第三十八話 「前方に赤いフンドシです!」
第三十八話 「前方に赤いフンドシです!」
釜ボッコの風呂は一日の疲れを取りさり、、優しく火照った体は寝るまで続いてくれる。
オレはいつ寝たかも分からぬまま眠むりについていた。
静かな夜、
とっても楽しい夢を見ていた。
夢をだ。
風になびいて、波打つ広い草原の中、オレは魚のように自由に、青いお空を泳いでいたのだ、緑豊かな草原だ! す〜い! す〜い!
深く潜って地面を蹴ればトビウオのように草原の上を飛び跳ねる事が出来るっ!
そしてまた草原の中へと沈み込む! 深く深く!
草原の中は迷路の様で楽しい!
縦横無尽に素早く泳ぐ! アクロバティックに! 誰よりも早くっ!
ファンタステ〜っク! もう!さいこー!
その時だっ!
セーラさん!
前方に赤いフンドシてすっ!
何っ!?
赤いフンドシぃっ!? アンドレっ!? アンドレなのかあッ!?
「うぎやあああ〜ッッ!!! 早いッ!!」アアッ!!こっ、これが赤いフンドシなのかッ!! ヤラれるぅ〜ッッ!!
と、走馬灯のちょっと遅いくらいの速度で頭の中を右から左へと通り過ぎていった。
「ジョウシマシゲシゲェ〜⚫⚫」
「ハアッッ!!??」この声はあっっ!!?
そこに居たのは三メートル級のお父さんっ!!
「ウワアアアアーッッ!!!」
巨大な顔はそれだけでオレのしんちょー、等身大、それ以上だったッ!!
進撃のお父さん、それはナオイちゃんのお父さん! まるで似ていないっ! やはりあれか! 拐ってきたのかっ! そうだっ! 間違いないっ!
進撃のお父さんは以前見たままの赤フン姿でウンコさん座りのまま、人差し指と親指でオレの頭を摘んでいた!
さっ、させるかあッ!!
「ワレぇ〜、これ何んやあ〜?」と、進撃の赤いお父さんはドスの効いた深く低い声で問おてきた!
「ななな何とはっ!!??」と、それを見てみると、母さんから貰った三万円の入った封筒だった。
赤いモビルスーツのお父さんは進撃のダイコン指なので、封筒を持つ指が邪魔ではっきり見えなかった。
がっ、これは間違いなく母さんから貰った三万円の封筒だっ!
「ワシんとこの玄関にこれが置かれとったんじゃ、手紙は読んだ、」
⚫⚫文字読めるんだ! 良かった!
「そ、それでナオイちゃんのマッチをかわせていたたきまあすっ!」
百獣の王の雄叫びの如く「ワレッ舐めとんかいッ!!」と怒鳴られた。
ゴキッ!!この音はっ!!
⚫⚫サイドスリーが落ちたようだ。
と、同時に進撃のダイコン指がオレの頭蓋骨を潰しかけたっ!! ちょっと潰れたかもしれないっ!!
「舐めてませんッ舐めてませんッ舐めてませんッ!!!」
「ほな、何んやこれはあっ!」
「でっですからっ!それはマッチのお金ですッ!!」
「ハアア〜ッ!? マッチのお金〜ッ!? コレのどこがマッチの金じゃああ〜ッ!!」
「なっ中に三万円入ってますっ!! 受け取ってくださいっ!!」
「⚫⚫⚫ワレ、このまま無かった人間にしてもたろかあ〜、」
そう言うと、進撃のモビルスーツは、オレの目の前にかざしている封筒の、更に前に⚫⚫、何やら黄色く光る⚫⚫⚫
これは、
「おんどれにも見えとるやろ、巻物や! 黄色い色した巻物や! ⚫⚫御霊が宿っとる、こんなもんをワシに渡したろー思とんのんかいっ!」
え!? 御霊!? ⚫⚫なにそれ!? 巻物!? 付喪神の事を言ってるのか!?
「そ、そのお金はオレの母さんがくれた三万円ですっ! 御霊ってなんですかっ!? ただのお金じゃないんですかっ!?」
目の前で黄色く光るその巻物は、結ばれていた封が解かれ、ゆっくりと中に書かれてある文字が見えてきた。
そして、それに自然と目がいった。
と、同時に頭の中にハッキリと映像が現れてきた!
