待ちに待ったゴールデンウィークです4
「ただいま~」
家へと着いた俺は戸を開ける。
玄関にはリアの靴以外に2つあった。
「あ、そういえば今日遊びに来るってリアが言ってたな」
そう呟きながらリビングに入り、箱を置くと、階段から足音が聞こえてきた。
「お兄ちゃんおかえり!」
「リアちゃんのお兄さん、お邪魔してます」
リビングに来たのはリアと大妖精だった。
緑色の髪をサイドテールにし、黄色のリボンで留めた大妖精はリアと同じ初等部である。
「おう、大ちゃん。いらっしゃい」
俺は大妖精のことを大ちゃんと呼んでいる。
「帰ってきたな!ザコ!」
その声が聞こえ、階段を降りてきたのは水色の髪に氷のような羽が特徴的な少女、チルノだった。
チルノもリアたちと同じ初等部である。
ただ、このチルノは俺のことをザコと呼んでいた。
「よぅ、居たんだな。自称サイキョー」
「自称じゃないぞ!あたいはサイキョーだ!」
チルノは俺に食って掛かるが、言い争っている暇はない。
「リア、今日地霊殿でたくさんのお肉を貰ったんだ。今から真たちも来てバーベキューするから手伝ってくれ」
「え?バーベキュー!?やったぁ!」
リアは喜ぶと大妖精とチルノを見た。
「大ちゃんとチルノちゃんも一緒に食べよ!」
「え?良いのですか?」
大妖精がこちらを見たので俺は頷いた。
「良いよ。食べていきなよ」
「あたい、熱いのは苦手だぞ?」
「お兄ちゃんのことだからチルノちゃんが食べれるようにしてくれるよ!ね?」
「お、おう」
俺の返事を聞いて喜んでいる3人。
どうすればチルノがバーベキューを楽しめるだろうか・・・
とりあえず俺は外に出てバーベキューセットを倉庫から取り出すと、準備を始めた。
リアたちには箸や皿の用意をさせる。
「お~い!岳!買って来たぞ~!」
真が来たので、俺は真にキャンプなどで使う椅子やテーブルを用意させ、その間に野菜などの下準備を始めた。
「お兄ちゃん!出来たよ!」
「ありがとう、じゃあこれを外にいる真に持って行ってくれ。気をつけてな」
俺は切った野菜が載っている皿をリアたちに持たせる。
皿を受け取ったリアたちは家のテラスに続く戸から外に出た。
俺の家は通常のテラス以外にも、車を置くスペースをテラスとして利用しているためかなりの広さがある。
バーベキューをするのは容易であった。
「岳~!もう焼くか~?」
外から真の声が聞こえる。
「みんなが来てからで良いだろ」
俺はテラスに出ると、真に伝えた。
「オッケー!ならとりあえずは準備完了だな!」
真の言う通り、バーベキューの準備は出来た。
後は誘った皆が来るだけだ。
俺はチルノのためにそうめんを作る。
焼いたものは申し訳ないが、冷ましてから食べてもらおう。
そう思いながら作っているとテラスにいる真の声が聞こえた。
「岳~!魔理沙と霊夢が来たぞ~!」
真が魔理沙に電話を掛けた際、近くに霊夢も居たらしく、2人で来ると言うのは聞いていた。
「よう!来たぜ!」
テラスに続く戸から魔理沙が顔を出す。
「おう、魔理沙」
「まだ焼かないの?」
リビングに上がり込んだ霊夢がテラスの方を見ながら話しかけてきた。
「来てない人たちも居るからな。みんな揃ってから焼こうと考えてるんだよ」
「へぇ、後誰が来るのよ?」
「おい!霊夢!あたいと勝負しろ!」
リビングにいたチルノが霊夢に向かって言う。
おそらく勝負とは彼女たちが出来る弾幕勝負なのだろうが、ここではしないでもらいたいので止めようとすると、霊夢はチルノを見ずに答えた。
「はいはい、また今度ね。で、誰が来るの?」
霊夢がする気がないようなので安心した。
「後は、流と雛ちゃん。詩音だな」
「あ!文も呼んだ!」
真の声がテラスから聞こえた。
「らしい」
「ふ~ん、その割にはアンタから連絡来なかったんだけど」
「ん?あぁ、真が魔理沙に連絡した時に霊夢と居るってのは聞いてたからな。だから連絡しなかったんだ」
「ふぅん・・・そう」
「・・・なんだよ?」
