夏だ!腹ポリだ!!ヘンデレだ!!☆-1
ウィ~ンゥィンゥィンゥインゥインゥイン。ワァ~~シャワシャワシャワシャワシャワシャ。ホォ~…シィツクツクホォシィツクツクヒィーャー……。
皆様、こんにちは。ここに来て早くも約二ヶ月目の英エリカです。
帝零司に命を救われたのはたった昨日の出来事ですが、何事もなかったかのように今日から夏休みです。
どんな世界でも夏は暑いし、蝉は根気強く鳴いている。
あたしはというと絶賛夏バテ中。部活動にも属さず、習い事は受験の為に昨年辞めたという記憶がたった今朝流れ込んできたので、この夏特に予定は無いと思う。はぁ、つまんない。
だからって黙ってゴロゴロしているつもりも無いのは、イベント好き宮間瑛梨沙の血が騒いでだろうか。朝起きて早々に絵鞠ちゃんと凜子ちゃんに「夏休みの課題を一緒にしよう!集え、少女たち!!」と、メールを送信済みの返信待ちだ。
「……あちぃ。」
寝っ転がって腹ポリポリ掻くとか夏の特権よね。
壁ドンとか言葉があるけど、あたしには腹ポリで十分だわ。両親が見てないからできることよね。
とか思っていると、ダンダンダンダンッ!!と誰かが階段を駆け上って来る足音が聞こえてきた。
『―――エリカ!お話しましょう?降りてらっしゃい!』
「くぁwせdrft○★※◎▲!?!?ま、まあ。お母様ったらお行儀が悪いですわオホホホ…」
どの口が言うか。
『ふふっ、つい。大事なお話があるから慌てて来てしまったわ。とにかく早くいらっしゃい』
「? わかりましたわ。」
リビングに降りてくと、まず目を疑った。
「お母様…これは……」
煌びやかな果物がテーブルの上に並ぶ。
マスクメロン、マンゴー、スイカ、桃、パイナップル……
『あぁ、坂田さんが腰を痛めてから全快したそうなの!その快気祝いの序でに家にも買っちゃったわ。久々でしょ?千●屋のフルーツ』
坂田さんは誰だかわからないが、それより今あたしにとって、もっともっと重要な単語が聞こえたのを聞き逃さなかった。
「あの、い、今なんて……せ、千●屋と?」
『えぇ、銀座千●屋のフルーツ、エリカ好きだったでしょう?』
うわああああ!間違いない!夏休み早々ツイてるッ!
伏せ字でお送りするのは仕方無いものの、まさかこのタイミングでチャンスが巡ってくるなんて。
夢なら食べるまで醒めないで!
『ウフフ。その顔は、やっぱり好きだったのね。沢山あるから全部食べていいのよ』
「や~ん!嬉しいっ。戴きます……!」
今、絶対素が出ていただろうけど無視。
マンゴーとろける。桃甘~い!パイナップルも程良い酸味が食べ頃~。……ごきゅり。
(はぁ~、生きてて良かった)
生きてんのかなんだかわかんないけど生きてて良かった。
マスクメロンも戴きまーーす!!
と、スプーンを口に入れようとしたそんな時に流れ込んできたのが、英家の家庭事情に関するビッグビッグビッグニュースだった。
それは唐突に、突拍子もなく母・華憐の口から。
『―――そうだわエリカ、明日ね、或君が帰国するそうなのよ。迎えに行ってあげたら?』
或……?
まったくもって、その名前に聞き覚えはない。
しかも帰国って、やっぱり金持ちの話はスケールが違うわ。
「え、ええと…何処に行っていらしたんですっけ?」
『まぁ、忘れてしまったの!?2年間のドイツ留学だったじゃない!婚約者のことくらい覚えていてあげて』
「…………え?」
い、いま、今、耳を疑う言葉が何か聞こえたような。
こここここ婚約者ァア?
いや、ありがちだけどさ!?エリカに限っては無いと見ていたのにーー!!
油断した。完璧油断していた。
「コッ、婚!?…あはは、その話まだ健在だったのね……!オホホホ…」
怪しまれないように「知ってました」アピール。
あくまでも、「わかっちゃいたけどあったんだ」アピール。
『勿論よ。エリカは毎回押しが弱くて照れてしまうみたいだけど……あれから2年と時間は経っても、きっと受け入れてくれるわ。明日は土曜日だけど予定入れてないわよね?行って来なさい』
「わ、わかりましたわ……。」
断ったら不自然だし。しょうがない、行くか……。
順を追って戻ってくるエリカの必殺・走馬灯さえあれば怖いものは無い。
逆を返せば、それとゲームの知識だけが頼みの綱だが、それは明日の朝目が覚めてから任せるとしよう。
にしても、エリカの婚約者って一体どんな人だろう。
予想ではエリカみたく地味目で当たり障りな~い容姿でさり気な~く頭の良い男だと想定する。というか、そうであってほしい。
まあ、モブのあたしに限ってこれ以上のイレギュラーは発生しないことを願う。
平凡でいいからLOVE&PEACEな人生を!切実にッッ!!
マスクメロンひとすくい、やっと口に運ぶ。
(こ、これは―――)
「ん~、美味でございますぅぅぅぅ~!」
『!?』
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