⚫⚫これは、
母さんがパート勤めをしているときだ、作業服や周りの場所から、一駅向こうのスーパーで働いていたときだ、⚫⚫確か五、六年前だな、
母さんは一生懸命認められようと頑張っている、少しの失敗が続いている、誰も手助けしようとしない、それどころか、他のパートさん達は間違えるような嘘を言って失敗するのを期待している、そして認められるのが誰か、出来ない役が誰かを演出している。
母さんは雑用係になり、ゴミ出しや後片付けを専門にやらされ、それは何ヶ月もカヤの外で一人ぼっち、あげく、仕事が出来ないからクビと通告されている⚫⚫⚫、不安な目、強張る表情、その場面までもが事細かく脳裏に映し出されていた。
道に百円玉が落ちていて、それを拾ったらすぐにポケットに仕舞い込んだ。
十円玉も、一円玉も仕舞い込んだ⚫⚫、
工事現場から捨ててあるプラスチック製の大きなバケツを近くにいた作業員に分けてもらい、五つのバケツを重ねて自転車の前カゴに置いて帰ってきた。
その工事現場で貰ったバケツは雨ドイから流れてくる雨水を貯めておくのに使われ、貯まった雨水は洗濯に使われていた。
注文するのは安いもの、列べばタダでくれると嬉しそうに並ぶ。
盆踊りのハッピは人から貰った物、会費がいるから会員にはならず、一人で踊る、他の人たちと混ざって踊る母さんは⚫⚫、子供のような目をしていた。
まだまだ、頭の中に取り止めなく浮き上がるその映像は⚫⚫⚫
あまりこれ以上見れるものではなかった。
⚫⚫この間、ナオイちゃんのお父さんはずっと黙っていた。
⚫⚫なんにも考えない捕食者なような目で。
いま、オレの心は、それ以上の何かで、目の前にいる超常の恐怖、進撃のお父さんを、駆逐してやる的な感じだった。
恐怖心は心の奥にしまい込まれていく。
「ショボい一円玉まで仕舞い込んどるのお〜、おんどれの母ちゃん。アホみたいな努力のかいあってぇ〜、よ〜やく貯まった銭がぁ、⚫⚫この紙切れん中に入っとんのかぁ。」
「アホみたいって⚫⚫なんですか? ⚫⚫オレの、⚫⚫母さんですよ。」
「そんな事、聞いとるんやない、このショボい銭の塊、ワシに貢ぐんやな。ああ!? どないすんねん!?」
「⚫⚫⚫ショボい、て 何がですか? ⚫⚫その三万円は、母さんの三万円です。」
「⚫⚫⚫そんな事、分かっとる、⚫⚫おんどれの銭ッコやない、⚫⚫それを貢ぐんかぁて、聞いとるんや。」
⚫⚫オレの金じゃない、
⚫⚫母ちゃんのお金、
「あのなぁ、ワシに渡してエエもんは、ワレの相応しいもんや。」
「⚫⚫ぼ、ぼくの相応しいものですか?」
「そうや、おんどれが納得いくもんや、そやないと⚫⚫⚫」
「⚫⚫そやないと、?」
「そやないと、死ぬまで後悔せなあかんど、ほんでな、生きるのが辛いゆーて、ワシにドタマ潰された奴が山ほどおんねんでぇ〜。⚫⚫どないや、この銭ぃ、ワシに捧げんのんかあ〜? ええんかあ〜? それでええんかあ〜? ああ〜?」
⚫⚫この人の言っている事には何か、⚫⚫⚫因果関係を思わせる何か⚫⚫、人知を超える法則があるかのように思えてくる。
「⚫⚫⚫わかりません、⚫⚫進撃のお父さん。」
「⚫⚫⚫⚫」進撃のお父さん。
「⚫⚫⚫⚫」
「⚫⚫⚫⚫」進撃のお父さん。
「⚫⚫⚫あ、」
「⚫⚫⚫しんげき? 何やそれ?」
「えッ!? ⚫⚫何ですかっ!?⚫⚫な、な、何でしょうかあ!? えっとぉっ、あのおっ、そのおっ⚫⚫、
な、な、何んで死ぬほど後悔するのかなあ〜っ? なんて〜思いまして〜⚫⚫はい、」
「そりゃ〜あれやあ〜、この銭っこには御霊がおんねん、ワシがこれ〜食っても〜たら〜、おんどれの母ちゃんの血と汗と努力の結晶も、記憶もや、みーんなキレイさっぱり消えてまうんやで〜、それだけやない、ワレのドタマに刻まれとる記憶も愛情も、み〜んなキレイさっぱり消えてまうんやで〜へっへっへっ」
えっ!? どゆ事!?
やっぱりこの人、人じゃないっ! 人間じゃないっ! 今さら!?
