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それいけ! ビビりマン!!  作者: チャーハン大好き
第三章 〇〇が私にそうさせた事件

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二十九話 フクメンアクションX

 覆面集団は王女であるメローヌがいるにもかかわらず武器を構え、ラビ達に襲い掛かってきた。



「全員で迎え撃つ! リョウコは後ろを守れッ! 残りでヤツラをぶちのめす!」

 駆け出すラビとそれに続くラビチームの面々。

 リョウコがオギャり中の人々、メローヌ、管理人達を守る様に前に立ちながら杖を構えて防御魔法を展開する。メローヌもリョウコに続いて自身の魔法杖を構えて防御魔法を展開した。


 ラビは転がっていた机を足場に高く飛び上がると、素早く両太腿を相手の顔面に挟み込み、そのままバク宙の要領で身体を回転させて先頭の覆面の顔面を地面に叩き付ける。

 後続の覆面達は一瞬動きを止められるも直ぐに動き出し、立ち上がろうとしているラビに攻撃を加えようとしていた。

「やらせんっ!」

 ライガーが駆けつけ、覆面の攻撃を得物のショートソードで受け止める。その間にラビはライガーの肩を掴んで支えにし、正面の敵にドロップキックをかました。

 ラビの着地の隙を狙おうと覆面達は動くもユミルが間に入り牽制する。相手の注意がユミルに向かった隙にボブが身を低めて気付かれずに接近、そして相手の土手っ腹にハンマーを叩き込んでふっ飛ばす。

「助かったッ! ォラァッ!」

「あああああああっ!!」

 ラビは着地した後、身を低めて目の前の覆面の股間に全力パンチを叩き込む。後ろにふっ飛ばされながら泡を吹いて気絶する覆面、覆面集団(特に男性)が思わず内股で警戒を強めながら攻撃の隙を伺う。

 にらみ合いの状態となり、ラビが気付く。

「リュースケとグレイは?!」

「あっちじゃ!」

 ボブが指さした先にはラビ達よりも多くの覆面達に取り囲まれているリュースケとグレイの姿があった。

「分断しやがったな?! おめぇら! 何が狙いだぁっ?!」

 ラビが怒鳴るも答えない覆面集団、舌打ちしつつラビが指示を出す。

「ちっ! のして合流すっぞ!」「「「了解!」」」

 ラビ達は駆け出した。



 そしてラビ達と分断されたリュースケとグレイは、覆面集団に取り囲まれつつもどうにか持ちこたえていた。

 最初はラビ達と共に駆け出していた二人だったが、こっそり回り込んでいた敵が足止めをしてきた。それに対処している内にラビ達と分断され、さらにラビ達を抑え込む人員以外の覆面達全員が集まり、二人を取り囲んで攻撃してきていた。

 グレイとリュースケの二人だけでこの数を相手にするのは厳しく、ならばと二人はラビ達が来るまでの持久戦に行動を移した。とにかく回避に専念し、可能な限り相手の情報を集めることに集中していた。

 素早く動いて回避や急所を突く戦闘スタイルのグレイとその彼女に師事していたリュースケ、そのスタイルのかいがあってか大きなダメージを受けず持ちこたえている。グレイはもちろん対処出来ていたが、リュースケも意外と相手に対応出来ていた。相手が霊という得体のしれない存在ではないので恐怖を感じず、心に余裕があったからだった。


 グレイがリュースケに叫ぶ。

「もう少しでラビ達の方が片付く! それまでだよ!」

「はいっ!」

 味方の状況を把握した覆面の一人が苛立ち気味に荒い攻撃をグレイにしてくる。

 驚いた顔をしつつ素早く回避するグレイ、リュースケに小声で指示を出す。

「どうにか僕が隙を作る、そうしたらリュースケは攻撃を加えて! 行くよ!」「はっはい!」

 急な方針変換に戸惑うリュースケ、グレイは先程の荒い攻撃をしてきた覆面に狙いを定めて駆け出した。それに群がる覆面達にグレイは多少のダメージ覚悟で突っ込んでいく。覆面達の気がグレイに向いているお陰でダメージを負わずに後に続けたリュースケ。


 そして多少の負傷をしつつ接近に成功したグレイは相手の攻撃を回避して、相手の利き足の腱を斬り付ける。思わず身を屈めてしまい動きを止めてしまう覆面。

「はあああああぁぁっ!」

 駆けている勢いのまま、しゃがみ込む相手の顔面にニーキックを叩き込むリュースケ、相手は後ろに吹っ飛ばされる。蹴り飛ばされた覆面は痛みに悶えつつどうにか片膝を付いて得物を構えてくる。その様子を確認したグレイは暗い表情を浮かべながら戦闘を続けようとした。


 その時、膝を付く覆面に真横から別の覆面がすっ飛んできた。そのまま激突して二人揃って倒れて動かなくなる。そして他のチームメンバー達が駆けつけた。

「待たせたなぁっ!」

 投擲姿勢のままグレイとリュースケに向かって叫ぶラビ、更に建物の周囲も騒がしくなってきた。

 メローヌが叫ぶ。

「もう少しで町の警備兵達が駆けつけますわ!」 

 メローヌの声に覆面達は顔を見合わせ一斉に地面に何かを叩き付けた。

 その瞬間、当たり一面に煙が充満し周囲の状況が分からなくなる。後方からリョウコとメローヌが風魔法を発動させて煙を吹き飛ばすが、覆面達はすでにその場からいなくなっていた。


