった。そんな中でグレイは足が早いが力は他の子供達と比べると弱く、スキルが隠密向きということもあり、同じ年頃の子供達から落ちこほれ扱いを受けていじめられていた。

 大人達は向き不向きがあると理解していていじめを止めようとしてくれていたが中々止まらなかった。そんな日々の中でシーフの師匠と出会い、才能を爆速で開花させていく。同期達はいじめ続けるがグレイはめげずに訓練を続け、師匠からも一人でもやっていけれると認められるまでに成長したと語る。



 そしてグレイが続きを言う。

「僕は同期達の誰よりも早く故郷を旅立つ事になりました。そして旅立つ前夜に今までの借りを返そうと思いまして……」

 困惑顔でメローヌが答える。

「そ、それで一体……?」

「夜、奴らの家に忍び込みまして……ここからは少々メローヌ様には下品な内容かもしれませんので具体的な内容は控えますが……まあ翌朝に奴らが大パニックになるようなことをしてやりましたよ……それを横目に僕は旅立ちました。ちなみに奴らは僕よりかなり遅れてからようやく一人前になれたらしいです。そいつら同士で傭兵団を結成して旅立ったそうで……

 そして今回の襲撃、覆面達の数とそいつらの数が同じ、倣う戦い方の一致、僕に集中した攻撃、その三点から正体は幼馴染達と判断しました」

「な、なるほど……」

 一同は顔を引きつらせ、リュースケはグレイを怒らせないでおこうと固く決意した。


 メローヌが口を開く。

「しかしなぜ今になってグレイさんに? 村を出て直ぐにすれば良かったのでは?」

 ラビも続ける。

「王族であるメローヌ様がその場にいるのに襲って来やがりましたわ。狙いがメローヌ様で無くてもそんな事をすれば只では済みませんわよ……そいつらだけの判断でそんな高リスクなこと出来ませんわ、それを指示した雇い主がいるはずです。ではその雇い主は?」

 グレイがラビの疑問にい答えた。

「僕の予想だけどね? 幽霊が雇い主だと流石のあいつらでも動かないはず……だから生きている人物……王族と揉めても問題ないほどの身分の雇い主だと思う。僕等が消耗したタイミングで現れてリュースケを狙ってきた……幽霊と協力関係を結んでいる者とも判断できるね。僕を襲ってきたのは……たまたまリュースケと同じチームメンバーだからからかな?……任務に私情を持ち込むなんてあいつらはまだまだだね、だから傭兵団として大成しないんだよ……」

 一同はその分析に納得して険しい表情を浮かべる。


 そしてメローヌが発言する。

「実は私、子供の頃に暗殺されそうになったことがありまして……その時の下手人は捕まりましたがもしかして……」

 ラビがメローヌの発言に答える。

「恐らくそれとは関係無いと思われますわ。傭兵も霊もメローヌ様に向かう様子が見られませんもの」

「そうですか……では、あのオギャった幽霊達は一体……」

 リュースケ含むラビチームの面々も同様の事に対して困惑していた。

「そこが分からないのですわ……」

 悩ましげに答えたラビは続ける。

「霊達には攻撃の意思は無かったですわね。何かから逃げ惑っているように感じられましたわ。ビビりで殺意には敏感なリュースケさんが霊達に怯えていませんでしたし……」

「我々も同意です」

 ライガー含むラビチームの面々がうなずく。リュースケは若干不本意ながら同意する。


 そしてラビがリュースケに尋ねる。

「リュースケさん『はい?』オギャり中の方々を回収した時、触れましたわよね?『はい』何か変化はありましたか?『特に無かったですね』ですわよね……憑依されていたのならリュースケさんが触れれば反応があるはずですし……ですが”オギャり”という共通点はありますのよね……リョウコさん? 魔法的に何か分かりませんかしら?『もう調べ始めてるよ』お願いしますわ」