この玉村に来て、いろいろな超常現象や神様と思われる人たちを目の当たりにしたせいもあって、ちゃんと考えなかったけど、この人、⚫⚫良くも悪くも綾野アンドレさんは間違いなく、神域にある存在だ!
だが、
⚫⚫妖怪かも、しれない。
「ワレがこの世に生を受けとったゆ〜事も、初めから無かった事に出来てしまうんやでえ〜、そやからなあ、ちょこっとこの指動かしてや、ワレのドタマベチャンコにしても〜ても、初めから生まれて来んかっんあ、ゆ〜事にも出来んねん、チャラに出来んねん、生きた証もワレが受けた愛情もみ〜んなチャラに出来んねん、どや、スゴイやろ。」
えっ!? 何言ってんの!? 初めから生まれてこなかった!? それって⚫⚫
「そやからなあ、ここに宿っとる御霊の分だけ、ワレと母ちゃんの思い出がぜ〜んぶキレイさっぱり忘れてしまうっちゅーすんぽーやあ〜。記憶もそんだけやし、チョットだけやし、え〜か〜? この銭ィ〜、ワシに捧げるかあー?」
思い出!? ⚫⚫どお言う事!? 以前、SFチックに想像した事の一つに、遠い未来、大切な思い出を売り買い出来る科学や、宗教が存在するようになったとしても、オレは絶対 思い出は売らないと答えを出していた。
「はっハイっ! ⚫⚫⚫思い出は誰にもあげませんっ!! 思い出はオレと家族の思い出で、誰かが⚫⚫貰うものでも、奪い取るものじゃないと思いますッッ!!」
痛いっ!! 頭が締めつけられるっ!!
「⚫⚫⚫⚫、ワレ、約束破るっちゅう気ィかあ!?」
頭の中でいっぺんにナオイちゃんや、この人との出来事が浮かんできた!
「⚫⚫⚫ぼ、ぼくが約束したのは」
頭を締め付ける力は緩むことなく、少しずつ強くなっていた。このままじゃ、本当に潰される!
「銭っ、持って来るう約束やあ。」
「⚫⚫はいっ、ナオイちゃんのマッチっ、マッチを買う約束ですっ!」
「⚫⚫⚫⚫⚫」
⚫⚫アンドレさん、? 何も応えない、
「ほな〜、この銭で買うんやなあ?」
「⚫⚫⚫、あ、アンドレさんの言葉に深い意味があると、お、思いました! だからその三万円は持って帰りますっ!」
「はあ〜? 持って帰るやとお〜っ!?」
「そっその代わりっ、」
アンドレさんは、オレの相応しいものと言っていた、それが何かははっきりは分からないが⚫⚫、自分の稼いだ金かなあ〜て、思う〜。
それに、御霊、と言っていた、御霊の宿る三万円を捧げれば、または食えば、とか言ってたな、記憶や思い出が全てなくなり、⚫⚫⚫人の命も無かった事に出来ると⚫⚫⚫
もし、本当にそんな事が出来るとするなら、
「ぼっぼくがっ⚫⚫」死神や妖怪じゃない!
もしっ、本当にそんな事が出来るならっ!!
言葉を間違えるな!!
「ぼくがっ!」こんな恐ろしい姿をしているけど、チャラッに、全てを出来るとするならっ!!
「⚫⚫ぼくが何やっ! 早よゆえっ! ドタマ潰すぞっボケッ!」
「ぼくがっ!」
それって、つまり、完全犯罪出来ちゃうじゃんかああーッ!!
「⚫⚫ぼくがあ〜?」
「ぼくがっ! ナオイちゃんをっ!」そんなの怖え〜よ〜ッ!!
「⚫⚫ナオイを!?」
「しっ⚫⚫」
「⚫⚫⚫⚫」
「しーッ!!」
「⚫⚫⚫⚫」
「しーッなんやッ! しょーべんでもしたいんかいっ! はよッゆわんかいっ、ボケッ!!」
「幸せにしてみせますッ! お父さんッ!!」
「⚫⚫⚫⚫ん!?」
「ぼっボクがあッ!!」
「⚫⚫⚫⚫は!?」
「ナオイちゃんを〜ッ!!」
「⚫⚫⚫え!?」アンドレさん。
「ぼくがナオイちゃんを幸せにしてみせますッッ!!」
アンドレさんが、なんか、おかしい。いや、オレもおかしい!
「幸せにしますッ、お父さんッ!!」
怖い顔が、驚いた顔をしている、
「お父さんーッ!!」
「⚫⚫⚫ワレ」
それはそれで怖いッ!!
