待ちに待ったゴールデンウィークです3
-ゴールデンウィーク3日目-
「はぁ・・・」
「ん?どした?」
剣道の部活が終わり、後片付けをしながら思わずため息をした俺に真が話しかけて来た。
「いや、今日は特にバイトが大変でな・・・俺とお燐だけでホールを回さないといけなくなって」
今日だけは厨房に入っていた妹紅が別の仕事でいないらしい。
そのため、さとりが厨房に立つことになり、俺と燐でホールを回すことになったのである。
「へぇ、なら俺も手伝おうか?」
「え!?」
驚いている俺を無視して真は流に話しかけに行く。
真と話している流は頷くと、2人でこちらに来た。
「真から話を聞いた。俺も手伝うぞ?」
流も手伝ってくれるようだ。
「そうか、それは助かるんだけど、お燐に許可得ないと・・・」
俺は剣道場から出ると、スマホを取り出し、地霊殿に電話を掛ける。
『お電話ありがとうございます!こちら焼肉屋地霊殿です!』
電話に出たのは燐だった。
「もしもし、古郷です。お燐、今日のバイトの事なんだけど、友達が手伝ってくれるって言ってるんだけどどうだろう?」
『岳さん?ちょっと待ってね!さとり様に聞いてみるよ』
しばらくしてお燐が受話器を取った。
『岳さんの友達なら良いよって!』
「わかった!ありがとう!」
俺は通話を切ると真と流に大丈夫なことを伝えた。
「お待たせいたしました!」
真が客の注文を受ける。
注文を受けた真が厨房にいるさとりたちに声をかける。
「注文入りま~す!地獄の肉盛りが2つ!灼熱ビビンバ2つ!特性サラダ2つ!あとライス大が4つね!」
「わかった」
さとりと一緒に厨房に入っている流が答えた。
「村岡先輩だっけ?よく働くねぇ~」
燐が感心したように呟いた。
「真は誰とでも打ち解けやすい性格だし、結構人と関わる仕事は向いているのかもしれないな。それについてはお燐も同じだけど」
「あたいが同じね・・・まぁ、性格は似てそうだけど」
燐は真を見る。
真は女性客と会話しているようだ。
ただ客の表情を見ると、嫌がっていると言うよりは、笑っているようで客受けも良いみたいだ。
「いやぁ~!ここ良いなぁ!俺ここで働こう!」
真が上機嫌で俺たちのところへ来た。
「お?良いよ~!ただし週休1日だけどね」
「え!?でも岳は?」
「岳さんは事情があるようだからね。村岡先輩はあたいなりに仕事出来そうだからその分しっかり働いてもらうよ」
「え!?それだと俺の遊ぶ時間が・・・」
「ま、冗談だけどね」
燐の言葉に真はホッとしたような表情をした。
「お~い!そこ!料理できたんだから運んでくれ!」
流の言葉に俺たちは料理を客へと運んでいった。
時間が経ち、客も落ち着いた頃、俺は流と共に洗い物をしていた。
「ふぅ・・・とりあえずは落ち着いたな」
真がホールの方から厨房へ入ってきた。
「もう大丈夫なのか?」
「あぁ。だから俺も洗い物手伝おうと思ってな」
「それは助かる」
3人で洗い物をしていると真が口を開いた。
「なぁ、ちょっと気になったんだけどさ、地霊殿だっけ?さとり様とこいし様とあたいとお空が住んでいるってお燐言ってたんだけど、さとりちゃんはわかるぞ?スポーツテストの時に助けてくれた中等部の子だよな?こいしちゃんとお空ってどんな子だ?」
「あぁ、こいしちゃんはさとりちゃんの妹で、学園以外では俺もあまり姿を見たことはない。なんでも無意識で行動するらしくてな、この焼肉屋も手伝うことは少ないらしい」
古明地 こいし、彼女は薄く緑かがった灰色のセミロングに緑色の瞳をした中等部の少女だ。
さとりと同じサードアイを持っているらしいが、こいしのサードアイの目は閉じているらしい。
「お空は高等部の生徒だよ。ほら、居ただろ?1年の教室に行った時に背の高い少女が」
「あぁ、そういえば俺らより背高い少女居たな。黒髪で羽が生えてた子だろ?」
「そう」
霊烏路 空、黒髪ロングに緑のリボンをした少女。背は俺や真よりも高く、流と同じくらいの背で、烏のような黒い羽が生えている。
