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可憐な華でも、姫でもナイッ(仮)  作者: 桜雪りか
Ⅳ.英エリカ、中学3年生の真夏編
22/33

夏だ!腹ポリだ!!ヘンデレだ!!☆-3



 思わず目を見開いた。


 この時初めて或の顔を正面から確認して、驚愕以外のなにものでもなかった。

 ……だって、メインキャラでもおかしくない程のキラキライケメンなんだもん。



 眼鏡などせずとも宝石のように輝く瞳は、透き通るエメラルドグリーンで、凛としていて、それでいて優しそうな印象を受ける。


 サラッサラのストレートな髪は柔らかなクリーム色。

 まさに容姿は「王子様キャラ」である。

 もし彼がメインキャラにいたら、あたしは一番最初に攻略するだろう。



 え、ということは……どういうことだ?

 彼がエリカの婚約者?本当に?騙されてない!?

 ……ハッ、まさか、英家を破滅へと導く第二のキャラでは!?いやあああああーーーッ!!!!!



 はたして、話し方も呼び方もこれで良いのだろうか。

 はたまた本当に本当にエリカの婚約者様なのかも全て引っ括めた確認の意味を込めて「…或君?」と問う。

 どうぞお受け取りください、この不安。

 否定されれば人違いでしたで済むが、抱き着いておいてそれは無いと信じたい。



 内心まだいろんな意味での激しい動悸が治まらないあたしを、真顔で見つめてくる……キラキラ王子・或。

 視線だけでも体に毒だから、それ以上見つめないでっ。


 すると驚いた顔から一変、顔をくしゃっとデレッとほころばせて、彼は答えた。



『エリカ…僕のこと、初めて名前呼んでくれたね』



 ……と。お、王子がデレたぁあっ!


 人違いでもなければ、しくったと思いきや逆に喜ばれたという、まさかのセーフだった。

 これは本来の英エリカが照れ恥じらう理由もわかる。逆に照れない方がおかしい。

 でもまだ半信半疑…マジか……。




 その後、あたしは或君と二人でターミナル内にあるカフェに入ってお話をすることにした。



 ―――ここで、幼い頃の思い出話でも話題に出た暁にはどうしようか。


 そればかりを考えていたあたしには言わずもがな、まだ走馬灯が来てくれてない。

 本格的に助けて下さい。嗚呼、涙ちょちょ切れる……。


 そんなあたしとは真逆に、或君はずっと笑顔だった。

 たまに目が合えばキラキラ王子スマイルを向けられるわ、すれ違う人にはチラチラ見られるわ(あくまでも隣を)で気が気じゃない。

 あたしにも精神統一の魔法とか術とか遣えたらいいのに!



 お洒落なイタリアンカフェに着いて早々、或君が『どうぞ、お嬢様?』なんて冗談っぽく言いながらドアを開けてくれるものだから、真面目に惚れそうになった。

 この世界でエリカをお嬢様扱いしてくれる男性なんて、貴方様だけです……!(号泣)



『僕は〝アイスコーヒー〟と〝プロシュートとルッコラのサラダ〟で。エリカ、お腹空いてる?』


「いいえ、私も飲み物とサラダにしますわ。〝アイスティー〟と〝シーザーサラダ〟を。あっ、アイスティーはレモンで」



 外食なんて久々だ。

 とは言っても、宮間瑛梨沙としてはしょっちゅう外食ばっかりだったなー。

 或君はこういう場所、やっぱり慣れてるのかな?


 勝手な先入観で、エリカの婚約者=ボンボン=外食は高級レストランしかしたことないイメージなんだけど。



『エリカ、もしかして外食はよくするようになった?』


「……え?いえ、そんなことはありませんけど」


『そう?前来た時は物珍しそうにしてたのに、なんだか見ないうちに慣れてる感じだったから』



 はっ!これって、あたしが思っていたことそっくりそのままじゃん!鋭いな王子…そう来たか。



「ええと、実は……慣れたって程ではないけど、前よりかは来るようになりましたの!こないだは親睦旅行もありましたから…」



 慌てて付け足すと、或君は少し考えるような素振りを見せてから『なるほど』と微笑んだ。

 わかっていただけたようで何よりです。……ふぅっ。

 心の汗を拭っていると、飲み物が来た。今なら全部飲み干せそう。やらないけどねっ。


 ストローでちまちまとアイスレモンティーを飲んでいるあたしに、或君は突然こんなことを言い出した。



『んー、でもやっぱり僕の知らない間に変わってるよ。エリカは…』



 キ、キット、コンタクトダカラダヨ。


 ジィーッ…と真っ直ぐエメラルドの瞳に見つめられ、アイスレモンティーを飲み干すどころか今度は噴き出すところだった。

 見つめられてドキドキしていた先程とはまた違うドキドキがやって来る。


 なんだろう?この違和感。


 プリンス・アイズがなぜか今は獲物を仕留めるための眼光にしか見えない。

 この全てを見透かされてる感じ。

 気がつけば変な汗がタラリラハラリ。



『……なーんてね?エリカはエリカだから、どんなに変わっても僕は好きだよ』

「(グボッ!)」



 ひ、ヒィィィィイイ~~~ッッ!!!

 この男は一体何者ぞ!?なに今の!?


 サラッと「好き」だなんて言えちゃう男。ヤバい、危険だ。そのうち汗が鼻血となって噴き出るんじゃないかと思う。


 代わりに、いい歳してストローでボコボコをしてしまった。

 あたしからすれば「結婚適齢期の独女が他人の婚約者(未成年)に口説かれてるの図」である。

 本当恥ずかしいっての!ホストかっ!



『あれ、もしかしてまた照れちゃった?エリカは照れ屋さんだな』


「あ、あんまり揶揄わないで下さいまし…っ」


『ははっ、ゴメンゴメン。お詫びにお土産話をしよっか』



 それからは話題がガラリと変わって、ドイツ留学のお土産話になった。

 それは問題なく、むしろ話に花が咲くほど興味深かった。とまぁ、取り敢えず峠は越えることができた。

 しかし今日だけで5歳くらい年取った気分だ。



(……5歳?)



 エッ、ヤダっ!それじゃあ三十路になっちゃうじゃん!

 或君、恐るべし。でも王子すぎる。こんな婚約者がいたなら早く教えてよエリカ。





 ―――が、この時あたしはまだ気づかない。


 そんな笑顔の裏に隠された[駿河(スルガ) (アル)]という男の真実を…。



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