「⚫⚫⚫ウワサ通りの、」
「はあああーいッッ!!」この人は、いや、綾野アンドレさんは、とてつもなく大きな力をもった⚫⚫⚫
「オモロイやっちゃな。」
「やりまあっすッ!!頑張りまあっすッッ!!」妖怪は元より、死神さえも圧倒的な力で凌駕する存在かもしれない、と思った。
⚫⚫⚫⚫ 。
「で、⚫⚫ナオイは何処や?」
「えッ!?」
「ナオイは何処やあ〜て聞いとるんや!」
「どっ、どこやあ〜ですかッっ!?」
春名先生のお家にお泊まりてす、って言えばマズイかな!? 迷惑がかかるかな!? こんな恐ろしすぎるお父さんが訪ねていったら、そりゃもう、あれだ、当然、連れ戻すだろうから⚫⚫
「ねっ寝る子育つって言いますしっ、それに起こすのはたいへん可哀想なのでっ、今日のところはなにとぞなにとぞっ! どっ、どうかっお引き取り頂きましてはっ、明日っ! わたくしめが必ずナオイちゃまをご自宅までお送り致しまするっ! のでっ、はいーっ!」
喋り方が可笑しかった。
「まあええわ、ワレ、オモロイからそーゆー事にしといたらる。」
「あっ、有り難き幸せで、ごじゃごじゃごじゃりまするうーッッ!!」
「ナオイを幸せにするって、どないするんや? おもろいなぁ、楽しみにしとるで。」
⚫⚫なんとかアンドレお父さんには分かってもらえたようで、
「ワシに受け応え、出来たんはワレが久びさや〜、何百年ぶりやろなあ〜、ハッハッハッハーッ!! オモロなってきよったわ〜っ! アッハッハッハ〜っ!!」
と言って、進撃のお父さんこと、綾野アンドレさんは暗闇の中に消えていった。が、
付け加えて、こうも言っていた⚫⚫、
「ワレ、ほんまに、❞天命❞の上を歩いとるわ、そやけどなぁ、これが❞アレ❞の決めた事でも、ワシの敷居の上でナメた事晒しやがったら、そんときは、⚫⚫⚫おんどれは初めからこの世におらんかったあ、ゆー事にしたるからの、そこんとこドタマに入れとけや〜。
今、ワシの❞天命❞の上を歩いたで、じょーしまじげしげ〜ぇ。」
⚫⚫⚫ そー言っていた。
⚫⚫てんめい⚫⚫て何だろう?
⚫⚫じょーしましげしげーぇ⚫⚫て、言ってたけど⚫⚫。
⚫⚫本気だろうか。
⚫⚫⚫⚫⚫
⚫⚫⚫
⚫⚫。
オレはずっと夢の中だった。⚫⚫気がする。
次の日の朝、
明るく優しい朝の日の光を浴びながら、⚫⚫浴びてないかな、
目覚めたオレは、ふと⚫⚫
あれは夢だったのか、と思えてきてしまったのだ。
だって、寝てたから。
南側の窓は朝日があたって心地よかった。
スズメが鳴いている、雪は降ってはいないのか。
そうだ、学校行かなくちゃ。
オレはラーメンを食べ、部屋を出ようとした時、玄関の戸が、「カチャ⚫⚫」と開いた。
また上島の奴かと、思ったら⚫⚫、
猫型キューティーハニーの猫娘だった。
真冬の雪の中、半裸のコスプレ、寒くないのか。
「あら! あんた、生きてたの?」と、朝っぱらから挑発的に、縁起の悪い事を言ってきやがった!
それを言うとペルシャ猫の姿と変身し、コタツの中に潜り込んでいった。
そして学校についた頃、オレは気がついた⚫⚫
⚫⚫⚫今日は、休みだ。
どよ〜びだよ〜! も〜! オレってバカあ〜!? よく学校の先生やってるよなあ〜、
⚫⚫いや、やはりあれだ、昨日の夢があまりに恐ろしすぎて、今日が休みだって事すら忘れてしまったのだ、⚫⚫そーゆー事にしておこう。
それにしてもだ、
ナオイちゃんは春名先生の家にお泊りだから、
この時間なら朝ご飯も食べ終わってるだろうし、今から行ってみることにする。
あわよくば❞あら城島先生、朝ご飯まだだったら食べてってー。❞なんてことになるかもしれない! ラーメンはもうウンザリだ! ご飯はダメでもお茶でも、て事になるかもしれない! 誘われれば断らない。よし!行こう。
人っこ一人いない白銀の世界、雪に足跡がないから、まだ誰もこの道を歩いてないんだな、⚫⚫土曜日だし、⚫⚫オレが何も考えずにバカ丸出しで学校に向かって歩いた足跡だけが目につくよ。
春名先生のお家はバス通りを越えて、西に行った場所にある。
「おはようございます! ナオイちゃんを迎えにきました!」
と、春名先生の家の玄関でご挨拶をした。
春名先生がはじめに出迎えてくれて、そして大家さんが出て来てくれた。
「⚫⚫え!? ⚫⚫ナオイちゃん? どこの子ですか!」と、春名先生。
「あら、城島先生! 今日は早いのねぇ、お出かけ?」と、大家さん。
「いえ、ナオイちゃんを迎えに来たんですけど⚫⚫、ちょっと早かったみたいですね。」
「⚫⚫⚫⚫」
春名先生と大家さんが⚫⚫、
止まってる?