 逃げられたことに苛立ちながらラビがチームメンバーや周囲の人々に尋ねる。

「あいつら……とんずらこきやがったなぁ……おめぇらぁ! 大丈夫かぁっ?!」

「俺らは大丈夫です」「僕は少し怪我したけどリュースケは無事だよ」「私達も大丈夫です……ラビさん、口調が……」

 ライガーが、グレイが、メローヌが安否報告をする。メローヌはラビの変化に戸惑いつつオギャり中の人々や管理人達の無事も報告した。

 メローヌの言葉に慌ててテンションを元に戻したラビが気付く。

「メローヌ様! 失礼しましたわ、王族になんて言葉遣いを……『いえ、かまいませんよ。非常事態ですから』寛大な心に感謝しますわ……あら? 後ろの方々の様子が……」


 ラビの言葉に一同がオギャり中の人々に目を向ける。そこには頭を痛そうにしながら普通に起き上がろうとしている騎士団長の姿があった。騎士団長だけで無く他の人々も同じ様子だった。

 周囲を見渡して異常に気付いた騎士団長がメローヌに尋ねる。

「メローヌ様?! この荒れ具合は一体?」

「騎士団長?! よかった! 元に戻ったのですね?!」

 メローヌや自身の状態(口元はよだれまみれ、なぜか親指を加えている)から自分達がどうなっていたのか想像が付き、青ざめながら彼はメローヌに尋ねる。

「メローヌ様……もしや彼らだけでなく我ら騎士団全員も?」

 気まずそうな顔をしながらメローヌが答える。

「……はい……」

 自分達の醜態に顔を赤くしながら膝をついて悶えまくる騎士団、彼らの肩を叩きながら自分達も通った道だと慰めるオギャり化した人々。そして町の警備兵がリュースケ達のいる部屋に突入してきた。

「警備兵だ! 全員その場を動くな! 近隣住民から通報が……メ、メローヌ様?! 一体どうなさったのですか?!」

「事情は説明します。管理人さん、空いているお部屋をお借りしても?『かまいません、使ってください!』ありがとうございます。では……騎士様! 私の護衛と事情説明の為に数名来なさい! 残りは警備兵の方々の捜査に協力するように!」

「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」

 顔を赤くしつつもメローヌの指示に従い行動を始めた騎士団、警備兵達も分かれて現場検証やラビ達含む現場にいた者らへの事情聴取を初めた。



 それから少し時間が経過し、現場検証や事情聴取を終えた頃には夜になっていた。警備兵達はこのまま現場保全と調査を継続し、それ以外の面々の帰宅を許可する。オギャり化した人々と別れ、ラビチームとメローヌ一行は昼間に魔導車を駐車した大きな屋敷に戻る事となる。

 帰り道での説明によると、あの屋敷はメローヌ一行のこの町での拠点で、大人数が滞在しても問題無く、監視の為にラビチームも屋敷に滞在するように求められる。きちんとした寝床がある事にラビチームは喜びつつ屋敷に進んだ。



 屋敷に到着し夕食を取った後、会議室に移動した一向は昼間の出来事を振り返りながらオギャり現象の考察を始める。

 ラビチームにメローヌが尋ねる。

「皆様、お強いのですね。あのよく分からない覆面集団を追い返すなんて……」

 ラビは鼻を高くしながら答える。

「お褒めにあずかり光栄ですわ。相手が生きている存在なら幽霊よりやり合いやすいですの。腕が伸びたり関節を逆方向に曲げて反撃してきたり宙に浮いたりしませんから」

「大変ですのね、幽霊退治とは……ところでどうしてあの集団が生きている存在だと?」

 メローヌの質問にラビは答える。

「ワタクシの聖女魔法やリュースケさんが直接攻撃したのに異変がありませんでしたから。もし相手が霊なら過剰に痛がるか消滅するはずですもの」

「憑依?というものでは無いのですね?」

 メローヌからの更なる問いにラビは言う。

「憑依に関してもリュースケさんに蹴りを喰らった後の様子から可能性無しと分かりましたわ。もし憑依されていたら、過剰に痛がるか当たり所が良ければ消滅して取り憑かれていた人は正常に戻るはずですわ、ですがそうならずに攻撃の意思を持ち続けていました」

「なるほど……ではあの覆面達は一体……」

 メローヌの疑問に一同は頭を悩ませる。


「それについては僕から話します」

 戦闘後から暗い表情だったグレイが口を開く。

「恐らくあの覆面集団は僕の故郷の幼馴染み達かと思われます……」

「どういうことですか?」

 グレイは苦しそうな表情で答える。

「僕の故郷で倣う剣の扱いや体の動かし方と奴らの動きがかなり似ていました……あの独特の動きは余所ではほとんど無いと聞きます。それが理由の一つ目です」

「他にも理由がお有りなのですか?」

「はい、二つ目は僕とリュースケだけを狙ってきたことです。リュースケやラビだけを集中して狙うのならまだ理屈はわかります、ですが奴らはリュースケと僕を集中攻撃していましたから……」


 グレイの答えに疑問を深めたメローヌが更に尋ねる。

「どうしてあなたが狙われることが理由に繋がるので?」

「それはですね……」


 グレイは自身の過去を語り始めた。

もっとモキュメンタリーホラーが流行ってほしいこの頃です。


次回は三日後同時刻の予定です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

今後の執筆の励みになりますので是非とも評価をよろしくお願いします。

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