その空であるが、性格は素直で真面目なお調子者で、純粋で子供じみたところもある。
何より特徴的なのは鳥頭であること、つまりお馬鹿である。
「あの子は特徴的だったな」
流が口を開く。
「え?なんかあったのか?」
「あぁ。オーナーと話していた時に彼女も居て少し話したんだが、いつもはどんな仕事をしているのって聞いた時、"火"って答えたんだよ。何を言っているか理解できなかった俺にオーナーがビビンバなどの焼き物だったり、火の調整を任せているって教えてくれたんだけどな」
「なんだそりゃ!?かぁ~!可愛いじゃねぇか!天然なのかな?」
空はさとりとサラダに使う野菜が切れたらしく、買い出しに出ていた。
ホールの掃除は燐が担当し、2人が帰ってくるまでの間、俺たちは洗い物を済ませて、仕事を終えた。
「お疲れ様!2人には手伝いという形で来てもらったからお金は出せないけど、その代わり地霊殿で出しているお肉をプレゼントするよ。もちろん、岳さんにもね!」
俺たちは燐から肉が入っている発泡スチロールを受け取った。
中にはお肉が入っているのだろうが、ずっしりと重い。
一体どれくらいの量が入っているのだろうか。
俺たちは礼を言うと、地霊殿を出た。
「いやぁ〜!楽しかったな〜!」
発泡スチロールの箱を持った真が満足そうに言う。
「さとりちゃんやお燐が言ってたんだけど、2人が手伝ってくれたおかげで助かったって。もしよければまた手伝って欲しいってさ」
「もちろん!その時は手伝うぜ!」
「あぁ、俺も手伝おう」
頷く2人に、俺は本当に良い友を持ったと改めて感じたのだった。
「よし!てな訳で今からバーベキューでもしようぜ?こんなにたくさんのお肉をもらったことだしよ!」
「お、いいな」
「どこでやるんだ?」
「そりゃあもちろん・・・岳ん家だろ!」
俺の家は親がいないので周りに迷惑をかけない限りは問題ないだろう。
バーベキューセットもあったはずだ。
「いいよ、俺ん家で」
「よし!それじゃあこの肉たくさんあるわけだろ?俺らだけで食べきれるかわからないからさ、人誘ってみるか?」
「なら俺は雛を誘ってみよう」
「じゃあ俺は魔理沙たちを誘うか。岳は詩音を頼む」
「詩音か・・・来るかなぁ?」
詩音は様々な習い事をしており、多い時には毎日習い事の時もある。
学園で優秀な詩音が生徒会に入らない理由も習い事のためとのことらしい。
「とりあえず誘ってみろよ。岳だって詩音が来たら嬉しいだろ?」
真に言われて、俺は詩音に電話をかけた。
少しのコール音の後に詩音が出てきた。
『もしもし?岳、どうしたの?』
「あぁ、実はな・・・」
俺は断られることも覚悟で今日のバーベキューに誘う。
『・・・』
「やっぱり、無理か?」
詩音の無言に俺は断られると感じていた。
しかし、返ってきたのは予想外の返事だった。
『うんん、大丈夫!どのくらいから行けば良い?』
どうやら来てくれるらしい。
嬉しかったが、声には出さずに腕時計を見る。
「そうだなぁ・・・」
時間は18時半を回っている。
「今から1時間後に始めようと思うからその時間帯に来てくれるか?」
『わかった。それじゃ、あとでね』
「詩音来るって?」
通話を切った俺に真が尋ねる。
「あぁ、来るって」
「良かったじゃん!」
「あぁ」
「雛も来るとのことだ。ただ、岳の家の場所がわからないらしい。連れて来るから一旦雛の所行ってくる」
「オッケー!ならその箱は俺が運ぶわ」
「あぁ、頼む」
流は真に箱を預けると、雛を迎えに行った。
「魔理沙たちも来るってさ。それじゃ俺たちは岳の家に向かうとすっか」
「そうだな。だけど人数が多いから野菜とか足りないかもしれないな。買ってくるか」
「だったら俺が買ってくるよ!そん代わり、今日岳ん家に泊めてくれ」
「なんだそれ・・・」
しかし、泊めることは可能だ。
真から肉が入っている箱を受け取ると、真は買い出しに、俺は家へと向かった。