「別にぃ」
そう言って霊夢はそっぽを向いた。
「岳~!流たちも来たぜ~!そろそろ焼くか?」
テラスの方から真の声が聞こえた。
「そうだな!もう始めようぜ!」
俺ではなく魔理沙が答える。
「ちょっと待てよ。詩音と文が来てないだろ?来るまでは待とう。伝えた時間までまだ10分あるんだから」
俺はテラスに出ると真に言うが、真も我慢できなかったのだろう、肉や野菜を焼き始めた。
「まだまだあるんだから先に始めといても大丈夫だって!」
肉や野菜を焼きながら言う真に俺はため息をしたのだった。
「あれ?もう始めてるの?言われた時間に来たと思ったんだけど・・・」
真たちが肉を焼き始めてから5分後、詩音がやって来た。
「すまん、詩音。真が我慢できなかったらしくてな・・・。皆食べてるけどまだ肉も野菜もあるから楽しんでくれ」
俺は詩音に箸と器を渡す。
「岳は食べてないの?」
「せめて時間が経つまでは待ってようと思って。時間を言ったのは俺だからな。過ぎてもないのに先に食べるなんて出来ないさ」
「別に気にしないから食べてて良かったのに」
詩音は笑みを浮かべながら俺から箸と器を受け取る。
「どうも!少し遅くなりましたかね?」
どこからか声が聞こえると、上空から文が降りてきた。
「文、この辺りで飛ぶのは控えておけよ・・・」
俺はため息混じりに言う。
この辺りは妖怪を恐れている人たちが少なからず居る。
文のように、いかにも妖怪だと思われる行動はこの辺りでは控えてもらいたいのだ。
「飛ばないと間に合わなかったんですよ!」
文が俺から箸と器を受け取った。
「岳~!早くしないと霊夢に肉全部取られるぞ~?」
「なっ!?アンタだってさっきから肉しか取ってないじゃない!」
「ちょっと!?私の肉も残しといてくださいよ!」
文が真たちの所へ向かった。
「岳、私たちも行かないと。本当に食べられちゃうよ?」
「だな」
俺と詩音は真たちの所へと向かった。
「はいよ。肉焼けてるぜ」
肉を焼いている真が詩音の皿に肉を置いていく。
「ありがとう」
「ほれ、岳も」
「悪いな」
俺は真に肉を貰うと食べる。
肉はなかなかに美味だった。
流石焼肉屋で仕入れているだけの肉だなと思っていると、詩音もそう思ったのか口を開く。
「このお肉美味しいね。どこで買ったの?」
「焼肉屋地霊殿だよ。真や流が手伝ってくれてな。そのお礼にって貰ったんだ」
「真、これを食べてくれ」
魔理沙も野菜を焼いており、焼いたキノコを真に渡した。
「あれ?キノコなんて買ったっけか?」
真が魔理沙から貰ったキノコを食べると、いきなり吐き出した。
「ちょっと!汚いわよ!」
霊夢が真に怒鳴る。
「ッペ!違うんだよ!このキノコがかなり不味くて・・・」
「何だ、これはハズレか。チッ、良いキノコだと思ったんだけどな・・・」
魔理沙はがっかりしたように言う。
「魔理沙!テメェ!このキノコお前が持ってきたもんだろ!」
「ん?そだぜ」
「毒キノコだったらどうしてくれるんだ!」
真が魔理沙に言う中、流がキノコを箸で取ると口に入れた。
「流!それ食べるなって!」
「・・・うん、なかなかいけるぞ、これ」
「マジか!?そんなわけねぇだろ!?おい!岳たちも食ってみろって!」
真が俺と詩音と霊夢を見る。
「何で俺たちが・・・」
「岳は食べろよ、絶対にな!」
「はぁ・・・」
詩音と霊夢は食べる気がないらしい。
霊夢に至ってはキノコを避けて肉を取る始末だ。
仕方なく俺は魔理沙が持って来たキノコを取る。
おそらく毒キノコではないのだろうから食べても大丈夫だろうが、真が起こした行動からも食べたくない。
しかし、俺はキノコを口に入れた。
「・・・っ!?」
俺は急いでリビングに戻ると、ティッシュを取り、その中にキノコを吐き出した。
吐き出したキノコをティッシュで包むと、ゴミ箱に捨て、テラスへ戻る。
「・・・不味かった」
「だよなぁ。流の味覚どうなってんだ?」
俺と真は未だにキノコを食べている流を見ていたのであった。




