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薄明が訪れたその先は (300字SS)
小さな水路の上にかかっている橋の上で、俺はぼーっと水面を眺めていた。
夕方近くになり、水面はうっすら赤く染まり始めている。
これから薄明の時間帯だ。
日の入り後と日の出前の空がぼんやりと明るい感じを、薄明と呼ぶらしい。
俺は日の出前の薄明が好きだ。何かが始まるような感じがして、ワクワクするからだ。
逆に日の入り後はもの寂しさがして苦手だ。
「先輩、こんなところにいた!」
橋向こうから声をかけてきたのは、今では頼りがいのある後輩だ。
「そろそろ行かないと、食堂が混み始めますよ!」
仕事が一段落したので、今晩は飲む予定だったのを忘れていた。
「わかった、今行くよ」
楽しい時間がある日の入り後も、悪くないかもしれない。
2020年7月、第66回Twitter 300ss参加作品。お題『橋』。
本編よりも前、ギルベール視点のお話しです。