 リョウコは騎士団長の周囲をぐるぐる歩き回りながら、右目に指わっかを作り、その穴を通して魔法の痕跡を調べていた。

 ラビがつぶやく。

「リョウコさんの解析結果を待つしか有りませんね……」

 メローヌが遠慮がちに話す。

「私達でもその点は調べました……結果は何も分からずじまいでして……」

 調べながらリョウコが答える。

「彼らはオギャりたてほやほや、まだ何かあるかも……です……」

 こうして一同はリョウコの解析を待つ間、事件の分析を続ける。



 それから時間が経過し、翌日に調査を持ち越そうかとなった時だった。



「来たっ……!」

 一同がリョウコに注目する中、ラビが尋ねる。

「それで何が分かりましたの?!」

 焦った顔でリョウコは語り始めた。

「まずは大事なことから……私にもこのオギャり現象になる魔法……オギャり魔法と呼んでおこうか、それが刻まれている『えっ?!』でもそのお陰で気づけた、ちなみに私は右の二の腕を起点に刻まれているね。

 この魔法、普通なら気づけないレベルで隠蔽されている。騎士団長だけ見てたら分からなかった……比較の為に私の状態を見て気づけた。私は幽霊による状態異常対策の備えを常にしていてね、今回はそのお陰で隠された魔法の痕跡が分かったよ……私や騎士団の人ら全員に細い糸の様なつながりがある。これで術者の思うように発動させられる状態になっているんだ。というわけでこれからその糸がどこに続いているか見てみる……」

 リョウコはつながりの根元を指で追い始め、一同も彼女の指先を追う。

「中々集中力がいるな……」

 苦戦しつつも懸命に目をこらして追う。そうして指がある程度進んだ所で止まる。


「えっ……」

 突然、リョウコは困惑の声を上げる。


 そして異変が起こる。


「ぐっ!『リョウコさん?!』うぃ?」


 苦しんで座り込んだかと思えばリョウコはオギャり出してしまった。周囲を興味深げに見渡していた。

「そんな! リョウコさんが!」

「ぶぅ?」

 ラビはリョウコに駆け寄り声を掛けるも彼女は変わらずオギャっていた。

 リュースケ達や騎士団の魔法職の者らも駆けより、どうにかオギャり魔法を解除させようとする。

 メローヌは自身の真後ろを振り返り、騎士団長に尋ねる。

「リョウコさんが指さした先は確かにこちらの方面ですわね?『はい……』リョウコさんの様子を見つつ明日はこちらを重点的に調査しましょう。リョウコさんの具合は?『だめですわ! オギャったままですわ!』『あぁぶぅ……』そうですか……騎士団の皆様も時間経過で元に戻りました。それに賭けましょう!」



 それからラビを中心にリョウコをあやしつつ、騎士団の面々が元に戻ったのと同じくらいの時間が経過する。しかし彼女は一向に戻らなかった。

 その様子にメローヌは残念そうにしながら一同に告げる。

「皆様、恐らくリョウコさんは術者をどうにかしなければ元に戻りません。『そんな……』ただ手がかりは残っています。明日はリョウコさんが指さしたであろうこちら、私の真後ろの方面を重点的に調べましょう。ラビチームの皆様もよろしくお願いします『はい……』しっかり休んで明日に備えましょう!」


 メローヌの号令で一同は休息に入ることになった。メローヌは自身の部屋に、残りは男女ごとに分かれた集団部屋に向かうこととなる。

 当初はリュースケ達男性陣にリョウコを運んで貰うつもりだったが、リュースケが近づくと彼に悪戯仕出し、ライガーが触れると大声で泣き喚き、ボブが触れると何とも言えない申し訳なさそうな表情をし、チャールズに至っては迂闊に触れ無いほどに暴れた。 

 これでは危ないという事でリョウコはラビとユミルの二人がかりで運ぶ事となった。


 グレイはリョウコが暴れないようにあやし続け、運んでいるラビがつぶやく。

「リョウコさんはこの頃から静かめな子だったんですのね……」

 同意するようにユミルも言う。

「ほんとね……『ぶぅぅぅう!』こらっ、急にジタバタしないの、落っこちるわよ?『あい……』グレイもしっかりしなさいよ?『ごめん……』」

 思い立ったかのようにジタバタするリョウコに悪戦苦闘しながらあやすグレイと落とさないように運ぶラビとユミル。見かねた女性騎士達や屋敷の使用人達も協力してくれてどうにか部屋に運び込んだ。