「⚫⚫城島先生、あの、ナオイちゃんて⚫⚫」
「え!? ⚫⚫ナオイちゃんですけどぉ、⚫⚫あ、ほら、村のはすれのバス通り近くで、裸足でマッチを売り歩いてて⚫⚫、それで赤い長靴をナオイちゃんにくれたじゃないですか!」
「⚫⚫赤い長靴? ⚫⚫みけつ様以外にですか?」と春な先生、
⚫⚫え!? 何!? あれ!?
春名先生はナオイちゃんの事を忘れている? ようだった。
それどころか赤い長靴や赤の上着に、お揃いのクリスマス柄の手袋に靴下、全部 憶えていなかった。
憶えていないのは春名先生だけじゃなく、大家さんもだ。
なぜ!?
「城島センセ、裸足でマッチ売りの少女なんて、真面目に言ってるのぉ?」と大家さん、
春名先生が、こんな悪ふざけみたいな事をするはずはないと思えど⚫⚫
大家さんも一緒になって、そんな事するだろうか?
何か訳があって忘れた事にしているんだろうか?
⚫⚫いや、違う。
二人の顔には、嘘や誤魔化しがあるように見えない、
じゃあなぜ!?
「ナオイちゃんですよ! 昨日、アパートでソフィーさんも一緒に釜ボッコのお風呂に入ったじゃないですかぁ、忘れちゃったんですかぁ!?」
「あ⚫⚫それは憶えてますけど⚫⚫、あの時はみけつ様とソフィーさんの三人でお風呂に入ったんてすけどぉ⚫⚫」
「寝ぼけてるのぉ? 城島センセ、」
「えっ!?」
寝ぼけてる!? オレぇ!? そーなのかぁ!?
いやあっ! 違う違うっ! そおじゃないだろっ!!
⚫⚫確かにナオイちゃんは居たはず!
それなのになぜ!? どー言う事なの!?
春名先生と大家さん、⚫⚫⚫二人揃って、なぜとぼけるんだ!?
「城島先生、どおしちゃったんですか? ⚫⚫」
「お父さん! 三メートル級で赤フン一丁のアンドレさん!」
「⚫⚫⚫アンドレさん?」
⚫⚫⚫あれ?
「⚫⚫⚫城島センセ、大丈夫?」
「え!? 大丈夫って⚫⚫」
あれ!?
春名先生が⚫⚫⚫
危ない人を見る時の目をして⚫⚫⚫
「⚫⚫⚫⚫⚫」
⚫⚫⚫オレを見ている。
オレは、
危ない人なのかっ!?
マッチ売りの赤ずきんちゃんに三メートル級の赤いフンドシを纏うモビルスーツ! 新型なのかっ!? 的な進撃のお父さん。
⚫⚫⚫ザクと、進撃の巨人、どっちが強いかなぁ?
⚫⚫⚫⚫⚫。
なんて考えてるオレはやっぱり大丈夫じゃないのか!? 危ない人なのかっ!! あぁッ⚫⚫
⚫⚫⚫怖い、自分が怖い。
たぶんオレは疲れている、かなり疲れていると、思う。
⚫⚫⚫⚫オレは静かにこの場を後にする事にした。
「じょ、城島先生! 帰るんですか?」
「⚫⚫帰ります、春名先生さようなら。」⚫⚫⚫みなさん、さようなら。
⚫⚫もう、何が何だか分からない。
モビルスーツがきっと⚫⚫、進撃の巨人を駆逐しているよ、時代が変わればね。エレンがガンダムに乗ってさ。立体機動装置じゃなくてさ。
⚫⚫もう、疲れたよ。
ヘトヘトだよ。
⚫⚫帰って寝よう。
⚫⚫そーしよー。
⚫⚫だってぇ、
今日は土曜日だもん。
パクってスイマセン。いろいろ。
第三十八話 「前方に赤いフンドシです!」