 ベッドに腰掛けながら一息つくラビとグレイとユミル、リョウコは座り込み宙をボーと見つめていた。

 女性騎士の一人が話し掛けてくる。

「覆面集団の襲撃が有るかもしれません、我々で交代しながら部屋の前を見張りますのでラビチームの方々はお休み下さい。男性部屋の方でも同様ですので。『よろしいんですの? 見張りならワタクシ達も……』お気持ちはありがたいのですがラビチームの皆さんは監視対象ですので『……分かりましたわ。ではお願いします。皆様、休みましょう』では私達もこれで」

 女性騎士達は見張りの分担を始め、その間にラビ達は就寝準備に入った。

 意外にもリョウコはベッドで寝かしつけられるとすんなり眠り始める。それを確認したラビチームや先に休む騎士達はベッドに入った。



 男性部屋の方でも同様に騎士達は分担を決め、ラビチームの男性陣は就寝準備に入り始める。

 リュースケ達はお互い隣同士のベッドに寝ることにする。ベッドに腰掛けたボブがつぶやく。

「オギャり魔法か……精神に深く作用させる魔法なんて……『そんなに珍しいんですか?』坊主……珍しいなんてもんじゃ無いぞ?」

 難しい顔をしたボブが話し出し、近くにいた団員達もボブの言葉に同意して頷いていた。ボブの隣でライガーは考え込んでいて、チャールズはもう寝ていた。

「……昔の戦争もこれと似たようなことを魔女が世界中の人々にやって引き起こしたからのぉ……『えっ?!』その頃のお偉方は突然に攻撃的になったんじゃよ……『もしかして……』魔女の仕業じゃ。気性を荒くし他者に攻撃的にさせる魔法をお偉方にこっそり掛けていたんじゃ……」

「なんでそんなことを……」

「分からん……他者の精神を決まった方向に誘導させる魔法なんて今まで無かったからの……魔女が殺されてお偉方が正気に戻った時、全員とても後悔したそうじゃよ……こんな事を二度と起こさせないためにボスと仲間達で魔女の屋敷を跡形無くぶっ壊したみたいじゃ、だからもう誰もその魔法の発動方法は分からん……」

「そうですか……」


 やや焦った様子でボブは言う。

「じゃが今回の件じゃ! 魔女の魔法でさえ気性を方向づける程度の物でしか無かった、なのに今回は精神を退行じゃぞ?! 魔女の魔法よりも発展した魔法じゃ! この魔法を応用すればまた世界中で戦争になりかねん!」

「落ち着いて下さい!『スマン……』一先ず今日はもう休みましょうよ『そうじゃな……』では寝ましょうか」


 ボブを落ち着かせるリュースケ、ずっと黙っていたライガーがリュースケに尋ねる。

「リュースケ、お前はオギャり派か? バブみ派か? どっち派だ?」

「なんです? 急に……」

「いや気になってな……俺はオギャり派だ」

「知りませんよそんなこと……」

「ママ役に全力で甘えて甘やかしてもらう……最高なんだよ……赤子に返るというのはトブぞ? 今度いい所に連れて行こうか?」

「早く寝んかい!」

 ボブが顔を赤くしながらライガーに注意する。リュースケはその隙にベッドに入り、ボブも注意を終えるとベッドに入って寝始めた。


 こっそりと男性騎士の数名がライガーに”いい所”の情報を尋ねてくる。満面の笑みで情報を教え、満足げに寝始めるライガーであった。



 それから少し時間が経過してライガーに事件が起こる。

コーヒーを飲むと何故か動悸がするこの頃どすえ……


次回は三日後同時刻の予定です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

今後の執筆の励みになりますので是非とも評価をよろしくお願いします。

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